渡辺えり、女優業はセリフが覚えられるまで「78歳でも続けられていたら、めっけもん」

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2021年08月02日 05:00  週刊女性PRIME

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週刊女性PRIME

写真渡辺えり 撮影/伊藤和幸
渡辺えり 撮影/伊藤和幸

「優柔不断でついつい支払って、気がついたらお金がないのは私とそっくりです(笑)」

 ベストセラー小説を舞台化した『喜劇老後の資金がありません』に主演する渡辺えり。

 老後資金に貯めていた1200万円が娘の派手婚、姑への仕送り、舅の葬儀費用のため目減りし、さらには夫婦そろって失職するなかで奮闘する主人公の篤子を演じる。

 誰しもが直面するいまどきのテーマは、渡辺自身も関心を寄せる。

「高齢化社会を迎えて、みんながシビアに考えないといけないことだと思います。特にコロナによって財政が赤字になって年金が少なくなったり、医療費が高くなったりするのではと心配です。

 認知症や身体が不自由になったときに入居できる介護施設の充実は必要だと思います。月15万円ぐらいのところを5万円ぐらいで提供してもらえるようになれば、預金がなくても何とかなるのではないかと。国にはそういう対策をしっかりしてもらいたいと思います。

 認知症などにならない場合は、死ぬまで働くということになるでしょうね。私は、働くにしても誰かの役に立ちたいと思います。舞台稽古の真っ最中ですが、上演したときにお客様が本当に喜んでくれないと嫌ですね。(コロナ対策で)観客数が半分の状況でも、とにかく笑わせて泣かせたいと思っています。お客様がコロナ禍で精神的な支えを持てるような役割を私たちがしていると思って、身を粉にして頑張りたいと思います」

自身の老後は78歳

 コロナは主宰する『劇団3〇〇』にも影響。“お金がない”ことに気がついた。

「あることに使おうと思って銀行から引き出そうと思ったらないことがわかったんです。そのことに1年近く気づかなくて、社長として通帳の確認をしないで、税理士さんに任せっぱなしだった私がいけないですけどね。それをきっかけに考えを変えざるをえなくなって、とにかく働こうと思っています」

 自身の老後は78歳を起点にしている。

「母親は気が利き頭の回転が速かったのですが78歳からピタッと止まりました。先輩女優さんには78歳でも舞台で長ゼリフを言いながら動きまわっている方がいれば、亡くなられた方もいて分岐点なのかなと。私もその年齢までは何とか頑張りたいですし、それ以降が老後なのかなと思っているので、それまでに(資金を)貯めたいと思っています。

 (女優業は)セリフが覚えられなくなったら終わりだと思っています。(劇団の)脚本を書いて演出もしたいけど頭が混濁したらそれもできないですから、いつまでできるのか不安はあります。78歳になっても続けられていたら、めっけもんだと思います」

 今回、念願だった高畑淳子(66)との舞台初共演が実現した。高畑は夫とパン店を営む倹約家のサツキ役で、篤子が気を許せる友達を演じる。

同学年なので同じものを読み、同じテレビ番組を見て、同じ舞台を見て育ってきていますから話していても楽しいです。まじめな方で、すでにセリフもすべて覚えてる。私はまだですけど(笑)。血液型が高畑さんはA型、私はO型。役柄同様に対照的かも」

 歌と踊りで資金がないことへの自虐的な演出は、見どころのひとつ。

「歌も踊りも大好きなので、それを高畑さんと一緒にできるのがうれしい。共演者がダンサーとしてバックで踊るのも楽しみです。

 ちょっと苦痛なのはセリフ覚えです。日常会話なので似たセリフが多くて苦労しています。高畑さんは、本読みのときに私のセリフを知らないうちに録音していて、家事をしながら毎日聞いて自分のセリフを練習されているそうで、いい方法だなと。私もやってみたいけど録音をしそこねていますから(笑)、別の機会に試してみます」

演劇界のゴッホを目指すつもりで!

 演出家でもある渡辺が、演出される側で心がけているのは?

「まずは言われたことをやってみて、違和感があったときに質問をして話し合って変えたりしています。

 今回の舞台でいえば“ただいま”と帰ってきたときに手を洗わなくていいんですか? 洗いましょうというようにアイデアを出しながらやっています。自分の部屋がない主婦が荷物をリビングのどこに置くのかとか。家庭劇なので見てくださる観客の奥様方に、あれはありえないと思われないようにリアルにやろうとしています」

 劇団運営は決して楽ではない。それを率いて40年以上、原動力や魅力を苦笑しながら明かしてくれた。

「人生はお金だけなの? と思うんですよ。

 ゴッホは描くなと言われても描いていた人です。だけどゴッホが描いたから、いま私たちは名画を鑑賞することができるわけですよ。

 私も演劇界のゴッホを目指すくらいのつもりでいたいです。私の芝居を見たいと言ってくれる方がいるかぎりお金にならなくてもやり続けますよ」

 演劇への矜持は揺るがない。

ジュリーは“半身”

 ジュリーこと沢田研二の大ファン。小学校6年生のときにテレビで見た瞬間に「この人が私の半身だと思いました」と以来、憧れの存在に。毎年コンサートに足を運ぶ。

「ジュリーを超える人がいない。そういうファンはいっぱいいると思います。性格がいい、掃除も得意で手伝ってくれそう。勉強好きで読書家、物知り。自分で作詞作曲もでき音楽や絵画にも精通している。原発反対で社会的思想も持っていて、そういう人はなかなかいないと思います」。YouTubeでジュリーの歌を聴きながら寝るのが日課になっている。

『喜劇老後の資金がありません』
(東京・新橋演舞場で8月13日〜26日、大阪・松竹座で9月1日〜15日)

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