スペイン戦に同国の指導者がアドバイス。「試合マネジメントを間違えるな」

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2021年08月02日 17:21  webスポルティーバ

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「かなり苦労した末の勝利だった。日本のプレーコンセプトは『いい守備がいい攻撃を作る』ところにあるが、その象徴である酒井宏樹の出場停止の影響が色濃く出ていた」

 スペインの"名伯楽"ミケル・エチャリはそう言って、東京五輪男子サッカー準々決勝の、日本がニュージーランドを延長、PK戦の末に下した試合について振り返っている。エチャリは、バスク代表(FIFA非公認)監督という栄誉職を名将ハビエル・イルレタなどと15年以上も務めてきた。それだけでもスペイン国内でどれだけリスペクトされる人物かわかるだろう。

「苦戦した理由のひとつは、ニュージーランドの健闘もあるだろう。少しプレッシングを浴びただけでミスが出るなど、技術的にはレベルの低いチームだが、長いボールを2トップに蹴り込み、ダメージを最小限にし、巧妙にペースを作っていた。日本を研究していたのは間違いない」

 エチャリはそう言って、ニュージーランド戦の検証を開始した。




「日本のシステムはいつもの4−2−3−1だった。酒井の不在で、橋岡大樹が右サイドバックに入っただけでなく、フランス戦から代わって、左サイドバックに旗手怜央、左アタッカーに相馬勇紀、1トップに林大地が入った。

 対するニュージーランドは3−1−4−2、もしくは5−1−2−2。両ウイングバックが上下動する形だが、特徴はアンカーのジョー・ベルだろう。どんなシステムでも、ベルはフォアリベロ(DFの前のリベロ)のように守備を分厚くしていた。特記すべきは、インサイドハーフ2人を遠藤航、田中碧にマンマークに近い形でぶつけていた点だ。そこが日本の攻撃の源だと読んだのだ。

 日本は敵陣で積極的にプレッシングをかけていない。引き込むことでカウンターを狙っていたのか、疲労を考慮してプレスのラインを低くしていたのか、定かではない。ただ、ほとんど勝手にボールを失うレベルのニュージーランドに対し、じわじわと攻める手段を取っていた。

 久保建英、堂安律のコンビネーションは完全に相手を凌駕している。CKから林のクロスに遠藤がファーで合わせたシーンは、フリーで空っぽのゴールに蹴り込むだけだったが、これを外すと、苦戦の予感がよぎった。

 日本は中盤で思うような球回しができていない。遠藤、田中を封じられてしまい、押し込めなかった。ボールを回し、外からは攻めたが、実は決定機は少なかったのだ」

 エチャリは両者の攻防を独自の視点で説明しつつ、そのディテールに迫っている。

「後半6分は、ひとつのターニングポイントだろう。

 ニュージーランドはオーバーエイジのディフェンダーをケガで失い、交代を余儀なくされた。そこで4−4−2の中盤ダイヤモンド型に変更する。怪我の功名だったか、これで中盤での数的有利を得ると、前からのプレッシングも盛んになり、一気にペースを握った。

 そこで際だったパフォーマンスを見せたのが、GK谷晃生だ。

 危険なハイボールが多くなってきたが、谷は的確に処理。試合を通じてパンチング、キャッチングの判断もすばらしかった。守備範囲も広く、高さにやや難があるディフェンス陣において、大きな貢献を見せていた。シュートに対する速い反応や位置取りもほぼ完璧。チームのファウルが時間を追うごとに増える中で、難しい状況に対応していた。

 一方、日本は後半途中からは挽回する。堂安が右サイドを突破し、交代出場のFW上田綺世に合わせたシーンは決定機だったが、相手GKの好守に防がれている。連戦の疲労もあったのか、チーム全体の技術精度は落ちていった。

 延長に入っても、日本は優位だが得点を奪えず、流れは変わらない。板倉滉を投入したことによって、守備面は息を吹き返したように安定した。これで攻撃もやや勢いを取り戻したが、久保と堂安は独力で試合を決めようとする振る舞いが目立ち、強引にシュートに持ち込むシーンがしばしば見られた。

 延長後半も日本は押し込んだが、やはりゴールを割ることはできていない。

 ルーレットのようなPK戦について、私が書く必要はないだろう。日本は途中出場、守備的な選手が多く蹴ったのが印象的だった。そして120分を通じて好プレーを続けた谷は、よくストップしたと言えるだろう」

 エチャリはそう言って、試合を総括した。そのメッセージはスペイン戦に向けたアドバイスでもあった。

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「日本は前半から果敢なプレッシングで、ニュージーランドを苦しませる戦いもできただろう。結局、前から行かず、ボールをゆっくり回し、攻める道を選択した。しかし、遠藤、田中という中盤を制御されたことで、プレーのスピードが上がらなかった。攻撃に厚みが作り出せず、サイドも酒井の不在が顕著に出ていた。結果、受け身に回って、相手2トップの強さと高さとポストプレーにピンチも作られた。

 スペインを相手に、試合マネジメントを間違えてはならない。

 しつこいようだが、日本は自陣でのファウルの数が多い。例えば遠藤は優秀なMFだが、今大会はファウルを与えすぎており、反省の余地があるだろう。ニュージーランド戦はイージーなシュートも外しており、体調が悪かったのかもしれないが......。

 次戦のスペインは、セットプレーの水準が数段上がると考えるべきだ。

 最後に、日本の準決勝進出を心から祝福する。スペイン戦が今から楽しみだ。両者ともコンディションは厳しいはずだが、健闘を祈りたい」

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