阿部兄妹が試合直後に語った「感謝」の言葉、更なる成長を予感した2人の“人柄”

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2021年07月26日 00:35  AERA dot.

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写真史上初の快挙を達成した阿部兄妹。右が妹の詩、左が兄の一二三 (c)朝日新聞社
史上初の快挙を達成した阿部兄妹。右が妹の詩、左が兄の一二三 (c)朝日新聞社
 柔道男子66キロ級の阿部一二三と女子52キロ級の阿部詩が、史上初のきょうだい「同日金メダル」を獲得した。

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 まずは妹だ。初戦となる2回戦で釣腰での技ありから抑え込んで合わせ一本勝ち。準々決勝では隅落での返し技ありで優勢勝ち。準決勝は延長の末に鮮やかな内股で技ありの勝利。そして決勝戦も延長4分、試合時間8分に及ぶ激闘の末に崩袈裟固で一本勝ち。女子52キロ級では日本人初となる金メダルに輝いた。「私が52キロ級で絶対に金メダルを取ってやろうという気持ちで臨みました」と気迫十分に最後まで集中力を切らさず。「初めてのような感覚が舞い降りてきました」と、うつ伏せたまま両方の拳で何度も畳を叩き、歓喜の涙を流した。

 それに兄も続いた。初戦の2回戦を大外刈り一本勝ち。続く準々決勝も再び袖釣り込み腰と見せかけての大外刈りで優勢勝ち。準決勝では、潜めていた得意の担ぎ技である一本背負いを決め切って一本勝ち。そして決勝戦では、再び大外刈りで技ありを奪い、そのまま相手を寄せ付けずに終了の合図。「今日は落ち着いて冷静に自分の柔道ができて、しっかり前に出て一本を取りに行く柔道を出せた」。試合中も試合後も一切表情を変えることがない貫禄の金メダルだった。

 この日の阿部兄妹には、共通点が多くあった。ともに金メダル最右翼で相手からのマークが非常に厳しかった中、自らの柔道を貫き、危なげない“王者の戦い”を見せたこと。そして金メダル直後のインタビューコメントで開口一番、周囲への感謝の言葉を発したことである。

「まず、やはりこのような状況で、たくさんの人のおかげでこのオリンピック開催までたどり着いて、畳の上ではガッツポーズとか笑顔はと思っていたんですけど、いろんなこと考えると、たくさんの思いがこみ上げてきました」と兄・一二三。妹・詩も「東京オリンピックが開催されるかわからなかった状況でしたけど、このように開催していただいて、金メダルを取ることができた」と、最後まで開催が危ぶまれていた東京五輪開催が無事に開催されたこと、例え無観客でも自分の柔道を披露する舞台を整えてくれたことに対して頭を下げた。

 さらに兄・一二三は言う。「このようなすごく大変な時期でオリンピック開催をして僕たち選手はありがたいです」。妹・詩も「本当に4年間、この大会だけを目指して日々で努力してきたいので、こうやって報われてよかったです」と素直な気持ちを明かした。この言葉は、今大会に出場しているすべてのアスリートたちの言葉でもあるだろう。現状、コロナ禍での東京五輪開催に対する不安、否定的な意見が当然、多くある。だが、この日の阿部兄妹の戦い、そして試合後の言葉を聞くと、開催することの意義が間違いなくあることを、五輪は選手ファーストであるべきことを、多くの日本人が改めて感じることができたことだろう。

 インタビューの最後、日本のファンへ向けて「みなさん本当にこういう状況の中応援ありがとうございました。これからもっと努力して素晴らしい金メダリストになれるように頑張ります」と宣言した妹・詩。「これからもオリンピックチャンピオンに恥じないように頑張っていくので応援よろしくお願いします」とは兄・一二三。礼に始まり、礼に終わる。ともに柔道家として、決して浮かれることはない、更なる成長を今後も予感させる言葉を残した。大会自体はまだ3日目だが、この兄妹金メダリストの誕生が、東京五輪のハイライトの一つであることは、間違いないだろう。














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