稲垣えみ子「公園の涼しさから地球の多様性を体感し、コロナ終息に思いを馳せる」

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2021年08月02日 17:00  AERA dot.

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写真元朝日新聞記者 稲垣えみ子
元朝日新聞記者 稲垣えみ子
 元朝日新聞記者でアフロヘア−がトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。

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 コロナは一体どうやって「終わる」のかなと思う。

 ワクチンさえできれば。重症化リスクのある人が接種すれば……ずっとそう思っていたが、いざそうなってみると、若い世代も重症化するし、この異常な生活はまだ続けるべきとのこと。ゴールは逃げ水の如くどこまでも遠のいていく。というか、何がゴールなのかそもそも想定されてない疑惑アリ。

 という話を近所の豆腐屋のおっちゃんとしていて、「もうアレだな、普通にしてるのが一番だな」となった。

 なので本日も散歩に勤しむ。実は、暑さの中の散歩がここ10年来の趣味である。

 これはコツがありまして、暑さという圧倒的な存在に最大限の敬意を払いつつ、息がツユほども乱れぬ速度で、慌てず騒がずスーッと幽霊のように移動する。そこさえ気をつければ、わずかな風も、日陰ではちょこっと気温が下がることも、つまりは豆粒のごとき涼しさも確実に感じ取ることができる。つまりは涼しさの回転レシーブ!(五輪にかけてみました)。暑いけれど涼しいというほぼ悟りの境地なのであります。

 そんな折、いつも驚くのが公園だ。その涼しさは圧倒的で、回転などして取りに行かずとも近づくだけでひんやりした風が漂ってくる。よく見ると、複数の大きな木がすっぽり空を覆い尽くしているので全面的に日陰なのだ。イヤ〜うまいこと覆ってくれてはるわ〜と思って気づいたんだが、木は何も親切でそうしてるわけじゃなくて、光合成をして生き残るためにわずかな隙間も逃さず日光を取りに行ってるわけです。結果、我ら動物は日差しから身を守ることができる。

 全く自然はうまいことできておる。それぞれが生き残るために戦い、かつ利用しあい助け合っているのだ。これぞフェアプレー精神。だから地球はこれほど多様な生命体で溢れているのだろう。

 その大きな輪から我ら人間だけがぽつんと外れ、右往左往している。その先にゴールなどあるはずもないと思った夏の日であります。

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行

※AERA 2021年8月2日号

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