林眞須美死刑囚、虐待死した16歳の初孫の名に込めた“想い”と長女家族に起きていた異変

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2021年06月22日 05:00  週刊女性PRIME

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写真林真須美死刑囚(写真/共同通信イメージズ)
林真須美死刑囚(写真/共同通信イメージズ)

「長女が婿さんと孫を連れて、眞須美に面会に来たそうです。“色が白い子で、婿さんに似て、目のクリッとしたかわいい子やった”って」

 14年前の'07年、雑誌のインタビューに答えるのは林健治さん(76)。“眞須美”とは、健治さんの妻で、'98年7月に起きた『和歌山毒物カレー事件』で逮捕された林眞須美死刑囚(59)のことだ。

 和歌山市園部の夏祭り会場で提供されたカレーを食べた人が次々と嘔吐。4人が死亡、63人が腹痛と吐き気に襲われるという大惨事となった。のちにヒ素中毒であることが判明し、事件から2か月半後に眞須美死刑囚が逮捕される。

再審請求が受理されたのと同時に悲劇が

 冒頭の孫は眞須美死刑囚にとって初孫で、目に入れても痛くない存在だった。そのため、拘置所で自ら孫の名をつけたという。その名は“心桜”と書いて“こころ”と読む。

「字画を全部調べて、縁起がいい名前を、一生懸命考えてつけたそうです」(健治さん)

 この健治さんのインタビュー直後、死刑判決が確定した眞須美死刑囚。それが再び動き出したのは今月9日。和歌山地裁に無実を求めて再審請求を行い、受理されたことが明らかになった。眞須美死刑囚にとっては一縷(いちる)の望みになったことだろう。だが時を同じくして、悲劇が起きる。愛孫(あいそん)の鶴崎心桜(こころ)さん(享年16)が変死する。名づけ親たる祖母の朗報を知らぬまま。

 9日の午後2時過ぎ、和歌山市内の自宅アパートへ帰宅した眞須美死刑囚の長女・A子さんは、倒れている心桜さんを発見。すぐさま119番通報した。

「帰ってきたら娘の意識がない。血みたいな黒いものを吐いている」

 しかし、搬送先の病院で心桜さんの死亡が確認された。全身打撲による外傷性ショック死だった。全身には古いあざも多数。いったい何があったのか──。心桜さんの死亡時、自宅にはA子さんとその夫、4歳になる妹と一家全員がそろっていた。

 その数時間後、A子さんと妹は関西空港近くの海に遺体となって浮かんでいた。A子さんは全身打撲による多発外傷、妹は水死だった。A子さんは赤い自家用車に妹を乗せて関西国際空港の連絡橋まで行き、そこから海に身投げして無理心中を図ったとみられている。くしくも亡くなったA子さんの年齢は、眞須美死刑囚が事件で逮捕された年齢と、同じだった。

 一方、A子さんの夫は心桜さんの搬送に付き添っていたがその後、行方不明に。警察の捜索によって、和歌山港近くで発見されたが、意識は朦朧(もうろう)としていたという。地元紙の社会部記者が説明する。

「夫は警察の取り調べに対して、“カフェインを飲んで死のうとしたが、死にきれなかった”と話しています。さらに心桜さんへの虐待について“大変なことをしてしまった”と認めるような供述もしています。父親は体調が回復次第、心桜さんへの傷害致死の疑いで逮捕されるようです」

2番目の夫と再婚後に虐待を疑う報告が

 時を23年前に戻す。'98年に『和歌山毒物カレー事件』で逮捕された眞須美死刑囚。夫の健治さんも保険金詐欺事件などで逮捕され、残された長女のA子さん、次女、長男、三女は養護施設で育つことに

 その後、A子さんは高校を中退して就職。20歳で、最初の夫と結婚する。

「地主で裕福な家だった夫の両親は息子の嫁が眞須美死刑囚の長女だとわかると、結婚に猛反対した」(週刊誌記者)

 '05年、駆け落ち同然で一緒になった2人の間に生まれたのが、眞須美死刑囚の初孫、心桜さんだった。冒頭の“婿さん”とは、この夫のことだ。

 '07年ごろ、一家は今回の事件現場となった和歌山市内のアパートに引っ越す。

「夫婦の幸せはそう長くは続かなかった。心桜さんが小学生になるころに、2人は離婚。それから間もなく、A子さんは2番目の夫と再婚します」(同・週刊誌記者)

 新しい父親を迎えると、A子さん一家の歯車が狂い出す。そのころ、児童相談所に心桜さんへの虐待を疑うような報告があがっていた。『和歌山県子ども・女性・障害者相談センター』に問い合わせると、次のように答えた。

「'13年に、虐待の通告がありました。両親を面談した結果、虐待している当該者から、“2度としません”と確約が得られたために、'14年になってそれを解除しました」

 個人情報の問題で“当該者”について誰かは話せない、とのことだった。その後、一家はしばらく落ち着いたように見えた。だが4年前、新しい夫との間に娘が生まれると、思春期を迎えていた心桜さんに異変が起こる。

心桜さんは中学校の3年間、ずっと不登校だった

「彼女は中学校の3年間、ずっと不登校でしたね。一応、卒業はさせてもらえたんだけど、卒業アルバムにも載ってない。高校にも行かなかった」(中学校の同級生)

 児相にも、連絡が入っていたという。前出の社会部記者によると、

「'18年10月、A子さんから“娘の非行について、相談にのってほしい”と連絡があったそうです。だが、翌月には“もう大丈夫ですから、相談をとり下げます”と」

 A子さん一家にいったい何が起こっていたのか。近所の住人も、首をかしげて話す。

「A子さんはいつも赤い車を運転していて、助手席には旦那さんや下のお子さんを乗せていました。すれ違うときは、きちんと挨拶する礼儀正しい人でね。よくスーパーでも見かけました。とても仲睦まじい親子に見えましたよ」

 ただ、A子さんと心桜さんが一緒にいるのを見たことは一度もなかったという。

『和歌山毒物カレー事件』の現場となった和歌山市園部は、23年前の当時とは打って変わってコンビニやドラッグストアが立ち並び、狭かった道路も道幅が広くなり、整備されている。現場近くの住民は、涙を浮かべながら話す。

「眞須美死刑囚の子どもたちに何も罪はないから。施設で育って、やっと幸せをつかんだのに、最愛の娘を失ったら、死にたくもなるやろ。なんて不幸な人生やろなぁ……」

 カレー事件の被害者の中には、心桜さんと同い年で亡くなった子、鳥居幸さんがいた。彼女は別の自治会の祭りに行く予定だったが、友人に付き合ってたまたま参加した同地区の祭り会場で犠牲になってしまう。幸さんの父親に今回の事件について伺うと、

「そうですか……。また、あの忌まわしい事件を思い出してしまいますね。私の娘も生きていれば、もう40歳近くになりますね……」

 眞須美死刑囚が孫に名づけた“心桜”は過去に『女の子の名前ランキング』で1位になるほど、大人気のキラキラネーム。“桜のようにみんなから愛される優しい子になってほしい”などといった願いが込められた名前だ。

 得体の知れない因果を感じさせる一連の事件。愛孫への思慕の念を踏みにじられた眞須美死刑囚は今、絶望の淵に立っている。

このニュースに関するつぶやき

  • カレー事件は子供の悪戯説が案外真実なんじゃないかという気もします。それが事実としても入れた子供はここまで大事になるなんて全く思ってなかったでしょう。
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