マンガ界の異才、石川賢の全記録『石川賢マンガ大全』爆誕!

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2021年07月31日 18:11  ダ・ヴィンチニュース

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ダ・ヴィンチニュース

写真『石川賢マンガ大全』(ダイナミックプロダクション:監修/双葉社)
『石川賢マンガ大全』(ダイナミックプロダクション:監修/双葉社)

 マンガ界の異才、石川賢の200余の作品を網羅した『石川賢マンガ大全』(ダイナミックプロダクション:監修/双葉社)が発売された。かつて、マンガを評する言葉として「トラウマ」が盛んに使われたことがあったが、そこで決まって名が挙がるのが石川賢だった。それは、子どもの頃に衝撃を受け、大人になった今なお心に刻まれている作品という意味合いである。一見ネガティブな言葉のようで、実は最上級の評価を表していた。石川賢のファンは、そんな原体験を持つ人が多いと思う。

 たとえば、石川賢の代表作にテレビアニメと連動して連載された『ゲッターロボ』(原作・永井豪)がある。ただし、石川賢が描く『ゲッターロボ』はひと味違った。全身凶器のような主人公たちによる壮絶なバイオレンス・アクションだったのだ。アニメのイメージで作品を手にした子どもたちは、それこそトラウマ級の衝撃を受けたはず。続編の『ゲッターロボG』完結から15年後、装いも新たに『ゲッターロボ號』が連載され、さらに『真ゲッターロボ』『ゲッターロボアーク』へと物語は継承され、壮大なスケールの一大叙事詩となっていった。


(『石川賢マンガ大全』より)

 他にも石川賢版『デビルマン』とも評される、神との戦いを描いた『魔獣戦線』や『聖魔伝』、仏教をモチーフに宇宙戦争を描いた『虚無戦史MIROKU』や『虚無戦記』、など、石川賢の作品はとにかくスケールがデカイ。本書に収録された石川賢の過去のインタビューを読んで納得する思いがした。

お話は二の次なんですよ。初めに映像があって、その映像に辿り着くと、そこで終わっちゃうんですよね。僕の作品で尻切れトンボの結末が多いっていうのは、ほとんどそうなんです。(中略)でも、それが漫画として正しい描き方じゃないかと思うんですよ。起承転結まで考えるより、ひとつのものに向かってバーッと描く。それをいかに説得力を持って面白く見せられるか。

 頭に浮かんだビジョンに向かって、一点突破で突き進んでいく――。その過剰なまでの勢いにファンは惹きつけられたのだ。

 本書には、元同僚や担当編集者、石川賢のご家族など、周辺人物のインタビューが多数収録され、彼の素顔がわかって興味深い。石川賢は創作においては頑固なところもあったそうだが、シャイで穏やかな性格で、誰からも愛される人物だったようだ。アシスタントとしてダイナミックプロに入った石川賢は、やがて連載や読切り作品を手掛けるようになる。70年代当時は給料袋が立つほど給料をもらっていたそうだが、お金に執着がないらしく、ロッカーに給料袋が溜まっていたというエピソードや、いきなりヒッチハイクで日本一周に旅立ったというエピソードなど、なんともユーモラス。彼を通してダイナミックプロ黎明期の熱気が伝わってきて興味は尽きない。

 中でも一番の読みどころは、巨匠・永井豪のインタビューだ。もともと先生とアシスタントの関係だったが、師匠と弟子という感じでもなく、互いに認め合う盟友といった関係だった。ファンからすると、どこか似たものを感じる2人だが、永井豪によると両者の資質は対極にあるらしい。さすがに的を射た分析なので、ぜひ本書を読んで確かめていただきたい。それにしても2006年に58歳の若さで亡くなられたことが悔やまれる。石川賢のマンガが、どこまで進化&エスカレートし続けるのか、もっと見たかった。本書を読むと、ますますその思いが募るばかりだ。

文=大寺明




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  • 「爆末」の仁王丸、火炎を防ぐマントは石綿でできていました。「こいつに包まれば怖いもの無しなんで。」 当時は なるほどそうか、と思いましたが、今思うと怖いもの無しどころの話じゃないぞ!?
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  • 当時アニメ版ゲッターは視れなかったけど、石川 賢 先生の てんとう虫コミック版は、何百回と読み返してました�� 表紙はアニメっぽいゲッターなのに、中身は全然違うという、今だと商標詐称に当たりそうな案件(ホメテマス)����
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    • コメント 2件

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