ポケモン史上初の“骨格”公開に反響、「人も予算もない」地方博物館の意外な挑戦

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2021年06月24日 08:40  ORICON NEWS

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写真「ポケモン化石博物館」メインビジュアル(c) 2021 Pokemon. (c) 1995-2021 Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc.
「ポケモン化石博物館」メインビジュアル(c) 2021 Pokemon. (c) 1995-2021 Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc.
 『ポケットモンスター』に登場するカセキから復元されたポケモン(以後「カセキポケモン」と呼ぶ)と現実世界で発掘された「化石」を比較しながら、楽しく古生物学を学べる「ポケモン化石博物館」が今夏より、全国の博物館を巡回して開催される。企画を立案したのはアンモナイトの展示数日本一を誇る、北海道・三笠市立博物館の相場大佑氏。複数の地方博物館および民間企業のここまで大規模なコラボ企画展は初の試みである。オーガナイザーを務める相場氏に、学術とエンターテインメントのコラボへの期待や、今回の連携の背景にある地方博物館が抱える課題について聞いた。

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■学芸員の熱意から生まれたコラボ展も、「“まじめな企画”と受け取ってもらえるか、内心ビクビク…」

 巡回展「ポケモン化石博物館」が、いよいよ7月4日の北海道・三笠市立博物館からスタートする。コロナ禍により1年の延期を経験してのスタートとなった。すでにSNSでも大きな話題を呼んでいる同企画展の企画立案者は、三笠市立博物館の主任研究員で学芸員の相場大佑氏。

「子どもの頃からポケモンと古生物が大好きでした。ポケモンにはカセキから復元される『カセキポケモン』というキャラクターがいくつか登場するのですが、このカセキポケモンを通して子どもたちに『古生物学』の魅力を伝えたいと考え、企画したものです」(相場氏)

 さらに株式会社ポケモンも企画協力に参画。子どもたちとポケモンとの出会いを提案する「My First Pokemon プロジェクト」に携わる服部悦哉氏は、「ポケモン化石博物館」の企画を持ち掛けられた時から期待を寄せていたとのこと。

「まず『ポケモン化石博物館』の響きが面白いと思いました。そして『My First Pokemon プロジェクト』のコンセプトにもぴったり。ポケモン好きな子どもたちが古生物に、古生物好きな子どもたちがポケモンに、興味の世界が広がるお手伝いができたらうれしいですね」(服部氏)

 企画が発表されて以降、SNSでは「アイデアが面白い」「うちの近くの博物館でもやってほしい」など多くの声が上がり、予想以上の反響に驚いたという相場氏。一方で「エンタメと学術をコラボさせた今回の企画が、世間の目に“まじめな企画”と受け取ってもらえるか、内心ビクビクしていたのですが、好意的なコメントがほとんどでした。期待を裏切らない展示にしなければと改めて身が引き締まりましたね」と明かした。

 本企画展の展示物は、三笠市立博物館をはじめ巡回会場となる全国各地の博物館、独立行政法人国立科学博物館、そして株式会社ポケモンの知恵と技術を結集して制作された。

「これだけの大規模な展示に携わるのは初めてのチャレンジで、当館の資源だけでは実現し得ないものでした。正直、地方の博物館は課題が山積みです。人員不足、限られた予算、展示室の規模、アクセスの悪さ──。おそらく似たような悩みは当館だけでなく、全国の博物館が抱えていると思います」(相場氏)

 こうした地方の博物館ならではの課題を乗り越えるべく、国立科学博物館では全国各地の博物館を繋ぐ「科学系博物館イノベーションセンター」を2019年に設置。1つの博物館だけでは制作が困難な規模や内容の展示を制作し、全国を巡回することで質の高い企画展示を各地で実現することが同センターの目的の一つだ。「ポケモン化石博物館」はその第一弾の事業となる。

「博物館の資源は収蔵品だけではありません。全国には相場氏をはじめユニークな学芸員や研究員がたくさんいます。彼らの知恵やアイデアを存分に発揮していただく、意義深いプロジェクトになったと感じています」(国立科学博物館科学系博物館イノベーションセンター・久保氏)
 
 多くの課題を抱えながらも、全国の博物館ではそれぞれ特色ある展示のアイデアを凝らし、学びと楽しみを地域に還元している。

「地方の博物館の魅力の1つは郷土色を生かせること。たとえば当館では天然記念物のエゾミカサリュウやアンモナイトなど、北海道で発掘された化石標本を豊富に展示しています。現在はコロナ禍で中止しているのですが、手で直に触れる標本も多いので常設展も楽しんでいただけたらうれしいですね」(相場氏)

 開催に先立って、昨年11月には博物館の正面玄関前にポケモンのマンホール蓋(通称:ポケふた)を設置。位置情報を利用したスマホゲーム『Pokemon GO』とも連携しており、訪れることでゲーム内で使えるアイテムを入手できる場所にもなっている。新規の来館者も増えているようだ。

「こちらのポケふたには『オムナイト』というアンモナイトに似たポケモンが描かれています。そして館内に入ると、まず常設展の巨大なアンモナイトが目に飛び込んでくる。これがものすごいインパクトで、私も初めて訪問したときには感動しました。"ポケモン目当て"で来館する子も、きっと古生物の魅力を発見できると思いますね」(服部氏)

 「ポケモン化石博物館」では、カセキポケモンの骨格想像図や骨格をイメージした実物大模型などが本邦初公開される。

「これらは『実際にポケモンの中身はこうなっています』と示すものではなく、あくまでも骨格をイメージした図ですが、ポケモンの原作者である株式会社ゲームフリークさんのご協力のもとに制作されたアート作品です。公式で扱うのは史上初だそうです」(相場氏)

 「ポケモン化石博物館」メインビジュアルには「カセキポケモン」と古生物の復元図が対比するように描かれており、その真ん中で公式キャラクターの「発掘ピカチュウ」が飛躍している。イラストは多くの「カセキポケモン」をデザインした、ありがひとし氏によるものだ。

 学術、エンタメとさまざまな分野のプロフェッショナルが結集する中、総合監修を務めた相場氏は株式会社ポケモンの石原恒和社長からかけられた「意味のある展示になるような創意工夫を楽しみにしています。」という言葉を常に指針にしていたという。

「人気コンテンツにあやかるのではなく、重要なのは両者がコラボすることで新たな価値や学びを生み出すこと。僕は石原社長の言葉をそのように解釈しました。「カセキポケモン」は実に古生物と似たところが多いです。例えば、始祖鳥にそっくりな、さいこどりポケモン『アーケン』は、恐竜と鳥をつなぐ始祖鳥としての重要な特徴を持っています。本展覧会では両者を『比較・観察』するという科学の基本的な手法を体験しながら、ポケモンを通して古生物の新たな面白さが発見できる展示を目指しています。そうした展示の特色を的確に表現してくださったメインビジュアルをはじめ、本展覧会に携わったチーム全員がビジョンを共有できたからこそ、充実した展示が実現できたのだと感じています」(相場氏)

 「ポケモン化石博物館」は三笠市立博物館を皮切りに、秋には島根県立三瓶自然館サヒメル、来春には国立科学博物館、来夏には豊橋市自然史博物館と巡回を予定。以降の巡回先については調整中とのことだ。コロナ禍の開催で混雑を避けるため、三笠市立博物館では来館予約制としている。

このニュースに関するつぶやき

  • ガラル組の調査もしてもらいたいね。あんなん絶対おかしいし!
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  • これはいいね!是非見に行きたいなあ!
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