ディープインパクト産駒だけじゃない! 世界に広がる「日本馬の血統」

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2021年06月24日 18:00  AERA dot.

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写真ディープインパクト産駒のスノーフォール(写真/gettyimages)
ディープインパクト産駒のスノーフォール(写真/gettyimages)
 今年の欧州クラシック戦線では、ディープインパクト産駒のスノーフォールが英オークスを16馬身差で圧勝。一躍、仏G1凱旋門賞の有力馬に躍り出たことが日本でも大きく報じられた。

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 現役時代に無敗で日本のクラシック三冠を制したディープインパクトは、すでに多数の海外G1馬を輩出するなど種牡馬としても輝かしい実績を残した。そこで今回は種牡馬として海外で活躍馬を送り出した日本調教馬たちを振り返ってみようと思う。

 海外に種牡馬として輸出される、あるいは産駒が海外でデビューするケースが増えてきたのは、やはり名種牡馬サンデーサイレンスの子供たちから。早くからあまりに多数の産駒が活躍したため、サンデーサイレンスの息子たちは現役時代にG1を勝っても種牡馬としての環境に恵まれないケースが多かったのだ。

 そうした状況の改善を狙って増えたのが、オーストラリアへのシャトル種牡馬としての輸出。サンデーサイレンスの初年度産駒であるダービー馬タヤスツヨシは豪G1ヴィクトリアオークスを制したホロービュレットを出すなどの活躍をみせたほか、同い年の皐月賞馬ジェニュインもG1オーストラリアンカップを制したポンペイルーラーを輩出した。

 彼らと同期の2歳王者フジキセキの産駒は、サンクラシークが南アフリカで大活躍後にG1ドバイシーマクラシックを制覇。余談だが日本で高松宮記念を連覇したキンシャサノキセキも豪州産のフジキセキ産駒だった。

 現役時代に香港マイルを制したSS産駒ハットトリックは、引退後に米国と豪州でシャトル種牡馬に。代表産駒としては、持ち込み馬としてフランスで生まれ、2歳時に仏G1モルニー賞などを制して欧州最優秀2歳牡馬および仏年度代表馬となったダビルシムがいる。ちなみにこのダビルシムはドイツやフランスで種牡馬として成功し、SSの血統を欧州で広げている。

 欧州で成功したSS系種牡馬といえば、ディヴァインライトも忘れてはならない。現役時代はG1高松宮記念で2着などはあったが重賞は勝てず、日本での種牡馬実績がほとんどないままにフランスへ輸出されたが、これが結果的に大正解。現地での初年度産駒から2007年の欧州最優秀2歳牝馬に輝き、翌年の英1000ギニーを制したナタゴラをいきなり輩出したのだ。その後はトルコに再輸出され、そこでもリーディングサイアーを争う活躍だった。

 日本馬が種牡馬として成功を収めたのは欧州や豪州にとどまらない。日本のダート路線で史上屈指の善戦マンとして長く走ったシーキングザダイヤは、日本から米国へ渡り、さらに南米のチリとの間でシャトル種牡馬として供用。チリではG1馬や重賞勝ち馬を多く出す活躍ぶりを見せた。

 日本で重賞2勝を挙げたSS産駒のアグネスゴールドは、日本から米国を経てブラジルへ輸出。同国で長く一線級の種牡馬として活躍し、特に2020−21シーズンはジャネールモネイがリオデジャネイロ牝馬三冠を無敗で制覇、オリンピッククレムリンがブラジルダービーを勝った。また2020年にはアルゼンチンでG1を勝った後に米国へ移籍したアイバーが、米G1シャドウェルターフマイルステークスを制している。

 その米国では、ハーツクライ産駒のヨシダが芝とダートの二刀流で活躍。芝G1のターフクラシックステークスとダートG1のウッドワードステークスを勝った。現在はケンタッキー州の名門ウインスターファームで種牡馬入りしており、米国でのSS系繁栄の期待がかかる。

 そして冒頭でも触れたディープインパクトだ。2018年の欧州では、英2000ギニーをサクソンウォリアーが、仏ダービーをスタディオブマンがそれぞれ制覇する快挙を達成。彼らはすでに現地で種牡馬入りしており、欧州でディープインパクト系が確立される可能性も十分にある。また20年にはファンシーブルーが仏オークスを制すなど、今年のスノーフォールを含め、伝統の欧州クラシックでもディープインパクトの血は無視できないものとなっている。

 ディープ産駒は豪州でもフィアースインパクトがマイルG1を通算3勝する大活躍。2019−20シーズンの最優秀中距離馬に選出された。日本で大活躍したアーモンドアイの父としても知られるロードカナロアの産駒タガロアも、2歳G1ブルーダイヤモンドステークスを制した。彼らもまた現地で種牡馬入りしており、産駒のデビューが待ち遠しいところだ。

 ここで取り上げた以外にも海外で重賞を勝つ産駒を出した日本調教馬は数多く、挙げていけばキリがないほどだ(例えばペールギュントやグレイトジャーニー、シンコウフォレスト、ロックドゥカンブなどもいる)。欧米や豪州などの競馬主要国だけでなく、トルコや韓国などに輸出される種牡馬も多い(前者ではヴィクトワールピサやクルーガー、後者ではイーグルカフェやテスタマッタなど)。

 かつての日本は欧州や米国で活躍した馬たちを何頭も購入しては種牡馬として大成させられず、「名馬の墓場」などとやゆされた時代もあったが、今や日本の活躍馬の血を欧米が求める時代になった。将来は凱旋門賞やブリーダーズカップを勝つ馬の血統表に見慣れた日本馬の名前があるのが珍しいことではなくなるのかもしれない。そんな競馬ファンの夢がかなう日を見たいものだ。(文・杉山貴宏)








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