人魚のローラが「キュアラメール」に変身 「トロピカル〜ジュ!プリキュア」で描かれた“足を得る”選択について

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2021年06月24日 18:03  ねとらぼ

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写真人魚のローラが変身した「キュアラメール」
人魚のローラが変身した「キュアラメール」

 「トロピカル〜ジュ!プリキュア」、ついに人魚のローラが新プリキュア、キュアラメールになりました。



【画像】人魚の姿のローラ



 その華麗な変身シーンは、子どもたちはもちろん大人プリキュアファンからも「ローラがプリキュアに!」「かわいい!」などと大好評で迎えられました。追加プリキュア誕生はいつ見ても良いものです。



 その中でごく一部の大人ファンの間では「ローラは人魚の姿のままが良かったのでは……」という声があったのも事実です。



 今や日本の初夏の風物詩となった感のある「追加プリキュアの登場」。2021年のキュアラメール誕生では、何が描かれ、一部の大人ファンは何を思い、何が起きたのか? 見ていきたいと思います。



●人魚のローラがプリキュアに



 2021年6月20日放送の「トロピカル〜ジュ!プリキュア」第17話「人魚の奇跡! 変身!キュアラメール!」にて、ついに人魚のローラが新プリキュア、キュアラメールへと変身しました。



 いわゆる人魚スタイルから「足がある」プリキュアへとなったキュアラメール。



 白いレギンスに、サンダル履きでペディキュアを強調したりと、足を意識したデザインがすてきです。初披露の変身シーンの中も足が強調される場面が多々あり、ローラの足へのこだわりを感じます(細かいことですが変身すると「耳」も描かれるようになったのも特徴ですね)。



 人魚のローラは番組発表開始時のキービジュアルでも、プリキュアでないにもかかわらず他のプリキュアと同様の大きな扱いだったため、その去就がプリキュアファンの間でも注目されていましたが、「ローラもプリキュアになる」という答えで落ち着きました。



 (個人的には「初のプリキュアにならないメインキャラクター」の地位でも面白かったとは思いますが、やっぱりプリキュアになったことはうれしいですよね)



 今作では人魚がプリキュアになりましたが、いわゆる「プリキュアの追加戦士」は人間だけではなく妖精、異世界人のお姫様、アンドロイド、宇宙人、地球の精霊的存在など、バラエティーに富んでいるのも特徴です。



 またプリキュア追加戦士はその強さとかわいさから子どもたちへの人気も高く、キュアラメールもきっとたくさんの子どもたちを虜にすることと思われます。



 プリキュア追加戦士の誕生の瞬間は、いつ見ても良いものです。



●プリキュア変身の過程が丁寧に描かれた



 ローラがキュアラメールへと変身する過程は、番組開始から4カ月をかけ少しずつ丁寧に描かれました。



 第1話では「人間の子なんて私が女王になるための捨て駒」とまで言っていた自信家のローラが、夏海まなつらトロピカル部のメンバーと接するうちに、友達の大切さを知り、一緒にまなつたちと過ごしたいと思うようになっていきます。その心境の描かれ方がとにかく丁寧だったのです。



 自己中だったローラが自ら汚れた水に飛び込んだり、プリキュアを信じ、子どもたちと一緒に応援する姿が描かれ、みんなと一緒に行動できないことにモヤモヤし、第15話「みのりがローラで、ローラがみのり!?」では、一之瀬みのり(キュアパパイア)と心が入れ替わった際に「自由に歩けること」への羨望が描かれるなど、徐々に「人間に憧れていく」「友達を大切に思う」「みんなと一緒に過ごしたい」と思う心境の変化が描写され、プリキュアへの変身の期待がだんだんと高まっていきました。



●私の願いは、私がかなえる



 ローラの初変身は第17話「人魚の奇跡! 変身!キュアラメール!」で描かれました。



 魔女の屋敷に捕らわれたローラに、敵のボス“あとまわしの魔女”は言います。「私に従えば、お前を人間にしてやる」と。



 “魔女のお城で代償を持ち掛けられ人間の姿を得る”のは、アンデルセンの人魚姫と同様の展開です。



 しかし2021年の人魚姫、ローラは過去の人魚姫とは違います。「人間にはなりたい。でも私の願いは、私がかなえる」と言い放ち、その場から逃げ出します。代償を払い他人の力で人間になる道を拒絶したのです。



 そして魔女の城から脱出し、グランオーシャンへとたどり着いたローラに“人魚の女王様”は問いかけます。「あなたはどうしたいのですか?」と。



 ローラはこれまでのみんなとの思い出を語ります。「みんなと一緒にいたい。それが、私の今一番したいこと!」。



 ローラがキュアラメールへと変身できたのは「みんなと一緒にいたい」という強い思いだったのです。



 (ここで重要なのは、ローラが人間になったのはあくまで「みんなと一緒にいたい」という目的のためであり、人間になること自体が目的ではなかった)ということですよね)。



 あとまわしの魔女は「私に従え」と強要し、グランオーシャンの女王は「あなたはどうしたいのか?」と問う。この両者の対比は、旧世代と新世代の親子関係の示唆にも見えます。



 2021年の人魚姫は、自らの手で願いをかなえるのです。



●人魚のままでプリキュアになることの是非?



 さて、この「キュアラメール」の誕生、子どもたちはもちろんのこと、大人プリキュアファンにも大きく響いたようです。放送終了後のTwitterの人気トレンドには「キュアラメール」が入り、大きく盛り上がりました。



 もちろん「ローラがプリキュアになれてよかった」という肯定的な意見が大半だったのですが、一部では「足を得るのではなく、人魚の姿のままプリキュアになった方がよかったのでは?」という意見も一部見られたことも事実です。



 もちろん、人魚スタイルではなく「足のある人間スタイル」になったのは、身も蓋もないことを言えば「商業上の理由」が1つにあるものと思われます(アニメ本編やプリキュアショーなどでも足がないと動かしづらいですしね。推測の域をでませんが)。



 ただ「人魚スタイルのままの方が良かった」という思いも分からなくもないのですよね。



 もちろんプリキュアは子どもたちのためだけに描かれるアニメであり、外野の大人ファンの意見に意味がないことは承知の上で、一部の大人のプリキュアファンたちがローラの初変身のときに何を思ったのか見ていきたいと思います。



●人魚としてのアイデンティティー



 おもちゃなどの展開をみる限り、この先ローラは人魚姿に戻ることなく人間の姿のまま活動していくものと思われます。つまりローラは「人間になった」のです。



 ただ一部では「ローラには人魚の姿に誇りを持ってほしかった。わざわざ人間と同じ姿になる必要はあったのか?」「人魚の姿のままで、人と過ごせる世界の方が多様性のある健全な世界なのでは?」という言説も見られました。



 いわゆる「人魚としてのアイデンティティー」の提示方法に疑問を持った人も多かったようです。



 これに関しては、この先の展開でアイデンティティーの問題が解決するかもしれませんので何とも言えませんが、個人的には「人間になりたいと願ったローラが、人間になった」のですから、これ以上何も文句のつけようがありません。「なりたい自分になる」ことはずっとプリキュアで描かれてきたことであり、過剰な道徳的側面はあくまで副次的な要素だと思います。



 また一部では、人魚という存在を「ハンディキャップを背負った子どもたち」のメタファーとみなし、歩けることこそが良いことと一方的に定義づけるのではなく、むしろ人魚のままプリキュアとした方がハンディキャップを背負った子どもたちを勇気付けるのでは、という論調もありました。



 ただ、前作「ヒーリングっどプリキュア」のように医療がテーマの一つならともかく、今作の明るいテーマ的にも人魚が「ハンディキャップを背負った子ども」のメタファーとするのは、やや考えすぎだとも自分は思います。



 なまじローラの人魚姿でのポジションや振る舞いが完璧な立ち位置だったために、人魚姿のままでいてほしい、という気持ちも良く分かるのですけどね。



 とにもかくにも「自分で道を切り開き、プリキュアへとなった人魚ローラ」を祝福したいと思います。



●ローラが一番やりたいこと



 ローラが「今、一番やりたいこと」は「まなつたちと一緒に過ごすこと」と明示され、晴れて人間になり「キュアラメール」へと変身しました。ではローラにとって作品のテーマでもある「今、一番大事なこと」は何なのでしょうか。「まなつたちと過ごしたい」の先にある彼女の「一番大事なこと」がこの先のローラの物語へとなっていくのではないでしょうか。



 この先ローラは「足を得ることができてよかったね」で終わるのか、それとも「足を得たことによる代償」が描かれるのか?



 明るく楽しい作風のトロプリですので、暗いお話にはならないと思いますが、この先の展開も楽しみですよね。



 さて、そんな魅力が詰まったローラなのですが、せっかくプリキュアになったことですし、ぜひたくさんの人に広めてほしいのです。



 ローラは(偶然かもしれませんが)“写して人に見せると病気から逃れられる”という「アマビエ」に似ている、と一部では言われています。



 みんなの手でローラの魅力を広めれば、子どもたち、そして世界が元気になり災厄も遠のくのかもしれません。



 2021年の人魚姫ローラは自分の手で道を切り開きます。人魚姫の物語は、足を得てからが本番なのです。



●著者:kasumi プロフィール



プリキュア好きの会社員。2児の父。視聴率などさまざまなデータからプリキュアを考察する「プリキュアの数字ブログ」を執筆中。2016年4月1日に公開した記事「娘が、プリキュアに追いついた日」は、プリキュアを通じた父娘のやりとりが多くの人の感動を呼び、多数のネットメディアに取り上げられた。



「トロピカル〜ジュ!プリキュア」毎週日曜8時30分よりABC・テレビ朝日系列にて放送中(C)ABC-A・東映アニメーション


このニュースに関するつぶやき

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  • 17話かけて「人間になりたいローラ」を描いたように、これから「人間になって苦しむローラ」を描く…のかな?
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