菅首相の側近・小此木八郎氏が「横浜市長選」出馬の裏事情 あえて「カジノ反対」を打ち出した真意とは

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2021年06月23日 08:00  AERA dot.

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写真横浜市長選への出馬を表明した、自民党の小此木八郎衆院議員(C)朝日新聞社
横浜市長選への出馬を表明した、自民党の小此木八郎衆院議員(C)朝日新聞社
 22日、国家公安委員長を務める小此木八郎衆院議員(55)が8月に行われる横浜市長選に立候補することを表明した。小此木氏は神奈川3区(横浜市鶴見区、神奈川区)を地盤とする当選8期のベテランで、父は元通産相の小此木彦三郎氏。彦三郎氏は、かつて菅義偉首相が秘書として仕えた政治家であり、小此木氏とも家族ぐるみで関係が深い。

【写真】ポスト菅の”大穴”はこの人

 現役の閣僚が、地方自治体の首長選挙に立候補を表明するという異例の事態となったが、それには自民党の候補者選びが二転三転したという事情があった。

「自民党の横浜市議団からは、元TBSのアナウンサーで現在はフリーの渡辺真理さん(53)を熱望する声もありました。渡辺さんは横浜市生まれで、市内の中高を卒業。市のイベントでも司会を務めており、候補者として最もふさわしいとみられていました。あとは本人が首を縦に振るかどうかだったのですが、結局、うんとは言わなかった」(横浜市の政界関係者)

 現職の林文子市長(75)は2009年からすでに3期務めているが、無所属ながら選挙では自公の推薦を受けている。林氏は4選出馬にも意欲をみせているとも伝えられるが、自民党内部からは「多選批判」が起きており、候補者の選定が始まっていた。

「菅首相に近い三原じゅん子参院議員(56)や、パンケーキブームの火付け役となった元参院議員の松田公太氏(52)の名前も取り沙汰されたが、内部で行った世論調査の数字が芳しくなく、林市長が無所属で出馬した場合は”勝てない”という見通しが強まった」(官庁関係者)

 候補者が定まらない中、神奈川県知事の黒岩祐治氏(66)にも出馬を打診したようだが、固辞されたという。そこで白羽の矢が立ったのが、小此木氏だった。

 だが出馬に関しては、菅首相との間でひと悶着あったようだ。

「小此木さんも誰か候補者がいないか口説きに行ったそうですが、うまくいきませんでした。すると、菅首相は『(候補者が)いなかったら林さんでいこう』と発言をしたところ、小此木さんはかなり反発したと聞いています。(林さんが4選するくらいなら)小此木さんは『自分が横浜を変えたい』という思いが強くなり、立候補を決意して、菅首相も了承したようです。ただ、小此木さんはもともと、カジノ推進派です。しかし、野党も候補者を出してくるなかで、カジノ推進を旗印にしたら選挙を戦えないと判断し、『カジノ反対』の立場で出馬を固めたとのことです」(官庁関係者)

 横浜市はカジノを含むIR(統合型リゾート)の誘致を進めており、市長選の大きな争点でもある。だが、小此木氏は「反対」に回ることで、あえてIRを争点化させない戦略に出た、ということのようだ。

「本音ではカジノを推進したい菅首相も『やむを得ない』となったようです。菅首相にとっては、もしお膝元の横浜で市長選を落としたら面目が丸つぶれです。選挙では何よりも”勝ち”を優先し、カジノについては、小此木さんが当選した後に諸情勢や世論の推移を見極めながら改めて考えればいい、ということのようです。菅首相としては、気脈の通じた小此木さんが市長になれば、その後のIRの扱いも含め、くみしやすいと考えたのだと思います」(前出・官庁関係者)

 とはいえ、IRに関しては地元議員の思惑もさまざまで「一枚岩」とはなりそうにない。自民党の中にはIR誘致を進めてきた横浜市議も多くいて、「市議の半分くらいは小此木氏についているが、一本化できるかどうかは、まだこれから」(前出・横浜政界関係者)と波乱含みの様相だ。

 いくら地元の横浜に熱い思入れがあるとはいえ、現役の閣僚という立場をなげうって、地方自治体の首長へとくら替えするのは、小此木氏にとっても相当の覚悟が必要だったはずだ。政治家の「待遇」としてもプラスになるのかは不透明だ。

 横浜市総務局によると、横浜市から林市長に支払われた給与は昨年1月から12月の1年間で2772万円だったという。元国会議員秘書は待遇についてこう話す。

「国会議員の平均所得が約2400万円なので、横浜市長の給与はこれより少し多いくらい。だけど、小此木さんはお金に困っているわけではありません。横浜市は人口377万人の政令指定都市であり、市長というのはその大都市における大統領のようなものです。横浜市中区で生まれ育ち、横浜市に思い入れもある小此木さんは、市長の座に政治家としての夢を託したんでしょう。それに秋には総選挙があるため、閣僚でいられる期間は残り3〜4カ月くらいだろうし、(閣僚の座は)そんなに惜しくないという判断もあったと思います」

 閣僚という“名”よりも横浜市長という“実”を取りにいった、というところか。いずれにせよ、小此木氏の「カジノ反対」の姿勢が本物か否かは注視が必要であろう。(取材・文=AERA dot.編集部・上田耕司)

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