恐竜好きが高じて16歳でカナダに単身留学 サイエンスコミュニケーター「恐竜くん」の原点

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2021年07月31日 07:00  AERA dot.

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写真北アメリカ大陸西部で発見されたトリケラトプスの実物化石「レイン」。全長7m×高さ3m。ヒューストン自然科学博物館所蔵(写真/家老芳美)
北アメリカ大陸西部で発見されたトリケラトプスの実物化石「レイン」。全長7m×高さ3m。ヒューストン自然科学博物館所蔵(写真/家老芳美)
 恐竜の最新研究に詳しい恐竜くん(田中真士さん)は、子供のころに博物館で恐竜にひとめぼれしたという。小中学生向け月刊誌「ジュニアエラ」8月号の特集「もっと知りたい! 恐竜最前線」の監修者である恐竜くんに、恐竜と出会ったきっかけや、開催中の恐竜科学博の見どころを聞いた。

【鳥類に近いティラノサウルスは、下あごに病気が原因と思われる穴が見られるものが多数発見されている】

*  *  *
――恐竜くんはどんな子どもだったの?

 アリの巣を一日中眺めていたり、新しい昆虫を見るとそのことで頭がいっぱいになったりするぐらい、生き物が大好きな子どもだったよ。よく母と一緒に上野の動物園にも行っていたね。

――恐竜との出会いはいつ?

 6歳のある日、たまたま入った上野の国立科学博物館の入り口に、タルボサウルス(ティラノサウルスのなかま)の巨大な骨格がドーンと展示されていたんだ。大きさといい形といい、本当にすばらしくて、あの瞬間の光景は今でも思い出せるぐらいの衝撃。まさにひとめぼれだったね! 

――そこから恐竜に目覚めたんだね。

 両親は僕が興味を持ったことを全力で応援してくれて、誕生日には恐竜グッズを買ってくれたり、夏休みになると父が「日本中の博物館をめぐる旅をしよう」といって、北海道から北陸をまわったりしていたよ。なかでも、8歳のときに行った恐竜展は、恐竜研究が盛んなカナダ・アルバータ州の恐竜がテーマだったんだ。そこで、恐竜研究を仕事にしている人がいると知って、「将来はアルバータ州で恐竜の研究をするぞ」っていう目標を立てたよ。そして16歳のとき、ついに念願のカナダへの単身留学が実現したんだ。

――すごい行動力だね!

 僕は大好きな恐竜を追いかけることで、いろんな場所に行って、たくさんの人に会ってきたよ。アメリカ・サウスダコタ州にあるブラックヒルズ地質学研究所の所長で、有名な古生物学者でもあるピーター・ラーソンさんもその一人だよ。

 僕は中学2年生のとき、学研が主催する、アメリカとカナダの恐竜研究所や発掘現場をめぐるツアーに一人で参加したんだ。そのときに行ったブラックヒルズ地質学研究所でピーター・ラーソンさんと一緒に写真を撮ってもらって以来、ずっと憧れの人だったんだ。

――今は一緒に仕事をしているの?

 今では友達のようにお互いの家に泊まったり、僕が監修をする恐竜展に協力してもらったり。だから、多くの子どもたちに、「子どものころに憧れていた人と一緒に仕事をするのは、決して夢じゃないんだよ」っていうことを、僕自身の経験から伝えているよ。

――この夏、恐竜くんが手がける恐竜科学博が開催されているね。どんな内容なの?

 ブラックヒルズ地質学研究所の協力で実現した展示の目玉は、何といってもトリケラトプス「レイン」の実物化石。ここまで完全な骨格はめったになく、顔の形も本当に美しいんだ。さらに骨だけじゃなく、うろこ状の皮膚の化石もある。実物を見ると、「この皮膚をまとって生きていたのか!」っていう驚きを感じられると思うよ。

――うわぁ、生で見てみたい!

 展示の方法にもいろんな工夫をしているよ。多くの恐竜展は、図鑑のように、種類ごとにグループ分けした展示が一般的なんだ。その場合、恐竜の全体像は理解しやすいかもしれないけど、同じ時代や同じ場所にいた恐竜じゃないものが並んでいることも多くなってしまう。

――うーん、確かに。

 今回の恐竜科学博は、レインが生きた時代と場所を限定して掘り下げるという、今までにない視点でつくったんだ。そうすることによって、よりリアルな恐竜の生きた時代が見えてくると思うよ。

 時代はレインが生きた白亜紀後期、場所は幻のララミディア大陸。そこで群れから離れた子どものレインが、冒険しながら成長していくというストーリー仕立てになっているんだ。周辺にはどんな恐竜がいて、どんな環境や生態系が育まれていたのか、レインにはどんな脅威があったのか。その暮らしが生きいきと伝わる内容になっているよ。

――絵本みたいで、おもしろそうだね!

「生きた恐竜研究」を生で体験してもらうのにぴったりの企画だから、ぜひ見にきてね。

※月刊ジュニアエラ2021年8月号より

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