VTuber・ライバーシーンを“世界”の視点から考えてみる 日本との違いは“ファンコミュニティとの交流”と現地人気の深い繋がりに?

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2021年07月25日 12:01  リアルサウンド

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リアルサウンド

(画像=YouTubeより)

 2017年ごろからはじまった、バーチャルYouTuberのムーブメント。その勢いは国内を飛び出し、アバターを使い、あるいはそこにキャラクター設定を乗せた配信は、いまや英語圏や中国語圏など様々な地域で見かけられるようになった。


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 注目したいのは日本語で活動しながら海外でも人気を集めるVTuberが多数存在する点だ。彼らはどのように現地での人気を集めているのか。ファンコミュニティに注目しながら重要点を探る。


・中国・bilibiliでの活動を支える現地のファンコミュニティ


 中国の動画投稿サイト・bilibiliで人気を集める日本語圏のVTuberも多数存在する。中には日本語のYouTubeチャンネルよりbilibiliでの登録数が多いという例もあるから驚きだ。


 彼らの活動を支えるのが現地の“字幕組”と呼ばれるファンコミュニティの存在だ。bilibiliで活動しているVTuberには、先に動画を転載していた字幕組から相談を受けて本格的に活動を始めたという声も聞かれるほど重要な存在だ。


 彼らは日本語圏のVTuberの動画に字幕を付けるだけでなく、bilibiliでの配信のチャット欄で同時通訳のような役割を果たしたり、中国の文化に精通していないVTuberたちにアドバイスをおこなったりと、VTuberたちのbilibili上での活動に欠かせない存在となっている。アドバイスなどのコミュニケーションはVTuberとそのファンとの結束を高めるためにも機能しているだろう。


・Redditの活発なミーム生成


 英語圏で有名なコミュニティといえばRedditの存在が挙げられる。同言語では最大規模の掲示板サイトであり、サブレディットと呼ばれる「r/VirtualYoutubers」「r/Hololive」など話題ごとに分割されたページには、日々多くの投稿がなされている。


 こうしたコミュニティの中で流通しているのがいわゆるミーム(meme)と呼ばれる投稿だ。「文化の中で人から人へと拡がっていくアイデア・行動・スタイル・慣習」とリチャード・ドーキンス『利己的な遺伝子』で提唱されたこの概念は、インターネット上では面白画像・ネタ投稿のことを指す単語として受け入れられている。


 Twitter上で「No Context 〇〇」「Out of Context 〇〇」という名前のアカウントが投稿する面白動画やネタ画像を見かけた経験のある方も多いかもしれない。文字通り文脈や背景のない、説明不要で楽しめるコンテンツはどこの言語圏でも広く拡散され、再生産されている。英語圏のRedditであろうと中国語圏の微博だろうとそれは同じだ。


 このようにその言語圏でのミーム、話題やファンコミュニティと積極的に交流していくことは、海外で受け入れられるために不可欠な行為である。


 例えば、先日ホロライブを卒業した桐生ココは「REDDIT SHITPOST REVIEW」と題した配信を不定期でおこなっていた。Redditの投稿を紹介するこの企画は、桐生ココ側からRedditのコミュニティへの歩み寄りであると同時に、Redditのファンたちにとっても配信で取り上げられることはミーム制作のモチベーションになったに違いない。


 桐生ココの配信は英語圏のファンにVTuberを紹介するのはもちろん、英語話者のVTuber、たとえば「ホロライブEnglish」のメンバーを日本語圏のファンに紹介するハブのような役割を果たしていた。


・ファンとの交流は当然、日本でも不可欠


 VTuberの成功のためにファンやコミュニティとの交流が必要となる構図は日本語圏でも同じだ。


 例えば、日本はTwitterのユーザーが他の言語よりも活発に活動していることで知られている。「文脈や背景のない」と言いながら、ミームにはミーム独自のトレンドが存在する。日々移りゆくハッシュタグを使った大喜利などはお馴染みだ。それらにキャッチアップし日本語圏のファンの心を掴むことが、非日本語圏出身のVTuberの成功の秘訣となるのかもしれない。(ゆがみん)


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