絶対飼えない絶滅危惧種に狄┐譴覘瓮痢璽函嵋槓と違う、むしろ望むところ」開発者が伝えたかったこと

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2021年07月28日 07:00  ウィズニュース

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写真本来触ることが叶わない、絶滅危惧種。その手触りを確かめられるとうたう、規格外のノートが、ネット上で反響を呼んでいます。=TRINUS提供
本来触ることが叶わない、絶滅危惧種。その手触りを確かめられるとうたう、規格外のノートが、ネット上で反響を呼んでいます。=TRINUS提供

本来、絶対飼うことのできない動物に触れたら、どんな印象を受けるだろう――。そんな疑問から生まれたノートが、「全く新しい体験をさせてくれる」と、SNS上で話題をさらっています。絶滅危惧種の「肌」をイメージした表紙が、人々の度肝を抜いているのです。取り扱うのは、東京都内の企業。多様な生命を守りたいという願いと、人間の想像力に対する信頼が、開発の背景にありました。(withnews編集部・神戸郁人)

【画像はこちら】実際の動物と比べてみると…本物そっくり!拡大して見ても凄い、絶滅危惧種の「肌」ノート

3種の野生生物をモチーフに
「絶滅危惧種をテーマにしたファッション雑貨」。そんなうたい文句で人気を集めているのが、デザイン雑貨などの製造・販売を行うTRINUS(東京都渋谷区)のノート「frelco note(フレルコノート)」です。

とりわけ、その表紙デザインが、人々の目を引いています。

フィジーイグアナ・ジンベエザメ・アミメキリンの3種の表皮を、緻密に再現。いずれも国際自然保護連合(IUCN)が、絶滅が懸念される動物を指定する、「レッドリスト」に名を連ねています。

フィジーイグアナは、南太平洋の島国フィジーに生息する爬虫類です。鮮やかな黄緑の地肌に、白っぽい帯が浮かぶ外観から、「世界一美しいイグアナ」と呼ばれます。その色みと、うろこ状の肌理(きめ)を、凹凸が施せる「UV厚盛り印刷」により表しました。

そして水族館の人気者・ジンベエザメ。その名の通りサメの仲間ながら、プランクトンを主食とする温和な性質です。地球上で最大の魚類でもあります。極小ビーズを混ぜ込む「テクスチャ印刷」で、白い斑点が広がる外皮に似せています。

最後に紹介するアミメキリンは、ケニアやエチオピアで暮らす、キリンの亜種です。赤褐色の、編み目のような斑紋が、体中を覆っています。紙に貼り付けた不織布の上から、柄を直接刻む「不織布印刷」の技術を用いて、ふわふわとした毛並みを実現しました。

「大型動物の触感はなかなか体験できない。こういう本が増えて欲しい」「家で野生生物に触れられる、全く新しい体験型コンテンツ」。SNS上では、その完成度の高さをたたえる投稿が、引きも切りません。

原案は「革製の手袋」だった
前代未聞の試みとも評すべきフレルコノートは、どのような経緯で誕生したのか? TRINUSのディレクターとして、商品の開発に携わった、新井麻亜沙さん(34)に話を聞きました。

同社は基幹事業として、国内のメーカーや研究機関の技術・素材を、商品開発に活用する取り組みを続けてきました。具体的には、まず社外からアイデアを募ります。そこに一般ユーザーの意見を盛り込みつつ、各地の企業などに、製造を依頼するというものです。

今回のケースも、2015年に、外部クリエーターが寄せた案が基礎となっています。元来の趣旨は、絶滅危惧種の表皮の模様をあしらった、革手袋の製作でした。これがノートの形を取るに至った理由を、新井さんは次のように語ります。

「せっかく作るのであれば、少しでも多くの方々に商品を届けたい。その上で、手袋が最適なのか、との思いがありました。買い求めやすい価格で、プレゼントとしても薦められるものは何か。他のメンバーと、スマホケースや革小物、折り紙などを検討してみたんです」

「そしてあるとき、『ノートはどうか』という意見が、チーム内から出ました。これなら『本来触れない生き物に触れる』というコンセプトを、存分に体現できます。日常的に親しめる製品であり、日本の印刷技術も活かせるため、取り組むことになりました」

未知の感触にわくわくしてもらう仕掛け
商品の開発は、同社内のチームに加え、過去に協業した経緯がある、女性4人組のクリエーティブユニット「heso」とも手を携えつつ推し進めました。

悩ましかったのが、ノートのモチーフとする絶滅危惧種の絞り込みです。そもそも開発チームのメンバーに、動物に詳しい人はいなかったといいます。時間をかけて調査を続け、グレビーシマウマやアジアアロワナなど、7種ほどを候補としました。

いずれも、人間による住環境の破壊や、乱獲の犠牲になっている点は共通しています。そのため、生息域が似通っていない、知名度が高すぎないといった条件に照らして、選定作業を進めていきました。新井さんが振り返ります。

「特徴を知ったとき、『へぇ!』と驚いてもらえる動物がいい、と思っていました。その点で、最終的に選び出した3種は理想的だったんです」

「分かりやすいところで言えば、『陸上で世界一背が高い』とされるアミメキリンなど、それぞれ何らかの『世界一』の称号を持っています。しかも詳しい生態について、一般にはそれほど知られていない。今回の企画にふさわしいと感じました」

取り上げる生き物は決まったものの、対象となるのは絶滅危惧種です。参考資料として、表皮を調達するわけにもいきません。そこで、3種の高精細写真を購入。一枚一枚観察し、触り心地を想像しながら、デザインに落とし込む方法を探りました。

「このやり方だと、実物と全く異なる質感に仕上がる事態も、当然想定されます。しかし『本物と違う』という意見は、むしろ望むところ。重要なのは、表紙に触れたときに何を感じるか。購入者との間に、コミュニケーションを生み出すことが大切なんです」

ノートに触ることで、未知の感触にわくわくしつつ、動物たちの境遇に思いをはせてほしい。そのような願いから、「触れる、この手」というフレーズにちなみ、商品を「フレルコノート」と名付けました。

見返し部分の配色に込めた思い
ノートの印刷や装丁は、動物の肌質を表現可能な、特殊印刷の専門技術を持つ、複数の企業に依頼。全体の面立ちを整えていきました。

ところで、動物の存在を感じ取られるポイントは、表紙だけではありません。例えば、見返し部分の配色です。アミメキリンなら舌の色と同じ紫、といった具合に、種そのものを連想させる色の紙を貼り付けました。

更に裏表紙を開くと、モチーフとなった動物のイラストがプリントされています。その下には、学名や生息域、身体上の特性といった解説を、和文と英文で掲載。基礎情報を、一覧できる仕様になっているのです。

「毎日ノートに触れ、ページをめくる。その営みを繰り返す中で、少しでも絶滅危惧種のことを考えてもらえるよう工夫しました。単におしゃれな雑貨品と捉えられることを避け、購入者の保全意識の向上につなげたいとの意図が背景にあります」

こうした点は、ノートの売り上げの一部を、動物保護団体に寄付する取り組みにも表れています。ユーザーの代わりに動くことで、次に自らが取るべき行動について、考えてみて欲しい。そのような思いを込めていると、新井さんは言います。

「動物を守る手立ては、一つではありません。募金をしたり、日々の生活環境や、消費の対象を変えたり。それぞれ正解であるはずです。フレルコノートが、自分自身にとって最適な方法を検討するための、きっかけになればいいなと思います」

「人間の想像力はすごい」
こうした製作過程を経て、新井さん自身、動物に向けるまなざしが変わっていったそうです。

「以前は動物園を訪れると、それぞれの生き物の大きさや、コミカルな動きなど、表面的な情報に注目していました。でも今は、動物の生息域が位置する国の情勢、その種が保護されるべき理由といった点まで、考えています」

同じような変化を、たくさんの人々に体験してもらいたい――。新井さんたちの願いは、ノートのユーザーたちに、届いているようです。

今春に予約者限定で発売したところ、900件の注文が舞い込みました。7月に一般販売が始まると、開始から5日目の時点で、更に500件近く受注したといいます。同社が過去に手掛けてきた商品と比べても、非常に好調な売れ行きです。

実際に手に取った人物からは、「亜種が色々いるとは知らなかった」「ノートに触ったことで、遠くにいる動物たちを身近に感じられた。自分にできることは何だろうかと考えた」といった声が上がっています。

商品に興味を持っている層に、どんなことを伝えたいですか――。新井さんに尋ねてみると「幅広く受け入れて頂いているのは、本当に光栄」とした上で、こう答えてくれました。

「開発中、実際に動物に触れられず、購入者の反応が心配でした。でも動物学者の方などから、『本物そっくり!』との感想をいただき、正直ほっとしました。目で見たことを指先に落とし込める。人間の想像力はすごいと、改めて感じています」

「そしてぜひ、ノートの中身にも注目して頂きたい。5ミリ四方のドット式方眼が印刷され、自由度が高い仕様です。これには『生き方に正解はない』とのメッセージを込めました。人生を切り開いていく全ての方にご購入頂けたら、と思います」

フレルコノートの価格は、1冊1800円(税込み)、3冊セットで5000円(同)。同社のウェブストアで購入できます。また、今回モチーフにできなかった動物については、後日改めて商品化する方向で検討中とのことです。



※「flerco note」の販売ページ(TRINUSのウェブストア)
https://trinus.jp/store/products/detail/284

このニュースに関するつぶやき

  • 再現力だな。キリンは毛皮だし、ジンベイザメの表皮は10cm厚あって、ゴムタイヤ並。「本物と違う、むしろ望むところ」ってダメだろそれ。
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