ウルフ・アロン「愚直にここまでやってきたよかった」柔道男子100キロ級で日本勢21年ぶり「金」【一問一答】

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2021年07月29日 22:30  AERA dot.

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写真柔道男子100キロ級を制したウルフ・アロン(gettyimages)
柔道男子100キロ級を制したウルフ・アロン(gettyimages)
 東京五輪は7月29日、日本武道館で柔道男子100キロ級があり、2017年世界選手権優勝のウルフ・アロン(24)が金メダルを獲得した。日本勢の同階級制覇は00年シドニー五輪の井上康生・日本男子監督(43)以来、21年ぶり。

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 ウルフは決勝で18年世界選手権優勝で韓国の趙グハム(28)と対戦し、延長の末に大内刈りで一本勝ち。同日にあった女子78キロ級の濱田尚里(30)とそろって世界の頂点に立った。

 井上監督は、世界選手権、全日本選手権に続き五輪を制して「三冠柔道家」の仲間入りをしたウルフについて「(自分と)直接対決したらどうなっていたかわからないなと思うような素晴らしい選手」とたたえた。

 ウルフと井上監督の試合後の報道陣とのやり取りの全文は以下のとおり。

――だいぶ実感がわいてきましたか。

 目標にしていた大会だったので、僕自身の持ち味のしぶとい柔道をして勝つことができてよかったです。

――決勝は苦手なタイプの選手だったが、どういう対策をしたのでしょうか。

 ほんとに苦手なタイプの選手なので。僕自身の柔道って結構押していく柔道だったんですけど、そういう柔道をすると逆に担がれてしまうところがあったので、前半も、ゴールデンスコアに入ってからもずっと我慢我慢で、組手で相手を下から持つとすぐ背中にくるので持たせないという試合運びをしながら。また、片手でもいいから技をかけるということを意識しながら、少しずつでも相手のスタミナを削って試合をしようと考えていました。

――後半、利き手で上腕を持つようになりましたけど、それは十分いけるようになったからそうした?

 相手のスタミナが少しずつ減ってきて、僕自身が相手の釣り手を殺す対応をしていく中で相手の袖がつかめるようになってきたので、そこをつかめば大内刈りがいけるなと思っていたので、そこは最後、大内刈りで決めようと考えていたところがうまくできたと思います。

――ひざの状態は?

 ひざの状態は良くない状態が続いていて、昨日も両方のひざに痛み止めを打ったので、そういう状態の中でもやれるだけのリハビリはしっかりしてきたので、そこまで不安な様子はなかったです。

――(世界選手権、全日本選手権、五輪の)三冠を取れたことについては。

 三冠を取って、歴史に名を残すというのが僕の目標だったので、それを達成できたというのは今までの柔道人生で努力してきたことが報われたのかなと思います。

――井上康生監督以来の金メダルについては。

 21年ぶりの100キロ級の金メダルということで、金メダルを日本に取り戻すことができましたし、また、井上監督が今年で監督が終わりなので、最後の最後でしっかり恩返しができたかと思います。

――さっき井上監督が「自分と戦ったらいい勝負だ」と言っていたが。

 いや〜(笑)。ルールが違いますからね。ふふ。僕はもう組まないっすよ(笑)。

――大内刈りは、柔道を始めた頃に覚えたやりかた?

 どっちかっていうと、(千葉・東海大浦安)高校に入って(16年リオデジャネイロ五輪男子90キロ級金メダリストの)ベイカー(茉秋)先輩(26)や(東海大)浦安の先輩を見て身に着けた技かなっていうふうには思いますね。

――試合で勝って涙が出るのはどんな感情?

 今までやってきたものが報われたなと思ってこみ上げるものがありましたし、ほんとに愚直にここまでやってきてよかったなというふうに思いました。

――日本に8人しかいない三冠柔道家ですけど、これからどういうふうに自分の柔道人生を歩んでいく?

 結果として残すことはできましたけど、井上監督のような柔道家としても一人の人間としても立派な人を目指してやっていきたいです。

――現役としても?

 まだまだ続けますね。

――団体戦も2日後にあるが。

 3日間(痛み止めが)効くので、明後日まで行けます(笑)。1試合だけね。

――(日本勢の)五輪での男子5個の金メダルは1大会最多となった。

 それは今初めて知ったんであれでしたけど、日本柔道、すごい強いっすね。

――(米国人の父と日本人の母を持つ選手として金メダルを獲得し)東京大会全体としてダイバーシティー(多様性)を推進していると感じるか。

 僕自身、東京の下町で育って日本人として育ってきたので、そこまでそういう部分を考えてやってきたわけじゃなかったので。日本代表として金メダルを取ったということがまず一番ですかね。なんすかね。難しいっすね、そういう質問。でも、これからもっと日本人の多様性が増えていったらいいんじゃないかなと思いますね。

【井上監督】

――00年シドニー五輪以来の100キロ級の金メダル。

 シドニー以来ということは私以来、という形になりますが、その記録以上に、彼自身努力に努力を重ねていろんなことを考え抜いて今日戦ったと思います。そのすべてを今日出した優勝だったというふうに思いました。一見明るくやんちゃな面もあるんですが、こと柔道に関してはひたむきに東京五輪で優勝するために日々努力している姿を私自身見てきましたので、今日を迎えられてうれしく思っています。

――今日の戦いぶりを見ていて。

 非常に安定した戦いだったなと思います。内容を見ると、非常に接戦の接戦という戦いではあったのですが、これまで国際大会においてポイントをリードされたりする場面も非常に多かった。組手や受けの対策をしっかり練ったうえで、カバーしたうえで今回準備していたなと。本当に緻密(ちみつ)な戦いだったなというふうに思います。

――メダルラッシュが続いています。(コロナ禍のため開催に賛否が分かれた)世論の大会に対する感じ方は変わってきていると思いますか。

 われわれチームとしてはそれぞれの夢、目標を達成するために全力で戦っていくこと。もう一つは五輪と柔道を通じて少しでも今厳しい環境下の中で過ごされているみなさまに、何か元気を与えていけるような、そういう試合ができればということを、チームとしてみんなで言い合いながらここまで来た部分がありますので、少しでもこういう結果が、これは決して日本の国民のみなさまだけでなく、世界に、選手たちと切磋琢磨(せっさたくま)して戦うことが全世界のみなさまに何かよき影響が与えられているのであれば、われわれは五輪、また、このスポーツをやる価値は非常に大きいのではないかと思っております。常にわれわれ、一日一日の戦いでは感謝の気持ちを持ち、(柔道は)残り2日になりましたけど頑張ってまいりたいと思います。

――ウルフ選手は監督と同じ三冠柔道家となった。今後どんな存在になっていってほしいか。

 そうですね。試合前というか、直前ではないんですけど、練習や合宿のときに「おまえ、三冠狙える道にあるんだな」という話をしていたので、それを見事達成してくれた彼自身の戦いというものは、私自身誇らしく思いますし、私自身が現役のときと比較しても、これほど緻密にこれほど努力を重ねた選手はいないんじゃないかなと思うぐらい。まあ直接対決したらどうなっていたかわからないなと思うような素晴らしい選手に育っているんではないかなと思います。

――決勝は我慢の戦いだった。勝ち切った勝因は。

 初日から言えることだと思いますが、いかに今大会において粘り強く我慢強く戦っていくかというところが非常に大事なポイントでありましたので、ウルフの強さのひとつというものは、みなさんご存じのとおり、我慢強さというか、接戦になればなるほど彼自身の力が発揮される、それが彼の大きな強みではないかなと思います。そこは戦術面で十分に頭に入れた戦いでありましたので、それをしっかり試合で出したことの勝利だと言えると思います。19年(世界選手権準々決勝)では敗れていましたから、そこから非常に対策を練ったうえで準備していた。それが出た試合だったなと思いました。

――個人戦は明日が最後。人生の集大成というところにおいて、重量級の再建と言う意味での最終決戦。原沢(久喜)選手(29)にはどういう戦いを期待したい?

 これまでの過程においてはそういう言葉を使わせてもらった部分がありますけど、なにしろ原沢がここまで、彼も努力、誠実に実直にひとつひとつさまざまな経験をしながらここまでたどり着いた選手だと思います。そのすべてを明日出してもらえるように、しっかりサポートしていきたいなという風に思います。

(編集部・深澤友紀)

※AERAオンライン限定記事

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