幼少期に見ていた光/前島亜美「まごころコトバ」

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2021年07月30日 20:11  ダ・ヴィンチニュース

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写真前島亜美「まごころコトバ」
前島亜美「まごころコトバ」

 19歳の時に本格的に一人暮らしを始めた。仕事の面でもソロとして活動をスタート。自立へと大きく一歩を踏み出した歳だったと思う。

自分の肩書き、居場所について/前島亜美「まごころコトバ」

 日々仕事をしながら不慣れな家事をこなし、慌ただしく生活する中で、いつの日か“毎日を豊かに生きてみたい”という憧れを持つようになった。

 では豊かな生活とは、具体的になにか。まず思ったのは“季節を大切に感じたい”ということだった。

 グループ活動をしていたときは、世の中でいう休日にこそ仕事があり、大きな夏休みなどはなく、目の前のお仕事に向き合えば向き合うほど、季節ごとのイベントや行事とはどんどん無縁になっていた。

 お花見や夏祭り、クリスマスやお正月。きらびやかで華やかなイベントであるほど、どこか遠ざかりたくなるような心の疲弊もあったかもしれない。

 だが、もう一度、季節と出会っていきたいと思った。

 まず時間ができた季節は春だった。ずっとしたかったお花見をしよう。インドアの私が一歩外に踏み出し、お団子を買って、ゆっくりと桜を眺めてみた。

 時間を忘れて見つめる桜はとても綺麗で、頭の中が柔らかく整理されていくような、とても心に残る風景だった。

 ぼんやりと桜を眺めている中で、ある景色を思い出した。まだ小さかった頃、幼い私の目線から見える、一面のコスモス畑。

 あぁ、そういえば、小さい頃はよく祖父母とお出かけをしたなぁ。

 幼少期、実家を離れ祖父母の家で過ごした時期があった。一人暮らしを始めてから頻繁にその光景を、あの頃の日常を思い出すようになっていた。

 どんなに寒い真冬でも毎朝5時に行われる換気、花が好きな祖母が庭の花畑に水をあげている背中、野球のうまい祖父が連れて行ってくれる公園。

 正月にはもち米から餅を作って、おせち料理を皆で作り、祝いごとの時には決まって祖母が魚を捌いて手巻き寿司パーティをした。毎回セットで作る手作り茶碗蒸しがとびきり好きで、いつも一番の楽しみだった。

 休みになると、車で色々な場所に連れて行ってくれた。巨大鯉のぼりを見たり、フルーツ狩りをしたり、途中に寄る道の駅で買う埼玉銘菓の“五家宝”が大好きで、いつもお腹いっぱいになるまで食べていた気がする。

 桜を見ながら忙しさの中で忘れかけていた、幼少期の大切な大切な思い出に触れ、とても大事なことを思い出せたような気がした。

 私の憧れは祖父母で、祖父母のような“人として豊かな生活”をしたいと思っているんだ。四季を感じ、自然を愛し、一からたくさんのものを作り、育ててみる。

 私の中にある和への愛や古風なものへの敬意、自然への愛着、地元愛などの光のルーツは、祖父母の生き方に全てあったのだと感じた。

“育てる”という思いやりと愛情、努力によって今の私があるのだと、大人になったからこそより強く感じることができた。

 祖父母への敬意と、感謝。

 人として大切なことを、“まごころ”をたくさん教わったと思う。

 この仕事をしているからか、家族や環境、生い立ちというテーマについて考えることが多い。私を作りあげた光の一つである祖父母のような豊かな人に、私もなっていきたい。

第9回に続く

まえしま・あみ
1997年11月22日生まれ、埼玉県出身。2010年にアイドルグループのメンバーとしてデビュー。2017年にグループを卒業し、舞台やバラエティ番組などで活躍。またアプリゲーム『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』(2017年)でメインキャストの声を演じ、以後声優としても活動中。また、9月から東京と大阪で上演される、舞台『ネバー・ザ・シナー-魅かれ合う狂気』に出演が決定している。

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