『ときめきトゥナイト』真壁俊との再会は喜ぶべきか? 初恋相手の“その後”への煩悶

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2021年06月22日 08:01  リアルサウンド

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写真『クッキー』7月号
『クッキー』7月号

 集英社の「クッキー」7月号より、『ときめきトゥナイト』(池野恋)の続編である『ときめきトゥナイト それから』の連載がスタートしました。『ときめきトゥナイト』といえば、1982年から1994年まで「りぼん」で連載された大ヒットファンタジー少女漫画。3部作構成で、主人公が変わっていきましたが、中でも第1部の江藤蘭世編は伝説の少女漫画と言われるほどの影響力と人気を誇っていました。その人気を支えたのは、真壁俊というヒーロー。当時の少女のほとんどが彼に恋焦がれていたのではと思うほどでした。


 今回は、そんな真壁俊の魅力や淡い恋心、続編連載による再会への不安などを語っていきたいと思います。


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■女子の理想 真壁俊


 『ときめきトゥナイト』が連載されていた月刊雑誌「りぼん」の読者ターゲット層は、小中学生。筆者は恋に恋する年齢で、自分がどんな人を好きになり、どんな恋愛をするのか、不安と期待に胸を踊らせる毎日を送っていました。


 そこに、ドンピシャにハマったのが、真壁俊だったのです。


 それにしても、なぜそんなに真壁俊にハマってしまったのでしょう?  大人になって改めて考えてみました。


 まず、真壁俊は適度に不良で硬派です。基本的にポーカーフェイスで、自分の気持ちを素直に相手に伝えることはありません。そして非常に照れ屋です。母子家庭で母親を守らなければならないという責任感が強く、悪い虫から母親を守るためにボクシングを習っており、腕っ節に定評があります。


 本質は優しく、アツいものを胸に秘めています。弱いものには優しく、強いものには臆することなく立ち向かっていく男気があります。


 そして、ストーリーの途中で判明するのですが、実は魔界の王子様です。この設定には、女子が心をときめかせ、追いかけたくなる要素が所狭しと詰め込まれています。


 まず、思春期の女子はワルに憧れてしまう傾向があります。中学で、クラスのヒエラルキー上位が多少不良っぽい男子になってしまうことが、それを裏付けているでしょう。将来的なことを考えると、長く憧れることはリスキーですが、真壁俊の場合は大丈夫。


 硬派ゆえに他の生徒から敬遠されがちなだけであり、決してワルいわけではありません(ワルを自称しているけれど)。しかも、王子として生まれ変わる過程で、ワルの部分は不器用に変化し、不良っぽさは、仲間意識の強さやアツさだけを残してほぼ消滅します。


 思わせぶりな態度を小出しにする一方で、決定的な言葉を伝えず、常に相手よりも一段上のポジションをキープするのもポイントです。対等な付き合いこそ心地いいことを知らない小中学生は、引っ張ってくれる男性に魅力を感じてしまいがちなのです。


 母子家庭であることも重要なファクターです。真壁俊は、連載開始当初から「おふくろを守る」と言っており、ボクシングを始めたのも、美しい母親を悪い虫から守るため。つまり、真壁俊には、中学生にして「守るべき女」がいるのです。既婚男性が「結婚してからモテるようになった。」と口にするのを耳にしたことがあるでしょう。それは、守るものができた責任感と、他者に入り込む隙を与えないところが、守られたい女性の心をくすぐるためです。


 真壁俊の場合、守りたい女が母親から江藤蘭世にシフトしますが、彼のように全身全霊で誰かを守っている男性は、女性の中で偶像化されやすいのです。


■再会への複雑な思い


 少女だった私にとって、真壁俊ほどの完璧なヒーローはおらず、彼の存在が自分の恋愛の指針といっても過言ではありません。しかし、歳を重ねながら、真壁俊は空想上のキャラクターなのだと自分に言い聞かせ、現実に目を向ける努力をしてきました。


 そこに、『ときめきトゥナイト それから』のニュースです。少女漫画のヒーローとして、非の打ちどころのない真壁俊が、同年代として戻ってくるというのです。


 真壁俊のその後は『ときめきトゥナイト』連載終了後も、幾度となく番外編で描かれてきました。ファンから酷評された、パラレルワールドを描いた『ときめきミッドナイト』を始め、真壁俊の人間界に追放されてからを描いた『真壁俊の事情』、モーリとシーラの出会いを描いた『江藤望里の駆け落ち』、真壁俊と江藤蘭世の結婚にまつわるエトセトラを追った『江藤蘭世の宝箱』、真壁俊が「じいじ」になった短編が収録されている『ifの額縁』。しかし、それらのストーリーは、『ミッドナイト』は別として、オリジナルの小咄を全て拾うファンサービスのようなものであり、読者の心を揺さぶりにくるような内容ではありませんでした。


 しかし、今回は状況が違います。例えるならば、まぁまぁ幸せだけど刺激がなくて退屈を感じている生活の中に、突如として初恋の人が確実に参加する同窓会のお誘いが送られてきたようなもの。しかも、その初恋の人は、完全無欠の少女漫画ヒーロー真壁俊なのです。


 魔界人なので外見の衰えはほとんどなく、格好良さは健在であることは『ifの額縁』でも保証済みなのです。


 そんな彼をみて、恋心を再熱させずに済むでしょうか。穏やかな生活の中に、理性を失わせるほど熱を上げた男性が再びやってくることに、複雑な感情を抱かずにはいられません。


■それでも続編が気になってしまう


 リアルだろうと2次元だろうと、ときめきは体力を消耗させます。アラフォーとなった今、恋心にちかいドキドキに心身が耐えられるのかどうか、考えただけで恐ろしくなります。


 同時に、誰かを想って一喜一憂することがなくなって久しい今、若かりし頃のときめきを再び感じられるのは『ときめきトゥナイト それから』が最後のチャンスかもしれないと思うのです。家庭を壊さず、合法的に誰かに恋するチャンスと考えると、どうしても続編に手を伸ばしたくなります。


 『ときめきトゥナイト それから』が掲載された「クッキー」7月号は5月26日には発売されています。Fujisan.co.jpによると、すでに売り切れだそうですが、来月から読むことは可能です。出遅れた感は否めませんが、葛藤は筆者が真壁俊をどれほど想っているかの現れだと解釈することにしましょう。


 あぁ、久々に真壁俊のことを考えるだけでドキドキする……。


■中川真知子
ライター。1981年生まれ。サンタモニカカレッジ映画学部卒業。好きなジャンルはホラー映画。尊敬する人はアーノルド・シュワルツェネッガー。GIZMODO JAPANで主に映画インタビューを担当。


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