日本初の「涼しい地下鉄」は神戸から 意外と浅い「地下鉄冷房車」の歴史

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2021年07月31日 16:50  まいどなニュース

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写真国内初の地下鉄冷房車、神戸市営地下鉄1000形
国内初の地下鉄冷房車、神戸市営地下鉄1000形

本格的な夏がやって来ました。冷房が手放せない日々が続いています。鉄道の世界でも冷房付き車両が当たり前になっていますが、意外にも地下鉄冷房車の歴史は浅いようです。

【写真】営団(現東京メトロ)では、こんな「非冷房車」が長らく活躍していました

東京では遅かった地下鉄冷房車

現在では東京メトロ、都営地下鉄共に全車両が冷房車になっていますが、平成初期までは非冷房車が多く見られました。営団(現東京メトロ)が冷房付き車両の導入を決定したのは1980年代後半のこと。ようやく1988(昭和63)年から冷房化がスタートし、1996(平成8)年に全車両が冷房車になりました。

なぜ地下鉄では冷房車の導入が遅れたのでしょうか。主な要因として冷房化に伴う使用電力の大幅な増加とトンネル内の気温上昇に対する懸念が挙げられます。高度経済成長期に誕生した車両は現在と比較すると熱放出しやすく、電気を再利用するシステムも備わっていませんでした。

そこで営団では駅やトンネル内の冷房化を推進することに。トンネル内冷房は車両冷房を実施した際にトンネル内の温度を下げるという狙いもありました。最盛期には30以上の駅間で導入されましたが、地下鉄冷房車の導入により、2006(平成18)年に廃止されました。トンネル内冷房を知る人に聞くと「やっぱりトンネル内冷房よりも冷房車の方がいいよね」という答えでした。

日本初の地下鉄冷房車は神戸から生まれた

日本で初めて地下鉄冷房車を誕生させたのは神戸市営地下鉄です。神戸市営地下鉄は1977(昭和52)年に開業し、開業当初から冷房車を導入。東京では「暑い地下鉄」が当たり前だった頃、神戸市営地下鉄では全車両冷房車という「涼しい地下鉄」を実現していました。

開業時に登場したのが1000形です。1000形は冷房を導入するにあたり、熱放出しにくい当時の最新技術である電機子チョッパ制御を採用。またブレーキをかけた際に生まれる電気を架線に返す回生ブレーキも備えるなど、当時の最新技術が詰まった車両でした。新技術を積極的に採用したことが評価され、1000形は1978(昭和53)年に鉄道友の会の「ローレル賞」に選出されています。

路線環境の違いも大きいと思います。一般的に相互直通運転を実施している地下鉄路線は車両の冷房化や快適性は相手の鉄道会社に左右されます。開業当初の神戸市営地下鉄は相互直通運転を実施せず、1988(昭和63)年から神戸市営地下鉄と相互直通運転を実施した北神急行電鉄は最新式の冷房車を導入しました。

また鉄道車両だけに目が行きがちですが、神戸市営地下鉄では駅の冷房化など鉄道設備全体で「涼しい地下鉄」を実現しました。

東京の冷房付き地下鉄冷房車第一世代は地方で活躍

さて1980年代後半から1990年代にかけて登場した東京の地下鉄冷房車第一世代は地方ローカル私鉄の近代化に貢献しています。

もともと冷房車として登場した東京メトロ01系の一部の車両は改造の上、2015(平成27)年から熊本電気鉄道で働き始めました。これにより「アオガエル」で親しまれた元東急5000系非冷房車が引退し、熊本電気鉄道は冷房化率100%を達成しました。

2020年には北陸鉄道浅野川線に日比谷線で活躍した元東京メトロ03系が導入され、同鉄道の近代化に貢献しています。

今後も冷房付き地下鉄車両第一世代の地方への転属は進むことでしょう。地方で出会ったら、ぜひ車内で冷気にあたり、改めて冷房車のありがたみを感じてはいかがでしょうか。

(まいどなニュース特約・新田 浩之)

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  • 名古屋の黄電も冷房がないから、うるさくて暑かったな。技術の進歩で薄型エアコンがついたアルミの新車は福音。
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