最悪の出来だったU−24日本代表。それでも彼らは苦戦を勝ち切る要素を備えていた

1

2021年08月01日 12:11  webスポルティーバ

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

webスポルティーバ

写真写真

 フランスに大勝した一方で、ニュージーランドに大苦戦。MF久保建英の言葉を借りれば、「簡単な相手はいないけど、勝てない相手はいない。今日、まさにそのとおりの試合になった」。

 内容的に言えば、不満は残る。これまでの4試合で最悪の出来だろう。見ていてフラストレーションがたまる試合だった。

 しかし、勢いを加速させ、短期決戦を制するためには、案外悪くない勝ち方だったのかもしれない。




 東京五輪準々決勝、日本はニュージーランドと対戦し、延長戦も含めた120分間スコアレス。PK戦の末に4−2で勝利を手にし、辛くも準決勝へ勝ち上がった。

「間違いなくタフな試合になるとは思っていたし、相手もそう簡単に諦めるチームじゃないと思っていた」(DF吉田麻也)

 苦戦は想定内とはいえ、それは、あくまでもニュージーランドに守備を固められ、日本が攻めあぐねるというものだったのではないだろうか。ここまで相手にボールを持たれ、攻め込まれる時間を作られると想定していたのかは疑わしい。

 日本の選手は、連戦の疲れがあるのか、立ち上がりから全体に動きが重かった。

 DFラインからのビルドアップが相手の守備によって制限され、思ったように攻撃を組み立てられないばかりか、逆にニュージーランドにはテンポよくパスをつながれ、何度も日本陣内深くまで進入を許した。

 決定機の数で日本が上回っていたのは確かだが、時間を追うごとにニュージーランドの出足が上回るシーンは増えていた。必ずしも日本が優勢に進めていたとは言い難い内容の試合である。

 しかしながら、ひとつの大会を最初から最後まで強い勝ち方で制することなど、そうそうできるものではない。

 例えば、EURO2008で優勝したスペイン。華麗なポゼッションサッカーを武器に、圧倒的な攻撃力で大会を制した印象があるものの、準々決勝はスコアレスからのPK戦。辛うじてイタリアを退け、準決勝に勝ち上がっている。

 内容はともあれ、多少の運も味方につけ、苦しい試合を乗り切れるか否か。そこに上位進出のカギがある。

 日本は目標の金メダル獲得へ、ひとつの大きな山を乗り越えたと言っていいだろう。

 と同時に、日本の選手たちは、その山を乗り越えるために必要な要素を備えていたとも言える。

 PK戦を前に、森保一監督はキッカーを指名することはせず、選手自らに立候補させたという。3人目のキッカーを務めたDF中山雄太曰く、「自信のある人が蹴った。順番も僕らが決めた」。

「この(PK戦までもつれ込む)状況を作ったのは僕。1本目を蹴って勢いづけることしかできない。自信もあった」(FW上田綺世)

「決める自信はあった。なるべく落ち着くように言い聞かせて、自分のキックに自信を持って蹴るだけだった」(DF板倉滉)

 外せば終わりの瀬戸際でも、選手たちはまるでひるむことなく、次々に手を上げた。「PK戦まで持ち込まれてしまった」というネガティブな心理状態に陥るどころか、相手を飲んでかかっていた。

 その結果が、4人全員成功。2人目のキッカーがGKにセーブされたばかりか、3人目が枠を外したニュージーランドとは対照的だった。

 殊勲のGK谷晃生が語る。

「(相手選手のPKの)データは見たが、全然頭に入ってこなかったので、自分の直感を信じて全力で飛ぼうと思った(苦笑)。タイミングもバッチリだったし、読みどおり当たったなという感じだった」

 MF遠藤航に至っては、「"せっかく"こういう舞台で蹴れるチャンスなので、自分が蹴りたいと思った」とまで言う。

 緊迫の時間にもかかわらず、冗談を口にする余裕まであった。

「航が『1本は外してもいいですよ』って言ってくれたんで、ここって決めていたところに蹴り込んだ」と、ラスト4人目のキッカーを務めたキャプテンの吉田。遠藤にしてみれば、オイシイところを持っていかれた、といったところだったかもしれない。

 遠藤が笑って言う。

「本当は5番で決まるかなと思って、僕は5番に蹴りたいと言ったが、そこは予想が外れた。PK戦はそのくらい余裕があればいいんじゃないかと思う」

 こうした心理状態になれた時点で、勝利はほぼ手中にあったのだろう。

 森保監督も選手を頼もしげに見つめて言う。

「自分が決めてやるとキッカーに立候補してくれる選手の思いを大切にした。勇気を持って名乗りを上げてくれた、その気持ちがPK戦の勝利につながったと思う」

 災い転じて、ではないが、結果的に上昇機運でベスト4進出を決めた日本。スペインとの対戦が決まった準決勝へ向け、痛手を挙げるとすれば、DF冨安健洋を累積警告による出場停止で欠くことだろう。ニュージーランド戦でのDF酒井宏樹に続き、2試合連続で主力DFがいない戦いを強いられることになった。

 だが、ニュージーランド戦を前に、すでに"リーチ"がかかっていた選手が、日本には冨安を含めて5人もいた。それを考えれば、120分を戦いながら次戦出場停止を1人だけに抑えられたのは、悪くない結果だったとも言える。

 リーチがかかっていたひとり、ボランチの遠藤も「(イエローカードを)めっちゃ気にはしていた。ヘディング(の競り合い)に一番気をつけていた」。だが、「審判がよかったというか、しっかりボールへいき、正当なチャージであれば、あまりファールを取らなかった」。

 我慢が続く苦しい試合でも、ピッチ上の選手にはジャッジの傾向に注意を払う余裕もあった。PK戦へ向かう際の心持ち同様、心理的な余裕や落ち着きといったものが、最終的な勝利を引き寄せたのだろう。

 日本サッカー史上初の金メダル獲得まで、あと2試合。金色の頂が見えてきた。

このニュースに関するつぶやき

  • DF冨安健洋を、累積警告による出場停止で欠くのは痛いけど、DFの酒井宏樹が戻ってくるのは大きいんじゃないかな。1戦ごとに負けない(泥臭くとも『勝てる』)チームになってきている気がする。
    • イイネ!0
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(1件)

ランキングスポーツ

前日のランキングへ

ニュース設定