稲葉ジャパン、ドミニカ戦での改善点。「継投、選手起用、作戦に反省すべき点が出た」

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2021年07月29日 11:31  webスポルティーバ

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 東京五輪で悲願の金メダルを目指す野球日本代表「侍ジャパン」が7月28日、オープニングラウンド初戦でドミニカ共和国と対戦。先発・山本由伸が6回無失点と好投したあと、7回に2番手の青柳晃洋が2点を先制される苦しい展開となったが、9回裏に甲斐拓也のセーフティースクイズで同点に追いつくと、坂本勇人のセンターへのタイムリーで4対3のサヨナラ勝ちを飾った。初戦で出た課題をどう解消し、7月31日に行なわれるメキシコ戦に臨むべきか。ロサンゼルス五輪の金メダリストである秦真司氏が、ドミニカ戦を振り返った。




── 初戦のドミニカ戦は7回に先制され、9回までリードされるという苦しい展開でした。

「ドミニカは先発のC.C.メルセデスが思った以上にデキがよかったので、接戦に持ち込めたと思います。逆に日本からすれば、この戦い方でサヨナラ勝ちをできたのは大きかったですね。稲葉(篤紀)監督も選手たちも初戦で緊張した部分がありました。継投や選手起用、作戦も含めて反省すべき点が出たので、もう一度、適材適所を練り直していく必要があると思います」

── まずは試合を分けたポイントを教えてください。

「2点を追いかける9回一死一、二塁から村上(宗隆)がライト前にタイムリーを放った場面です。相手投手のカバーミスなどでチャンスをもらいましたが、2点差で一死1、2塁ならまだ相手が有利。ドミニカからすればゲッツーを狙える場面ですし、走者を進められてもツーアウトにできれば日本を追い詰めることができる。あそこで村上が打ったのは、ものすごく大きかったです」

── 直後、甲斐選手のセーフティースクイズ(記録は野選)で同点となりました。

「それも村上がライトに引っ張り、一、三塁としたことに価値があります。1点差で一、三塁ならバッターは楽な気持ちで打席に入れますし、ベンチも動きやすい。あの場面で甲斐にセーフティースクイズのサインを出せたのもそれが大きかった。ただし、走者を代えるタイミングはワンテンポ遅いと感じました」

── 村上選手のライト前タイムリーで1点差となり、なおも一、三塁の場面で三塁走者の近藤健介選手に代えて、源田壮亮選手を代走に送りました。

「村上のタイムリーの前、代打・近藤がライト前安打を放って一、二塁としたところで一塁走者を源田に代えておくべきでした。外野の間を抜ければ一気にホームインの可能性もありますし、相手にもプレッシャーをかけることができる」

── 走塁といえば、8回一死から吉田正尚選手のレフト前ヒットで、二塁走者の山田哲人選手が本塁に突入してアウトになりました。

「走塁を含め、作戦面でも改善点が出た試合でした。8回は先頭の山田が出塁して2番の坂本(勇人)に送りバントをさせましたが、相手投手のホセ・ディアスはクイックが1.45〜1.6秒もかかっており、盗塁を仕掛けても面白かったと思います。短期決戦ではこうしたプレーで流れは一気に変わります。選手と監督、コーチが気を引き締めて、次戦以降はスキのない野球をしていくことが必要になってきます」

── 打線では右脇腹痛で心配された柳田選手が7回にレフトオーバーの二塁打を放ちました。ケガの状態は問題なさそうですか。

「逆方向にあれだけ飛ばせたし、問題ないと思います。強引に引っ張る場面もありましたけど、彼のスイングはできていたので大丈夫でしょう」

── 柳田選手は6番で起用されましたが、次戦は(打順を)上げてもいいですか。

「3番か5番でもいいと思います。僕は2番でもいいと思っていたくらいなので......。現状、山田、坂本の1、2番でいいと思いますけど、9番は菊池(涼介)がいいのではないでしょうか」

── ドミニカ戦では甲斐選手が9番でした。

「甲斐が塁に出て、山田が続いたとしても、その形ではダブルスチールなど足が使えません。9番に菊池、1番に山田、あるいは坂本を入れたほうがつながりはいい。そのほうが作戦の選択肢も増えるはずです」

── また、4番の鈴木誠也選手は4打数無安打でした。次戦以降も4番は固定すべきなのか、それとも状況を見て柔軟に対応すべきなのか。

「鈴木の調子が上がってこなければ、変えてもいいと思います。浅村の状態がよければ4番に据え、村上を5番、柳田を6番、鈴木を7番にしてもいい。短期決戦において調子の上がらない選手にこだわる必要はありません。調子重視で、得点できる確率の高い打線を組むべきだと思います」

── 先発の山本投手を無失点のまま6回で交代させましたが、継投はどう見ましたか。

「7回は相手打線に左が並ぶところで、右サイドの青柳(晃洋)に代えました。外に逃げていくシンカーで打ち取れないと、キャッチャーはリードが難しくなります。インハイに入っていくカットボールやストレートをもっと使えればよかったですね。今回の日本代表は左ピッチャーが少なく、左打者に対してどういう右投手をぶつけていかも重要になってきます。個人的にはタテの変化が得意な右投手が有効なのではと思っています」

── タテ変化の右投手となると、平良海馬投手、栗林良吏投手あたりでしょうか。

「ふたりは普通に仕事をできると思います。レギュラーシーズンを見る限り、少し心配に思っていたのは山康晃。かなりいい当たりを打たれていました。ただドミニカ戦でも8回を無失点に抑えたように、気持ちが入るとものすごくいい球を投げるピッチャーです。日本は他国より日程的に恵まれているので、出し渋りしないでどんどん使っていったほうがいいと思います」

── 次戦は7月31日のメキシコ戦です。

「オープニングラウンドは自分たちありきで戦えばいいと思います。ドミニカ戦で出た反省点、さらに相手のミスも自分ごととして反省する。そうした意識づけが組織力を上げていきます。さらに大事なのは、試合のなかで相手の弱点を把握したうえで戦う。グラウンドで選手が感じた"生のデータ"をもとにベンチと一緒に対策を練っていく。それが金メダルに向けて大事になっていきます」

── ドミニカ戦では、相手にどんな弱点を感じましたか。

「たとえばメルセデスはアジリティが高いわけではなく、セーフティバントをしてもダッシュできるタイプではありません。しかも左ピッチャーだから一塁送球は逆モーションになります。だからサードがうしろに下がって守っている時は、足の速いバッターならセーフティーで揺さぶっていく。そういうことをコーチが示唆したり、選手同士で話して狙ったりしてもいい。『この投手は、こうすれば攻略できる』と思っておけば、打てなくても余裕を持って臨めます。そういう分析能力はすごく大事です」

── そのあたりが作戦面の改善点でしょうか。

「そうです。日本は細かくてスキのない野球をするのが得意ですから、すぐに対応できる選手は多いはず。相手にプレッシャーをかける状況をつくっていけるように試合のなかで分析し、実行していく。ドミニカ戦では反省すべき点が多く出たので、そこを改善していければ、次戦以降は日本らしい"スキのない野球"ができるはずです」

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