論理的思考力を楽しく鍛える! 矛盾を意味する“パラドックス”問題にチャレンジ

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2021年07月31日 19:11  ダ・ヴィンチニュース

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写真『ニュートン式 超図解 最強に面白い!! パラドックス』(高橋昌一郎:監修/ニュートンプレス)
『ニュートン式 超図解 最強に面白い!! パラドックス』(高橋昌一郎:監修/ニュートンプレス)

 日本語で“矛盾”と訳される“パラドックス”。科学的な定義は「前提条件や論理の展開におかしな点がないように思えるのに、受け入れがたい結論が導かれてしまう問題」とされている。科学雑誌『ニュートン』の出版社による『ニュートン式 超図解 最強に面白い!! パラドックス』(高橋昌一郎:監修/ニュートンプレス)は、そんなパラドックスの中から“論理的思考が身につく”名作問題の数々を紹介する一冊だ。

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 扱っているジャンルは、“パラドックス”では定番のいわゆる“うそつき”問題などの論理的思考を試されるものや、数学の力を試されるもの。ひいては、宇宙や物理学とさまざま。ユニークな問題と向き合えば、楽しみながら思考力を鍛えられる。

子供が食べられる寸前! 人食いワニに父親は何と言うべきか?

 論理的思考が必要な場面はさまざま。答えのない問題と向き合うときや、誰かを説得するときなど、日頃から鍛えておけばふと役立つ瞬間もやってくる。なかでも、定番の“うそつき”問題は頭のトレーニングに最適だ。そこで、本書から父親と子供、人食いワニが登場する問題を紹介。父親の発言について、その理由を考えてみてほしい。

ある日、父親とその子供が川にボート遊びに来ていました。子供がボートから降りて川で泳いでいると、そこに人食いワニがあらわれました。そして人食いワニは、父親にこう告げました。「おれがこれから何をするか予測できたら、子供を無事に返してやろう。ただし予測できなかったら子供を食う」。そこで父親はしばらく考えて、こう答えました。「お前はその子を食うだろう」。

 果たしてどこが“パラドックス”なのか。結論からすると、父親の発言により人食いワニは身動きが取れなくなってしまう。なぜなら、父親の発言どおりに子供を食べてしまえば、父親の予測が当たってしまうので子供を返さなければならない。人食いワニが子供を返そうとしていたら、父親の予測がハズれているので子供を食べなくてはならず、結局は父親の発言が本当になってしまうからだ。

ベストセラーを生む作家に“未来”の小説を渡すとどうなる?

 論理的思考力を鍛えるための問題だけではなく、歴史をたどると、科学者たちは現実に起こりうる“パラドックス”とも向き合ってきた。本書にある“タイムパラドックス”の問題には、ワクワクする気持ちも生まれてくる。例えば、次の問題を考えてみてほしい。

ある年にベストセラーになった小説を少女が買い、数年前にもどったとしましょう。そして小説をまだ書きはじめていない作者に渡します。作者はのちにこの小説を自分の作品として発表し、ベストセラーになります。さて、この小説の作者はだれなのでしょうか。

 結論からすると、作者はいない。ただ、それだけにおさまらないのが、物理学的な議論の面白さだ。本書によると、物理学には「因果律」がある。因果律とは「あらゆる現象には原因がある」とする考え方。この問題でいえば、数年前の作者はまだ小説を書き始めていないので、因果律が崩壊することになってしまう。

 そのため多くの科学者は「過去へのタイムトラベルの可能性」に否定的な見方をしているというが、そこで提示されるもう一つの考え方がSF映画などにも登場する「パラレルワールド(並行世界)」の存在だ。量子論の「多世界解釈」にもとづく考え方で、この定義からすれば、作者がベストセラーを自分で書き上げた“元の未来”と、少女に小説を手渡された“別の未来”が存在する。結果、矛盾は生じないし、歴史も変わらないと結論づけられるのだ。

 この他にも、たくさんの“パラドックス”問題を紹介する本書。実際に読んでみると、答えを知るのではなく、問題に対して“なぜ”と思考を巡らせるのが大切だと痛感する。凝り固まった頭をやわらかくするためにも、ぜひ手にとってみてほしい。

文=カネコシュウヘイ

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