ももクロ佐々木彩夏が患った「末梢性顔面神経麻痺」 過労やストレスの影響は? 専門医が答えた

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2021年07月31日 16:55  AERA dot.

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写真右末梢性顔面神経麻痺を公表した佐々木彩夏さん(C)朝日新聞社
右末梢性顔面神経麻痺を公表した佐々木彩夏さん(C)朝日新聞社

 7月24日に人気アイドルグループ・ももいろクローバーZの佐々木彩夏(25)が「右末梢性顔面神経麻痺」の診断を受け、入院することが所属事務所から発表された。この「末梢性顔面神経麻痺」とは、いったいどのような病気なのか、専門医に話を聞いた。

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<びっくりさせちゃってごめんなさい。いまは入院させてもらっていて、治療に専念させてもらっています。初めてのことばかりですごく心細いですが、1日も早く完治できるように安静にしてます!>

 7月24日、ももいろクローバーZの公式サイトで、メンバーの“あーりん”こと佐々木彩夏が右末梢性顔面神経麻痺と診断を受け、即日入院したことが報告された。「末梢性」という聞き慣れない病名について、東京逓信病院耳鼻咽喉科部長の八木昌人医師はこう話す。

「この『末梢性』というのは、脳の病気ではなく、神経が脳から出てきて顔中に分布する過程のどこかで病気が起こっているという意味です。『顔面神経』は、顔の表情筋を動かす神経なので、それが麻痺してしまうと自分の意志で顔を動かすことが難しくなります」

 原因はどういったものなのだろうか。

「恐らく、今回発症されたのは突然発症したタイプだと思うのですが、その場合、割合として多いものが2つあります。まず、顔面神経麻痺の中で最も頻度が高いのがベル麻痺です。昔は原因不明とされることが多かったのですが、最近の研究でヘルペスウイルスが関与しているのではないかということが分かってきています。次に、顔面神経麻痺のうち2割くらいを占めるのがハント症候群です。こちらは、帯状疱疹などを起こす水痘・帯状疱疹ウイルスというウイルスが原因です」

 どちらも、ウイルスが原因と考えられているというが、新たにウイルスに感染して発症するわけではないという。

「そもそも、ヘルペスウイルスにしても水痘・帯状疱疹ウイルスにしても、多くの人が体内に持っているウイルスです。水痘・帯状疱疹ウイルスは、水疱瘡にかかった後、治ってからも体外に出ず、体内のあちこちに潜んでいます。そういったウイルスが何かをきっかけに再び暴れだすことで、ベル麻痺やハント症候群を引き起こすのです」


 芸能人が顔面麻痺を公表することはこれまでにもあったが、ストレスや過労など、発症しやすい人に特徴はあるのだろうか。八木医師は「絶対とは言い切れないが」と指摘したうえで、こう答える。

「確かに発症する人は寝不足であったり、忙しい人であったりということがあるので、過労やストレスがウイルスを再活性化させてしまう要因になることは考えられます。ただ、20代以上になると発症する方に男女差や年代差はあまりなく、誰にでも発症する可能性のある病気です」

 ハント症候群では、耳にヘルペスが出現するため痛みを伴う。ベル麻痺の場合だと基本的には、顔を動かせなくなることが主症状で、痛みが生じることは少ないというが、はじめに異変に気付くのはどういった症状なのだろうか。

「患者さんで多いのが、うがいをしたときに片方から水がこぼれてしまう、という場合です。もちろん、鏡で見て気づく方もいます。口元をいーっとしているのに、片方だけ様子がおかしい、といった具合です。口元の違和感で受診される方が多いですね」

 自分や家族の顔の違和感に気づいた場合、どうしたら良いのだろうか。八木医師によると、末梢性顔面神経麻痺の進行は個人差が大きく、一気に重症化する場合もあれば、緩やかに進行する人もいるという。

「症状の程度によるので一概には言えませんが、どちらにせよなるべく早めに病院に行った方が良いでしょう。特に重症の場合、なるべく早く治療を開始することで神経へのダメージを抑える必要があります。顔面神経は耳を構成する側頭骨という骨の中を通っていますので、耳鼻科でも良いですし、脳神経外科や神経内科など神経を扱っている科でも構いません。どちらを受診しても、まず脳に異常がないかを検査して、問題なければ末梢性ということで治療を始めます」

 ベル麻痺やハント症候群の場合、どういった治療が行われるのだろうか。

「病気が起こると、顔面神経がむくみ、通っている骨の管の中で圧迫されてしまいます。それにより伝導が阻害されて、麻痺してしまうのです。治療としては、そのむくみを取るために、ステロイドを投与することが一般的です。あとは、ウイルスの増殖を抑える薬を服用することもあります」


 もちろんファンは、佐々木の復帰を心待ちにしているだろう。予定されていた夏のライブイベントは延期となったが、いまは何よりも治療に専念して、安静にしてほしいのがファンの思いだ。一般に治療期間はどのくらい要するのだろうか。八木医師によると、「薬を投与する期間=治療期間」というわけではないという。

「ステロイドを投与するのは、初期治療で最初の1週間から10日間程度です。神経線維は自力で再生する力があるので、ダメージを最小限にすることが目的です。ステロイドに神経の再生を促す効果はないので、あとは神経の回復を待つことになります。神経の再生は一般的に1日に1ミリと言われていて、顔面神経は平均して9センチくらいありますので、大体3か月くらいでどのくらい回復するか決まると考えて良いでしょう」

 八木医師によると、発症した人のうち8割程度は治療後問題なく回復し、一度発症したからと言って再発しやすいということもないという。ゆっくり休み、また元気な姿を見せてくれる日を待ちたい。(文/AERA dot. 編集部・大谷奈央)

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