感染対策に神経質な妻vs飲み歩く身勝手な夫、ワクチン接種をめぐる夫婦喧嘩の行く先

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2021年07月30日 20:00  週刊女性PRIME

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 行政書士・ファイナンシャルプランナーをしながら男女問題研究家としてトラブル相談を受けている露木幸彦さん。今回は、コロナ感染対策とワクチンをめぐる夫の態度に離婚を決意した妻の事例を紹介します。

 昨年から続く、長く苦しい新型コロナウイルスとの戦い。東京都では4回目の緊急事態宣言が発令中にもかかわらず、7月23日、オリンピックの開会式が予定通り行われたことに対して賛否両論が巻き起こったばかり。オリンピック開催中の現在も変異株の流行はおさまりそうにありません。

 平和の祭典を横目に、私たちは相変わらずです。外出自粛により会社への出勤だけでなく、飲み会への参加や旅行への出発という喜楽を奪われ、怒り、哀しみに耐える日々が続いています。そんななか、生活における不満や不安、イラだちが原因で離婚の危機に発展する「コロナ離婚」の相談が発生しています。筆者は行政書士・ファイナンシャルプランナーとして夫婦の悩み相談にのっていますが、感染者数と相談者数は比例しているようで、第5波がやってきた7月下旬はまた「コロナ離婚」の相談が増加しています。

 ところで、我慢続きの生活に終わりが見えてきました。なぜなら、すべての国民にワクチンを行き渡らせる体制が整いつつあるからです。例えば、4月から65歳以上の高齢者や基礎疾患がある人への接種が始まり、さらに6月から職域接種へ拡大しました。

 ワクチンの存在はコロナで傷ついた夫婦の関係を修復する効果がある。筆者はそう信じて疑いませんでした。しかし、蓋を開けてみると、ワクチンをめぐる夫婦喧嘩が発生し、それがコロナ離婚につながるという現実が待っていました。死亡率が高い高齢者にとって待ちに待ったワクチンなのに、接種したくない人もいる……それは筆者にとって誤算でした。

 ワクチンを打つか打たないか。そのことをめぐって口論になり、夫との離婚を考えているのは今回の相談者・陽子さん。「ワクチンのことで夫と喧嘩になってしまって……」と唇を噛みます。一体、何があったのでしょうか?

結婚30年目、夫の酒癖の悪さに悩む妻

<登場人物(年齢などは相談時点、名前はすべて仮名)>


夫:茂

(67歳・アルバイト)


妻:陽子

(65歳・専業主婦)☆今回の相談者


長男:孝弘

(26歳・茂と陽子の子・会社員)


孫:蓮

(2歳)

「主人は結婚してから、ずっとあの調子なんです」

 と陽子さんはため息をこぼしますが、夫の茂さんとは今年で結婚30年目。今まで数々の酸いも甘いもともにした2人の仲はすでに枯れ果てており、食事中はほとんど無言で、一緒に出かけることは稀有。孫のことしか共通の話題はなく、1つ屋根の下で暮しているから「夫婦」というだけで、すでに愛も情も尽き果てたシルバー世代の典型です。

 現役時、自動車ディーラーで整備士として活躍した夫は一昨年、退職し、厚生年金を受給するまでは同じ整備工場で週3日出勤のアルバイトとして働いています。夫の両親を5年前に看取りおえ、自宅の住宅ローンは退職金で完済し、そして息子夫婦の間に産まれた孫を可愛がる……そんな悠々自適な老後生活を送っていた矢先、襲ってきたのが新型コロナウイルスの蔓延でした。悩みの種は夫の存在。

「一番の悩みは主人の酒癖の悪さです!」

 陽子さんは声を大にして言います。例えば、すでに午前零時を回っているのにベロベロの状態で帰宅。陽子さんが「何時だと思っているの!」と苦言を呈すると夫は逆ギレ。深夜の時間帯に「誰のおかげで飯を食えているんだ!」と大声を出したり、リビングテーブルをひっくり返したり、挙句の果てには陽子さんの胸ぐらをつかむ始末。

 筆者は「警察に相談しましたか?」と聞くと、陽子さんは「取り合ってくれないんです!」と答えます。なぜでしょうか? 夫は陽子さんのスマホを取り上げ、自ら110番をし、対応した職員に対して電話口で「なんでもありません」と言う。そんな迷惑行為を何度も繰り返したのです。その結果、警察は陽子さんの携帯番号からの着信は「いたずら」だと認識したようで相手にされなくなってしまったのです。そのため、夫の暴言、暴力沙汰は時間が過ぎるのを待つ以外に何もできない状況に。「主人がバタンキューするまでの我慢です」と言いますが、アルコールが回り、睡魔に襲われ、寝入りまで待つしかなかったそうです。

がん治療でボロボロになった妻を夫は支えず

 このように夫の存在が陽子さんの心身を蝕んだのですが、それは今に始まったことではありません。例えば、自分さえよければ他はどうなってもいいと思っている身勝手な性分、誰をどのように傷つけているかわからない無神経な性格、悪いことをしても謝ろうとしないプライドの高さはずっと同じ。「特にひどくなったのはコロナの後です」と陽子さんは振り返ります。夫の異常性がますます顕著になったそうなのです。

 陽子さん夫婦が住む都内は現在、4回目の緊急事態宣言中ですが、夫婦間のぎくしゃくが始まったのは1回目から。現在は接触確認アプリ「COCOA」の利用や保健所の聞き取りによる追跡、そして濃厚接触者や感染者の自宅やホテル等での隔離などにより、多くの感染経路を掴めるようになりました。しかし、昨年4月は違いました。

「最近、感染経路がわからない人が増えているみたい。だから外から帰ってきたら、ちゃんとしてね」

 都道府県は感染者の情報(年代、性別、発生届を受理した保健福祉事務所名、症状など)を公表していますが、これは発生から現在まで続いています。陽子さんは1年4か月間、1日も欠かさずに確認し続けたと言います。昨年の今ごろは感染経路が「不明」と書かれることも多かったので陽子さんは当時から感染対策を怠らなかったそう。例えば、帰宅すると手を洗い、うがいをし、衣服をはたくだけでなく、在宅中もマスクを着用する徹底ぶり。そして夫にも同じことをしてほしいと頼んだのですが、陽子さんには絶対に感染したくない理由がありました。それは8年前のこと。人間ドックでがんが見つかったのです。

 そのため、卵巣と子宮の摘出とリンパ節郭清(かくせい/※手術対象範囲内での広範囲なリンパ節摘出)を行うことに。手術の当日はストレッチャーに固定され手術室に運ばれてから、酸素マスクをつけて意識が戻るまでの間、何度も「死後の世界」を見たそう。

 さらに陽子さんを苦しめたのは術前より術後の抗がん剤でした。「製薬会社のデータはウソ」と抗がん剤治療を否定する本を読んだせいで猜疑心に取り憑かれ、半信半疑の気持ちで取り組んだので、点滴注入によって体内に衝撃が走るたびに怖くて仕方がなかった模様。

 一連の治療により、陽子さんは心身ともにボロボロになり、思わず、夫に八つ当たりしてしまったそう。例えば、夫の携帯に「もう消えてしまいたい」と録音したり、夫が出る前に電話を切ったり、夫が電話に出ても無言のままにしたり、「死にたい」とメールを送ったり……そんな夫への孤独な訴えは1日10回超。しかし、当時から夫婦関係は冷え切っていたため、夫は陽子さんの不安を受け止める気はなく、ねぎらいや気遣い、励ましの言葉はゼロ。結局、退院の手伝いは夫ではなく長男に頼むことに。

 陽子さんは8年前の闘病の経験がトラウマとして今でも残っており、「ウイルスに感染し、重症化し、入院するのは絶対にイヤ!」と思っています。そのため、今回のコロナに対しても既往症なしの人に比べ、神経質にならざるをえなかったのです。筆者は「今回、旦那さんの反応はどうだったのでしょうか」と尋ねると陽子さんは深いため息をつきます。

「コロナに負けるのは弱いヤツだろ!?  俺は今まで病院に世話になったことはないし、(ウイルスに)かかっても勝てるからいいんだ!」

 夫はそんなふうに一笑に付し、家の中でマスクをつけようとせず、手を洗わずに素手で柿ピーを頬張り、うがいをせずにビールを流し込んだりする始末。夫の自信はどこから来るのでしょうか? 筆者は「長年連れ添った夫婦は空気のような存在でしょう。恥ずかしくて素直になれないのはわかりますが……」と励ましたのですが、「主人だっていつどこで感染してもおかしくないのに」と陽子さんは肩を落とします。

「コロナに感染しない自信がある」と豪語

 夫の身勝手な行動はさらにエスカレート。夫は喫煙者で1日2〜3箱も消費するヘビースモーカーですが、家族の前では吸わない約束でした。しかし、昨年の3月中旬、夫は煙草のにおいにまみれて帰宅。嫌煙家の陽子さんにはわかりました。夫は複数人がタバコを吸う密閉された空間に長時間いたことが。そこで「どこに行っていたの? パチンコ、カラオケ、それとも(喫煙可の)喫茶店!?」と疑いの目を向けたのです。

 しかし、夫は「自粛、自粛って何なんだよ? うつるかどうかなんて運だろ!?  俺はうつらない自信があるから行くんじゃないか!」と豪語。行きつけのスナックで歌ったり、踊ったり、騒いだり……十分に楽しんでいたことを暗に認めたのですが、これは昨年4月、接客やアルコール提供をともなう飲食店は「夜の街」というレッテルで一括りにされ、真っ先に自粛要請の対象に加えられたころの話。夫はわざわざ闇営業の店を探し出したことが明らかになったのです。

 陽子さんは「何のための自粛期間なの? ステイホームしなきゃダメなのに!」と叱りつけたのですが、夫に反省の色はなし。さらに「お前がコロナコロナって言うからこっちは息が詰まるんだよ。息抜きして何が悪い!」と陽子さんのことを自粛警察扱いする夫。陽子さんは「話にならない!」と憤り、「ああ言えば、こう言う」夫に話しかけるのが億劫になり、夫婦間の口数はますます減るばかり。

 極めつけは今年に入って始まったワクチン接種をめぐる夫婦喧嘩です。区役所からワクチン接種の封筒が届いたのは5月中旬。陽子さんは役所に既往症のことを伝えていなかったのですが、それなのに届いたことに感謝するばかりでした。

 保健所での集団接種の案内で、夫婦ともに65歳を超える2人は最短で1か月先の予約が可能でした。感染対策をしない夫と衣食住をともにする陽子さんにとって願ってもない朗報。陽子さんと夫が無事にワクチンを接種すればひと安心でしょう。筆者は「これでコロナ前の生活に戻れますね」と勇気づけたのですが……。

 善は急げ。満席になる前に予約すべく、陽子さんは夫に投げかけたのです。「私が代わりに予約してあげようか?」と。筆者は「なぜ、あれだけ嫌っていた旦那さんのために、わざわざ動いたのですか?」と尋ねると、陽子さんは「主人のためではなく、私のためですから」と答えます。感染対策が十分な陽子さんと不十分な夫。もし、夫がウイルスを持ち込み、陽子さんが家庭内感染したら一巻の終わり。それを防ぐことができるのがワクチン接種。陽子さんだけでなく夫の接種も必要なのです。しかし本音を見透かされたのでしょうか、夫はまた天邪鬼な態度をとり……。

「何回言ったらわかるんだ。俺には(ウイルスが)うつらないんだよ。だからワクチンを打つつもりはない!」

 夫がコンビニで目にしたのは雑誌の「ワクチン接種後の死者リスト」という記事。年齢や性別、基礎疾患(糖尿病、高血圧、不整脈など)や接種日から亡くなるまでの期間などを箇条書きにしたものでした。コロナウイルスを大して恐れていない夫ですが、ワクチン接種による副反応は恐ろしいようで、血相を変えてそう言ったのです。

「(ワクチンを)打って死ぬのと、(ウイルスに)かかって死ぬのと、どっちの確率が高いと思っているんだ。打たないで、かからなければ、絶対に死なないぞ。俺はそっちに賭けるんだ」

 ワクチン接種後に死亡した例は数多く報告されていますが、厚生労働省の発表では因果関係を結論づけられた事例はないとされています。筆者は「感染してみなければ、接種してみなければ、どちらにせよどうなるのかはわかりませんよ」と内心、思ったのですが、ワクチンを拒否する夫はまるで「どうせ死ぬならウイルスに感染したほうがましだ」と言わんばかり。ウイルスに感染したら、夫は賭けに負けるので、ずいぶん勝率が悪い勝負ですが、そのことがわかっていないようです。

 陽子さんは最初のうち、夫を説得してからワクチンを接種しようと思っていました。しかし、何回話し合っても、言葉を何往復交わしても、長男を窓口にしても、いっこうに結論は出ず。夫は「勝手にしろよ!」と激怒したそうですが、「主人のことを無視して、ひとりで保健所へ行きましたよ」と陽子さんは顔を赤くして言います。

 そして6月に入ってから1回目、2回目の接種を済ませたのですが、副反応は腕が腫れたり、微熱が出たり、倦怠感があったりする程度。「1週間も経たないうちに症状はなくなりましたよ」と陽子さんは回顧します。結局、夫の言うような命にかかわるような重い症状は現れずに終わりました。

感染リスクの高い行動をやめない夫

 夫は打てるワクチンを打たないのだから、ウイルスに感染したら元も子もありません。「陽子さんが無事だったのを見て、さすがに旦那さんも心を入れ替えるのでは?」と筆者はアドバイスし、しばらくの間、様子を見ることに。夫はワクチンの件をきっかけに過去の態度を悔い改め、感染対策を無視するのをやめ、これからは真摯に取り組むはず。陽子さんはてっきりそう思っていました。しかし、夫の性根は何1つとして変わっていなかったのです。

「いやはや、ひどい目に遭った。完全にぼったくられた、許せんわ!」6月上旬、夫はそうぼやきながら、玄関を開けたのですが、何があったのでしょうか?

 3回目の緊急事態宣言下にもかかわらず、夫は懲りずに地元の悪友4人と繁華街へ繰り出したそう。しかし、オリンピックの開催が正式に決まり、開催を間近に控えて飲食店への自粛要請も厳しくなっている中、闇営業の店を自力で見つけられないまま歩いていたところ、ひそひそ声で耳打ちする若い男性が。「うちは開いていますよ。こんなご時世だから、楽しんでいってください」と。とにかく飲んで、騒いで、憂さを晴らしたい夫と仲間はその声掛けを怪しむことなく、男性の道案内に従い、喜々として入店。

 しかし、メニューを見て愕然とします。例えば、生ビール2,500円、枝豆3,000円、唐揚げ4,000円。これは1人前の値段です。夫が「ヤラられた!」と思っても、もはや手遅れ。ガタイのいい男3人が出入口をふさぎ、「何か注文しなければ」外に出られない状況だったのです。仕方なく5人分の生ビール、枝豆、唐揚げを注文し、そそくさと平らげると、ようやく退店することを許されたのですが、伝票に書かれた値段は飲食代だけではありませんでした。お通し500円、席料700円、サービス料800円が人数分、上乗せされていたのです。最終的な会計は57,500円。1人あたり11,500円なので、ずいぶんな高級店で会食したような金額に。「金を出さないと返さないぞ」という目で店員が睨みつけてきました。

 彼らは手持ちの現金で支払えず、クレジットカードで決済したのですが、「あとで明細を確認しないと。架空請求されていないか心配だ」と夫は憤ります。店員全員の「ありがとうございました!」の大声で見送られたのです。コロナ不況で悪事に手を染めたのか、コロナ前から「ぼったくり居酒屋」だったのか、それとも反社会的勢力が絡んでいる店なのか。今となっては定かではありませんが、陽子さんが首をかしげたのは適法か違法かではありません。ワクチンを接種していない夫がいまだに感染リスクの高い行動をとり続けていたことです。

「あんたの行動はおかしくない? みんなが自粛しているのに! 他のお店は自粛しているんだから、そこのお店がおかしいのよ!」

 陽子さんはそう叱責したのですが、怒りはおさまりません。「どうせ店員はマスクをしてなかったんでしょ。感染しに行くようなものだわ」と畳みかけ、ありったけの怒りをぶつけたのですが、夫は無反応。さっさと自室へ引きこもってしまったのです。

 筆者は「残念ながら、旦那さんはそういう人間なのでしょう。旦那さんの性格が今さら変わるとは思えないので」と苦言を呈したのですが、「うちの家庭はもともとうまくいっていなかったのに、今回のコロナで余計にその思いが強くなりました」と陽子さんは答えます。さらに「コロナが落ち着いたら家を出ようって思っています!」と言い、今まで積もり積もった不満が今のタイミングで限界に達し、ついに離婚を決断したようです。

 統計上(国立精神・神経医療研究センター調べ)、新型コロナウイルスのワクチンを接種したいと答えた人は35.9%。一方で様子を見てから接種したいは52.8%、接種したくないは11.3%と、消極的な回答が6割を超えています。このことから陽子さん夫婦は特別ではなく、ワクチン接種をめぐる夫婦喧嘩はどの家庭で起こっても不思議ではないのです。そのため、陽子さんの苦悩を他人事だと思わず、他山の石にした方が賢明です。

露木幸彦(つゆき・ゆきひこ)
1980年12月24日生まれ。國學院大學法学部卒。行政書士、ファイナンシャルプランナー。金融機関の融資担当時代は住宅ローンのトップセールス。男の離婚に特化して、行政書士事務所を開業。開業から6年間で有料相談件数7000件、公式サイト「離婚サポートnet」の会員数は6300人を突破し、業界で最大規模に成長させる。新聞やウェブメディアで執筆多数。著書に『男の離婚ケイカク クソ嫁からは逃げたもん勝ち なる早で! ! ! ! ! 慰謝料・親権・養育費・財産分与・不倫・調停』(主婦と生活社)など。
公式サイト http://www.tuyuki-office.jp/

このニュースに関するつぶやき

  • 長い話だった。結局は離婚を決断したならどうしようもできません。ちなみに記事は何を言いたかったのかやはり無駄文。
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  • これ、コロナ関係なぃょね((●)ω(●))
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