東京五輪の日本代表出身高校ランキング 2位は水谷隼の青森山田、瀬戸大也の埼玉栄、1位は?

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2021年07月29日 09:00  AERA dot.

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写真青森山田出身の水谷隼選手と、埼玉栄出身の瀬戸大也選手(c)朝日新聞社
青森山田出身の水谷隼選手と、埼玉栄出身の瀬戸大也選手(c)朝日新聞社
 東京2020大会が始まり、メダル獲得のニュースが続々と入ってきている。

【ランキング】意外な高校も!日本代表の出身高校ランキングはこちら(全2枚)

 オリンピック日本代表は幼少のころからスポーツに打ち込んできた。金メダルを目指してエリート教育を受けた者も多い。一方で、高校時代に打ち込んだクラブや部活動で競技に目覚めた者もいる。

 オリンピック日本代表の出身高校を調べて集計し、ランキングを作ってみた。上位には部活動が盛んで、インターハイや高校選手権の常連校が並んでいる。日本代表の出身高校から、全国の高校のスポーツ勢力図を見ることができ、興味深い。

 1位は秀明英光高校(埼玉)。その数は12人と、2位以下を大きく引き離す。全員が水球の選手である。同校水球部はインターハイで4回優勝、9回準優勝という、全国屈指の強豪校だ。

 秀明学園水球部総監督の加藤英雄さんは、秀明英光高校水球部の特徴をこう話してくれた。

「秀明水球の合い言葉は電光石火です。攻撃的なスタイルを貫くことを掲げています。水球は水中の格闘技と言われますが、ボールゲームです。世界で通用するよう、判断の速さ、アジリティ(俊敏性)、視野の確保など、高い技術を身につけられるように指導しました。秀明英光出身の選手は背は高くないですが、全体的にスピード感があり、欧米の2メートル近い選手と互角にわたりあえます。今回、自国開催のオリンピックでナショナルチームとして試合に出られるのは運命的なものがあり、幸せなことです。もちろん、勝ち進んでほしいですが、オリンピックを思いっきり楽しんでほしいです」

 2位は6人の青森山田高校(青森)、埼玉栄高校(埼玉)、帝京高校、東亜学園高校(以上、東京)、県立横田高校(島根)、県立岐阜各務野高校(岐阜)だ。

 青森山田高校のサッカー、卓球、硬式野球、バドミントン、新体操部は全国大会の常連で、「文武両道」を目指している。

 青森山田には、卓球混合ダブルスで金メダルを獲得した水谷隼がいる。バドミントンダブルス代表の永原和可那、福島由紀は、藤田真人監督の下で寮生活をしながら技術を磨いてきた。2人は世界選手権で優勝経験がある。藤田監督は次のような応援メッセージを送ってくれた。

「福島、永原も青森山田高校で3年間頑張った選手。オリンピックでは気力、迫力、全力の山田魂で挑んでほしい」

 テニスの錦織圭も同校の通信制過程で学んでいた。福原愛(2012年、16年大会出場)もOGだ。

 埼玉栄高校には競泳の瀬戸大也、ウェイトリフティングの三宅宏実がいる。16年大会では同校出身の山室光史、加藤凌平が体操男子団体で金メダリストとなった。

 岐阜各務野高校、横田高校は全員ホッケーの日本代表である。岐阜各務野高校がある各務原市、横田高校がある仁多郡奥出雲町はいずれもホッケーが盛んな地域であり、少年チーム、実業団チームが活動している。

 岐阜各務野学校の女子ホッケー部は、前身の岐阜女子商業高校から数えてインターハイ優勝24回、準優勝15回という圧倒的強さを誇る。教頭の加藤覚先生はこう話す。

「1963年に創部し、インターハイや国体などの全国大会において70回以上の優勝実績がある部活動です。部員のほとんどがホッケー未経験ですが、初心者から始めても全国優勝が十分に狙えるチームづくりをしています。東京オリンピックには6名の卒業生が選手として、1名がコーチで選出されたので、学校を挙げて応援をしたいと思います」
 
 横田高校の男子ホッケー部はインターハイ優勝5回、準優勝4回を誇る。監督の伊藤直登さんがこう話してくれた。

「ホッケーの町、島根県奥出雲町で高校時代に身につけたホッケーの技、冬の寒さや雪に負けずに走り込んで身につけた体力を武器に、自国開催のオリンピックの舞台で後悔のないよう全力でプレーをしてきてください。地元から応援しています」

 8位5人は洛南高校(京都)、桜花学園高校(愛知)、近畿大附属高校(大阪)、天理高校(奈良)だった。

 洛南高校には2コースがある。「空パラダイム」では難関大学進学者が多く、同コースを中心に2021年東京大26人、京都大70人の合格者を出した。「海パラダイム」は生徒の個性を伸ばす教育を行っており、課外活動を重視するプログラムがある。

 ここから多くのアスリートが生まれた。東京2020大会代表のうち、 陸上競技の桐生祥秀は東洋大に進み、2017年に100メートル走9秒98を出し日本人初の9秒台を記録した。バスケットボールの比江島慎は青山学院大、バレーボールの大塚達宣は早稲田大に入学し、大学スポーツで活躍している。

 桜花学園高校は全員バスケットボール(うち3人制が2人)、近畿大附属高校は競泳3人とアーティスティックスイミング2人、天理高校はホッケー3人と競泳2人となっている。

 12位4人は県立ふたば未来学園高校(福島)、県立伊吹高校(滋賀)、豊川高校(愛知)となっている。

 ふたば未来学園高校は、東日本大震災の復興のさなかに生まれた学校といっていい。福島県双葉郡の県立高校(双葉高校、浪江高校、浪江高校津島校、富岡高校、双葉翔陽高校)は、震災によって、自校での授業再開のめどが立たず、2015年度からの募集を停止した。その後、県と双葉郡の復興を実現する鍵は人材育成にあるとして「双葉郡教育復興ビジョン」を掲げ、中高一貫教育校のふたば未来学園高校が開校した。2019年にはふたば未来学園中学校が開校し併設型中高一貫校となった。

 ふたば未来学園高校の前身、富岡高校出身にはバドミントンの桃田賢斗がいる。高校1年のときに震災が起きた。彼は震災後の母校を見て、こう話していた。

「いつも練習していた体育館の蛍光灯が全部落ちて、照明のガラスも割れていました。教室も、机や椅子が倒れて教科書が散らばっていて、廊下は足の踏み場がないくらい。そこだけ時間が止まっているような感じでした」(Yahoo!コラム=平野貴也 2021年3月8日)

 豊川高校は競泳3人と陸上1人、伊吹高校は男女2人ずつ全員ホッケーの代表である。

 15位3人は札幌山の手高校(北海道)、作新学院高校(栃木)下北沢成徳高校(成徳学園高校、東京)、至学館高校(愛知)、府立洛北高校(京都)、羽衣学園高校、大阪桐蔭高校(いずれも大阪)など17校だった。

 羽衣学園高校から、東京2020大会で初採用されたスポーツクライミングの代表に原田海が選ばれた。学校のウェブサイトではこう紹介されている。

「在学中から優れた能力を発揮し、国内にとどまらず、単身で海外の様々な大会を転戦し、高校在学中から素晴らしい活躍を見せていました。昨年末に日本代表に選出され、各種世界大会で好成績を残すと共に、SNSでも積極的にメッセージを発信するなど、注目のトップアスリートです! 世界の舞台での活躍を期待したいと思います! 」(2021年6月16日)

 下北沢成徳高校出身は女子バレーボールだ。荒木絵里香は08年、12年、16年に続いて4大会連続出場となる、12年大会は主将をつとめたベテランだ。女子バレーボール代表では最年長で、オリンピック期間中に37歳を迎える。OGには木村沙織がいる。彼女も04年、08年、12年、16年と4大会連続出場し、初めて代表となった04年は「スーパー女子高生」として注目された。

 至学館高校出身は女子レスリングだ。代表のうち川井梨紗子、土性沙羅はすでに金メダリストとなっている。彼女たちはいずれも至学館大に進んだ。同校の強みは系列の至学館大レスリング部と一緒に練習していることだ。高校生にとって、至学館大の学生でオリンピックや世界選手権優勝者から多くを学べるのは、たいへんな刺激になる。OGに4大会連続で金メダルを獲得した伊調馨がいる。

 府立洛北高校出身の3人はいずれもハンドボールの代表だ。同校は1870(明治3)年、京都府中学校として開校した。日本最古の旧制中学と言われている。京都府立第一中学などに改称され、湯川秀樹、朝永振一郎といったノーベル賞学者を生んだ。2020年には創立150周年を迎えた。

 洛北高校は2014年に普通科文理コース、普通科中高一貫コース、普通科スポーツ総合専攻を設置し、難関大学進学指導、スポーツ選手育成に力を入れている。2021年京都大合格者は22人を数えた。一方で、女子はハンドボールではインターハイ27回出場、8回優勝している。普通科スポーツ総合専攻についてPTA会誌でこう紹介されている。

「ハンドボール(男女)、サッカー(男)、ラグビー(男)、陸上競技(男女)、バレーボール(女)のいずれかの部に所属しながら、学習と部活を両立させるスポ専。マリンスポーツや実習やゴルフ実習、スケート実習などスポーツに関する授業が豊富です」(「洛北 京都府立洛北高等学校PTA会報 No.106」2020年2月28日)

 洛北高校出身のオリンピック代表には、京都府立一中時代の原田正夫(1936年大会、陸上三段跳びで銀メダル)、洛北時代になって中田有紀(2004年大会、七種競技)、上田藍(08年、12年、16年大会、トライアスロン)がいた。

 進学とスポーツとにコースを分けて、施設を充実させ、推薦入試の実施や優秀な指導者の招聘などにより双方に力を入れる。こうした学校運営、教育体制は、これまで私立高校が得意とするところだった。今後、公立高校も少子化対策として、洛北高校のように進学、スポーツ両面で実績をあげ、名門校を復活させる、あるいは新たに目指すようになるかもしれない。<文中敬称略>

(文/教育ジャーナリスト・小林哲夫)

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