ゴジラとコング…もし本当にいたら強いのはどっち? 動物研究家が語る爬虫類と霊長類バトルの真実!

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2021年07月22日 17:25  AERA dot.

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写真世界累計興行収入が500億円を突破した「ゴジラvsコング」 (c)2021 WARNER BROTHERS ENTERTAINMENT INC. & LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC.
世界累計興行収入が500億円を突破した「ゴジラvsコング」 (c)2021 WARNER BROTHERS ENTERTAINMENT INC. & LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC.
 小栗旬のハリウッドデビュー作となった映画「ゴジラvsコング」の世界累計興行収入が500億円を突破した。「ゴジラvsコング」は、「GODZILLA ゴジラ」(2014)、「キングコング:髑髏島の巨神」(2017)、「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」(2019)に続く人気怪獣映画シリーズ「モンスターバース」の第4作目。日米を代表する怪獣のドリームマッチがハリウッドでついに実現したとあって、公開前から注目を集めていた作品だ。先日、記者も映画を鑑賞した。ネタバレになるので内容は紹介できないが、スピーディーな展開でかなり楽しめたといっていい。それに「もし、この世界に、ほんとうにゴジラとコングが実在していたら……」といったありもしない想像が浮かんだ。

【写真】動物研究家・パンク町田さんはこちら

 リアルに戦ったら、どっちが勝つと思うか――動物研究家のパンク町田さんに、そんなバカバカしい質問をぶつけてみると、

「ゴジラを爬虫類、コングを霊長類と分類するなら、あの2体が戦うことはありえない」

 と、バッサリ。どうやらこの戦い、「動物の本能」や「身体の構造」を考慮すると、映画とはまったく違う展開になってしまうようだ。

 ならば、町田さんには映画のストーリーを完全に無視してもらい、動物研究家の視点から「ゴジラvsコング」の勝負の行方を検証してもらった(ゴジラを爬虫類、コングを霊長類として検証)。

*  *  *
 今回の映画に登場するゴジラとコングのスペックは、下記のように公表されている。

【ゴジラ】
身長:393フィート(約120メートル)/攻撃法:放射熱線、テールハンマー、背びれカッター/熱線エネルギー放射量:3.15×1014ジュール[10の14乗]/尾の長さ:582フィート(約177m)/尾の最高スワイプ速度:時速89マイル(時速約143キロメートル)/水中移動速度:40−50ノット(時速約74−92キロメートル)/声の大きさ:最大174デシベル/歯の長さ(根元から先まで):4−5フィート(約1.2−1.5メートル)/歯の数:60本/足の一番幅広い部分の合計:64フィート(約20メートル)/血液量:530,000ガロン(約200万リットル)/骨の引張強度:3,000メガパスカル

【コング】
身長:337 フィート(約103メートル)/攻撃法:クェークスラム、フィンブレイカー、空中戦斧/パンチの威力:最大マグニチュード 4.2相当/骨の引張強度:2,800メガパスカル/声の大きさ:最大170デシベル/歯の長さ(根元から先まで):2.5−4フィート(約0.8−1.2メートル)/歯の数:32本/腕の最高スイング速度:時速62マイル(時速約100キロメートル)/最高二足走行速度:時速78マイル(時速約126キロメートル)/最高四足走行速度:時速104マイル(時速約167キロメートル)/足の一番幅広い部分の合計:55フィート(約17メートル)/好きな食べ物:葉、竹、大ダコ

 町田さんが2体のスペックを比べて真っ先に気になったのは、「呼吸法」だ。

「100メートルを超えるような大きい生物が、あれだけ素早いスピードで動くには大量の酸素が必要です。なので、2体とも非常に優れた呼吸システムを持っているといえますね。ゴジラに関してはいえば、爬虫類なので肺呼吸と鳥類のような気嚢器官(肺の補助器官)を持っている可能性が高い。おそらくそれが上腕骨や大腿骨などの骨の中にまで入りこんでいるのでしょう。あと、背ビレのような突起がかなり大きいのは、表面積を増やし、皮膚呼吸と放熱をするために進化したと推測します。ただ、コングに関しては霊長類なので、気嚢器官を持っているとは考えにくい。でも、肺呼吸だけでは酸素が足りなくなる。いったい、どうやってあんなに動けているのかは、ちょっとこれだけの情報では判断が難しいですね」

 また、町田さんは、ゴジラを環境によって体温が変化する「変温動物」、コングを環境が変化しても体温を一定に保つ「恒温動物」だと推測。ちなみに恒温動物は、つねに身体の中(多くは細胞)で熱を作り出しているため、コングのような大きな身体で激しい運動をしてしまうと、放熱が追いつかないため、熱がたまりすぎ、数分で脳死する可能性もあるという。

 つまり、戦いの時間が長引けばコングは死んでしまうので、ゴジラが有利だろうと町田さんは推測。しかし、前述したように、町田さんはそもそも「ゴジラとコングは映画のように戦うことはありえない」と語っている。それはなぜか。

「現生種において、人類以外の霊長類は、蛇や大型のトカゲのような爬虫類が大嫌いです。なので、コングはゴジラを見た時点で絶対近づかない。おそらくゴジラと100〜200メートルほどの距離はとるはずなので、映画のように接近して殴り合うような戦いには、まずならないでしょうね。もし、攻撃したとしても、遠くから石を投げたり、長い棒でゴジラを突っつくくらいが精一杯。場合によってはゴジラの尻尾を見ただけでも、逃げ出す可能性もあります」

■食べる必要ない生物に接近戦しない

 では、爬虫類であるゴジラは、どんな反応をするのか。

「ゴジラに関しても、尻尾をバンバンと動かして、口をあけて威嚇などを行う程度でしょうね。ボクサーでいえば、尻尾はジャブのようなもの。ゴジラもコングと同じで、まずは距離をとるはずです。ゴジラは、コングを食べて生きているわけではないですからね。食べる必要のない生物にわざわざ接近して戦うっていう行動は基本的にはとらないと思います」

 だが、霊長類らしきコングなら自分の家族や仲間などが危険にさらされるような状況に陥れば、相手に接近して戦う可能性もゼロではないという。では、そうなったと仮定して、ゴジラとコングは、どちらが強いのか。

「身長はゴジラのほうが高くても、力はコングのほうが圧倒的にあると思います。普通に考えれば、同じくらいのサイズ感であれば、爬虫類よりも霊長類のほうが力はあるからです。おそらくですが、コングのパンチが1発、2発入るだけで、ゴジラは相当痛い。失神はしないでしょうけど、戦意を喪失させるには十分な破壊力です。通常サイズのチンパンジーやゴリラでも300〜500キロの握力がありますからね。ゴジラの頭は意外と小さいので、コングがアイアンクローをしただけでも下手したら勝つかもしれない」

 陸上で接近して戦ったらコングが有利と言い、「殴り合いでは相手にならない。曙がホイス・グレイシーと戦っても勝てなかったのと同じですよ」とみる。

■ゴジラ最大の必殺技

 一方のゴジラは接近すると、どんな攻撃を繰り出すのか。

「ゴジラの身体の構造からして、パンチやキックはおそらくコングのようにはできない。噛みつきや尻尾での攻撃が基本になるでしょうね。でも、その程度の攻撃は、コングは避けてしまうでしょうから、接近戦ではやはりゴジラの分が悪い。ゴジラの水中移動速度は時速約74〜92キロみたいなので、水中で戦えば有利になるでしょうね。コングはきっと泳げないでしょうから」

 だが、ゴジラには最大の必殺技がある。口から吐き出す「放射熱線」だ。

「コングが勝つには接近するしかないのですが、ゴジラが放射熱線を使ったらコングに勝ち目はないでしょうね。あんなものを浴びて生きていける生物はクマムシぐらいですから!(笑)。もし、うまく避けられたとしても、コングはその場から逃げ出すに違いない。人間を襲う猿ってたまにいるでしょ? ああいう猿でも、猟銃を持った人間には絶対近づかない。それと同じです」

 ちなみにゴジラが吐く放射熱線のエネルギー放射量は「3.15×1014(10の14乗)ジュール」。これは、いったい、どのくらいの威力なのか。

 福島大学環境放射能研究所に聞いてみたところ、「日本の夏の快晴時の1日の日射量を『1億年分』集めたエネルギーに相当する」ということらしい。何やらイメージしづらいが、莫大なエネルギーであるということはわかる。たしかに過去の作品では車や建物が溶けたり、一瞬で焼き切れたりするなどの描写が存在する。コングがいかに知性と腕力を駆使しても、あれを食らったらやはり勝負ありか。町田さんは「防ぐには『新世紀エヴァンゲリオン』のATフィールドくらいしかないですよ」と笑う。

 架空の生物に理屈を当てはめること自体、野暮なこと。だが、たまにはこんな楽しみ方もありではないだろうか。「ゴジラvsコング」を制作したレジェンダリー・ピクチャーズは、次回作に着手しているという噂もある。今度はどんな戦いが実現するのか。楽しみに待ちたい。(文/AERA dot.編集部・岡本直也)

◎パンク町田/1968年8月10日東京生まれ。ULTIMATE ANIMAL CITY代表(UAC)。NPO法人生物行動進化研究センター理事長、アジア動物医療研究センター(日本ペット診療所)センター長、昆虫から爬虫類、鳥類、猛獣といったありとあらゆる生物を扱える動物の専門家であり、動物作家。野生動物の生態を探るため世界中に探索へ行った経験を持ち、3000種以上の飼育技術と治療を習得している。UACの1セクションであるアジア動物医療研究センターでは種の保存を考え、希少動物の医療研究も日本一の臨床データ数を誇る。独特の容姿と愉快なキャラクターがうけテレビ出演も多数。その他動物関連での講演、執筆など多方面で活躍中

このニュースに関するつぶやき

  • 五輪開会式にゲーム音楽が多用されたが。欧州や米国の演出家から「ゴジラのテーマかポケモンが良かった」って声が多いらしい。
    • イイネ!3
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  • もし本当に居たら逃げなきゃ行けないので、そんな事を考えてる暇がないよww
    • イイネ!61
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