「N高」労働問題で川上理事「急速な成長で歪が出たという話ではない」 報道機関向けに説明会

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2021年06月29日 19:41  弁護士ドットコム

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労働基準法違反にもとづく是正勧告を受けたことや、教員の過酷な労働実態があると報じられていることをめぐり、私立通信制高校の大手「N高等学校」(N高)を運営する学校法人角川ドワンゴ学園は6月29日、東京都内で、報道機関向けの説明会を開いた。


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この異例ともいえる説明会には、ドワンゴ創業者で、同学園の川上量生理事が登壇。「急速な成長で歪(ひずみ)が出たというのは信じやすい話だが、実態は逆で、毎年、教員の負荷は減っている」と強調した。



N高は2016年4月、沖縄県うるま市に開校。インターネットを活用した高校として拡大している。今年4月には、茨城県つくば市でS高も開校した。ホームページによると、2021年5月現在、生徒数は合わせて1万9732人となっている。



●労基署から是正勧告を受けていた

N高をめぐっては、複数の教員が加盟する労働組合「私学教員ユニオン」が6月11日、記者会見を開いた。



私学教員ユニオンは、振替休日に関する賃金の未払い、休憩時間がとれていないこと、36協定なく残業があったことなどで是正勧告があったと公表。教員1人あたり150人を"担任"しているため、休憩が十分にとれない激務だったと説明した。



一方、角川ドワンゴ学園は6月12日付で、労基署の是正勧告を受けたことは事実としながらも、私学教員ユニオンが記者会見で主張している内容と事実には大きな乖離があると反論。「過重労働である明確な事実は示されていない」と抗議していた。



●「ミスもあったが、大きな枠組みとしては法令にしたがっていた」

角川ドワンゴ学園によると、是正勧告のあった点については、すでに改善しているという。説明会の質疑応答では、記者から「生徒数が急激に増えて、学園の拡大に体制が追いついていないように見えるがどうか?」という質問があった。



N高の奥平博一校長は「是正勧告を受けている以上、追いついていたというのはあれかもしれないが、大きな枠組としては法令にしたがって運営していた。ミスも含めて、(違反が)あったのは事実だ。管理部門の体制強化も開校以来やっており、決して遅れをとったいた認識ではない」と答えた。



川上理事は「開校当初は、他校でやらない初めてのことをやっていたので、教員の負担は非常に大きかった。(一方で)生徒数よりも教員数の伸び率のほうが多く、いろいろな自動化・システム化・分業化をすすめていた。急速な成長で歪が出たというのは信じやすい話だが、実態は逆で、毎年、教員の負荷は減っている」と述べた。


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