羽生結弦が6年ぶりに「ドリーム・オン・アイス」復帰 「必ず4回転半決める」と今季の決意語る

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2021年08月01日 11:30  AERA dot.

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写真6年ぶりに出演した「ドリーム・オン・アイス」で気迫の演技を見せる羽生結弦/7月9日、横浜市で (c)朝日新聞社
6年ぶりに出演した「ドリーム・オン・アイス」で気迫の演技を見せる羽生結弦/7月9日、横浜市で (c)朝日新聞社
 羽生結弦が6年ぶりに「ドリーム・オン・アイス」に帰ってきた。出演を決めたのは、ファンへの熱い思いだという。繊細かつ全力の演技で、冒頭から観客を羽生ワールドに引き込んだ。AERA 2021年8月2日号では、北京五輪を控えた羽生選手の現在を取材した。

【写真特集】6年ぶりに帰ってきた! 羽生結弦「ドリーム・オン・アイス」

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 羽生結弦(26)の「夢」に挑むシーズンが幕を開けた。

 7月9〜11日に横浜市で行われたアイスショー「ドリーム・オン・アイス2021」。羽生が口にしたのは、五輪3連覇ではなく、前人未到の大技への決意だった。

 羽生がドリーム・オン・アイスに出演するのは6年ぶり。決め手となったのは、ファンへの思いだった。

「昨年はアイスショーがなくて、もっと皆さんの前で滑りたかった。昨シーズン、試合に出るたびに、演技することで誰かの役に立つんじゃないかと、何かを感じて頂けるんじゃないかと思いました。そういうことを少しでもやりたいと思い、出させて頂きました」

■激しい滑りに気迫十分

 報道陣に公開された9日の公演。オープニングはTシャツとジーンズの爽やかな姿で観客の視線を集めると、大トリでの出番では一転、黒と赤の衣装を身にまとい、ロックナンバー「マスカレイド」を披露した。

「なかなか演じられる機会がなかったですし、大人になってもっと表現したいこともあって。客観的に感じてもらえることがこの世の中だからこそ増えたのではと思い、選びました」

 冒頭から、その世界観に引き込んだ。滑り出しは勢いよく。その後の落ち着いた曲調のパートでは、繊細な指先の動きを伴う振り付けを見せる。

 中盤に高さのあるトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を成功させると、滑りは激しさを増した。気迫のこもった表情を見せながらスピード感のあるスピンへ。手袋を氷上に投げてフィニッシュ。熱のこもった演技で、観客のスタンディングオベーションを浴びた。

 終演の後、取材に対応した羽生はこのアイスショーに合わせて、入念に調整してきたことを明かした。

「かなり体を作って、焦点を絞って練習をしなければいけないと思っていました」

 自分のプログラムはもちろん、オープニングやフィナーレでも一挙手一投足が注目される立場。全力の演技で責任を果たすという思いが表れていた。

 ここからは、実戦に向けての本格的な準備が始まる。他の選手たちが来年2月に控える北京五輪への思いを語ったなか、3連覇がかかる王者は異なる心境を明かした。

「(17〜18年の)平昌シーズンみたいに絶対に金メダルをとりたいという気持ちはありません」

 そして、こう続けた。

「ただ今季、必ず4回転半を決めるんだという強い意思はあります。しっかりと、その意思を、決意を持って、今季に臨みたいと思います」

 これまで語ってきたように、最大の目標がクワッドアクセル(4回転半)成功であることを改めて強調し、五輪はその「道の中にあるのであれば」と話すにとどめた。

 大技に向き合う現在の状況も説明した。

「体をいたわりつつ、アクセルの基礎の練習、一から4回転半に向けて作り直す作業をしっかりできたので、これから本格的に練習していきたいと思います」

 新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、拠点のカナダに移動することはなく、昨季と同じように国内でコーチ不在のまま練習に励む予定だ。決して、簡単な道のりではないが、自信はある。

「昨季の経験を踏まえて、日本で一人で練習しても成長できると感じているので」

■リモートで振り付け

 今季のショートプログラム(SP)は新しいものに取り組む。振り付けはリモートで行うという。

 そして、フリー「天と地と」は継続し、その冒頭にクワッドアクセルを組み込むことを想定している。

 昨季欠場したグランプリ(GP)シリーズにエントリーし、11月のNHK杯(東京)とロシア杯に出場すると決めたのも、この技を念頭に置いてのものだった。

「試合の機会がないと、やはり4回転半を決めても意味がないと思います。試合で決めたいという気持ちが強くあって、その機会を少しでも持てたらと思い、GPシリーズに出場させて頂くことに決めました」

 何度も口にしたクワッドアクセルへの思い。昨季は「あと8分の1回転」で着氷できるところまで迫っていることを明かしていた。その差を埋めるのはどれだけ難しいことなのか。

■決してあきらめない心

 幼少期の羽生を指導した山田真実コーチ(47)は「今は回転不足が厳しく取られてしまう時代。8分の1と言っても、そこを縮めるのにはとても時間と労力がかかる。さらにけがをせず、練習に耐えられる体を作るのも本当に大変なことでしょう」と思いやる。

 それでも、決して諦めない心中を山田さんはこう察する。

「誰が何を言っても、彼はやると決めたらやる。すでに色々なことができるからこそ、新しいことをやりたいと思うのでしょう。『挑戦』に価値を求めている選手ですから」

 マスカレイドの演技前、羽生の肉声メッセージが会場に流れた。

「今シーズンは、自分の最大の夢に向かって、全力で努力していきます」

 競技人生をかけた目標へ。羽生は挑み続ける。(朝日新聞スポーツ部・岩佐友)

※AERA 2021年8月2日号

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