大橋、本多の陰で“メダルの波”に乗り遅れた瀬戸大也、「最後の競技」で巻き返せるか

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2021年07月28日 16:55  AERA dot.

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写真200mバタフライでも決勝進出を逃した瀬戸大也 (c)朝日新聞社
200mバタフライでも決勝進出を逃した瀬戸大也 (c)朝日新聞社
 うまく言葉が出てこない。瀬戸大也の頭のなかには、なぜ、が渦巻いていたからかもしれない。

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「もう400m個人メドレーも200mバタフライも終わってしまったので。多くても、自分の五輪はあと3レースしかないので、しっかりと、1本1本やっていきたいと思います」

 男子200mバタフライの準決勝で、自己ベストから3秒近く遅い1分55秒50というタイムで11位に終わり、決勝に進めなかった。タイムを確認すると、呆然とした表情を見せ、何度も電光掲示板を確認した。

「やるべきことをやっているのに、決勝に進めない」

 本当に、やるべきことががやれているのだろうか。もしかしたら、トレーニングという意味ではできているのかもしれないが、勝負は練習だけで決まるわけではない。瀬戸は、その最後のピースを埋められないまま、ここまできてしまった。

 反対に、バッチリとピースが埋まった選手もいる。女子200m、400m個人メドレーで日本初となる女子選手で五輪2冠という快挙を達成した大橋悠依だ。

 彼女は昨年末のインターナショナルスイミングリーグに出場したあと、体調を崩し少しばかり休養を取っていた。4月の日本選手権も、どこかエンジンがかかっていないように見えるタイムと泳ぎだった。だが、五輪まで残り1カ月を切ったところでの高地合宿でスイッチが入り、一気に調子を上げていった。

 彼女だけではない。男子200mバタフライで瀬戸を下して8位ギリギリで決勝に進んだ本多灯も、最後のピースをはめた選手だ。

 ノーマークの位置から100mを4番手で折り返すと、得意のラスト50mではまるでリオデジャネイロ五輪の坂井聖人を彷彿とさせるような泳ぎで、前を行くフェデリコ・ブルディソ(イタリア)、チャド・レクロス(南アフリカ)の2人を抜き去り、1分53秒73の自己ベストで銀メダルを獲得した。

 本多は日本選手権以降、6月のジャパンオープン2021、五輪本番直前の神奈川県での大会と、ひとつ一つ階段を上るように自己ベストを更新し続けてきた。そして、最後に本番で狙っていた1分53秒台にまで記録を押し上げて栄光を勝ち取ったのである。

 瀬戸のレースは、どこか先のことを考えたレースをしているように感じられる。400m個人メドレーの時は、翌日午前に行われる決勝のために体力を使わない選択をしたことで敗退した。200mバタフライは、予選後で1分55秒26だったにも関わらず、準決勝では予選よりも後半に失速して1分55秒50にタイムを落としてしまった。ただ、全力を出し切ったというよりも、どこかすべてを出し切っていないように思えた。それは瀬戸のコメントにも表れている。

「うまく泳げなかったので……。また決勝に駒を進められませんでしたし、うーん……難しいなって思います」

 うまく泳ぐ必要はない。400m個人メドレーでのミスを払拭するには、一度全力を出し切ってしまったほうが良い。特に、瀬戸は今まで最初から最後まで、常に全力疾走だった。予選も、準決勝も、決勝も。だが、ここにきてレースをコントロールしようという意識が強すぎるのか、全力で泳ぐことを拒否しているようにすら思えてしまう。

 瀬戸自身が言っていたように、残りは200m個人メドレーを残すのみ。予選だから、準決勝だからではなく、とにかく1本、東京五輪という舞台で全力で泳いでほしい。そうすれば、きっと身体にも、気持ちにもスイッチが入るはずだから。

 200m個人メドレーには、長年切磋琢磨してきた萩野公介も出場する。リオデジャネイロ五輪のときは400mだったが、今回は200mで、同じように表彰台をともに獲得するようなレースを期待して。

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