猫を愛するすべての人へ! “空猫”と元飼い主の温かな物語。訳者がオランダの書店で見つけて惚れ込み日本でも発売に!

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2021年07月30日 06:41  ダ・ヴィンチニュース

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ダ・ヴィンチニュース

写真『空猫アラベラ』(アティ・シーヘンベーク・ファン・フーケロム:作、野坂悦子:訳/本作り空Sola)
『空猫アラベラ』(アティ・シーヘンベーク・ファン・フーケロム:作、野坂悦子:訳/本作り空Sola)

 天国へ行ってしまった愛猫が、飼い主に会うためにこっそり家に帰ってきていたら……大事な家族であるペットを喪った経験のある方でしたら、一度はこんなことを考えたことがあるのではないでしょうか。

 猫好き、絵本好きの人たちの間で、文庫本サイズの小さな絵本が話題になっています。それは1965年にオランダで出版された『空猫アラベラ』。作者は1913年にオランダ・ロッテルダムで生まれたイラストレーター・作家のアティ・シーヘンベーク・ファン・フーケロム(Atie Siegenbeek van Heukelom)です。

 半世紀以上前に出版された絵本は、オランダではすでに絶版。作者の親類の方が自費出版し、手売りをしているそうで、それを訳者の野坂悦子さんがアムステルダムの書店で見つけて惚れ込み、2020年に日本での出版にこぎ着けたそう。その小さな絵本を、猫と絵本好きの人たちが小さな書店で手に取り、人気がじわじわと広がって、2021年には増刷されました。



 主人公は「猫天国」に住んでいる空猫のアラベラ――そう、実は最初のページで主人公のアラベラが死んでいるという衝撃の展開なのです。でも、どうかご安心を。

 猫天国に住んでもう8年になるアラベラは、飼い主だったおばさんに急に会いたくなります。実は空猫たちは「宇宙カゴ」という乗り物に乗って、いつでも、そして1日だけでも何年でも、好きなだけ飼い主のもとへ行くことができるのです。



 しかも宇宙カゴに乗っている猫は「気高きもの=猫」には見えて「下々のもの=イヌ、ネズミ、ニンゲン」には見えません。しかし降りた瞬間、宇宙カゴはどこにでもありそうな普通のカゴとなって誰の目にも見えてしまうので、しっかりと隠さねばなりません。

 アラベラも宇宙カゴに乗って飼い主のおばさんのところへ戻ってくるのですが、肝心のカゴのことをすっかり忘れてしまい、慌てて戻ってみるとなくなっていたからさあ大変! 昔の猫仲間を巻き込んで、大騒動になります。さて宇宙カゴは無事に見つかるのか?



 そんなことはつゆ知らずの元飼い主のおばさんは、自分のところへなぜか猫がたくさん集まってくることが不思議で仕方ありません。とうとう「わたし、ちょっと、どうかしちゃったんだわ」と思い悩んでしまいます……さあ、この続きはぜひ『空猫アラベラ』を読んでみてください。



 多色使い、106ページの絵本は、無駄のない美しい手描きの線と鮮やかな彩色に満ち、海外の絵本らしいおしゃれな構図があり、その中に描かれる生き生きとした猫たち、そして本書のために手書きされた温かな文字で構成されていて、プレゼントにも最適な一冊です。



 愛猫を喪った哀しみに暮れた後、運命的に新たな猫がやって来た経験をされたことがある方でしたら、この絵本を読むと「まあ。そういうことだったの!」と、数々の不思議な出来事も腑に落ちることでしょう。

文=成田全(ナリタタモツ)


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