侍ジャパン、米国に勝利も気になった“投手起用” 準決勝・韓国戦のカギは継投か

0

2021年08月03日 00:15  AERA dot.

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

AERA dot.

写真4回途中3失点と苦しんだ先発の田中将大 (c)朝日新聞社
4回途中3失点と苦しんだ先発の田中将大 (c)朝日新聞社
 延長10回タイブレークに持ち込まれたアメリカとの準々決勝は甲斐拓也(ソフトバンク)のタイムリーで日本がサヨナラ勝ちをおさめた。8回を終了した時点で1点ビハインドという苦しい展開ながら、抑えのマクガフ(ヤクルト)を攻めて同点に追いついた粘りは見事だったと言えるだろう。

【写真】“驚くほど美しい妻”と米メディアで話題になったマー君の奥様はこちら(他7人)

 逆転勝利の大きな要因となったのはやはり打撃陣だ。オープニングラウンド初戦のドミニカ戦では全体的に硬さが目立ち、試合終盤まで得点を奪うことができなかったが、この日は序盤からチャンスを多く作って見事に先制。中盤には最大3点差をつけられたものの、すぐに1点差に迫るなど効果的な攻撃が目立った。

 特に大きかったのがアメリカ投手陣の力のある速いボールに振り負けなかったということだ。相手先発のバズはコンスタントに150キロを超えるストレートを誇り、適度に荒れていることからも攻略は簡単ではないように見えたが、立ち上がりから坂本勇人(巨人)、柳田悠岐(ソフトバンク)が力負けせずにしっかりととらえてヒットにできたことが他の野手陣にも勇気を与えたことは間違いないだろう。初回のチャンスで併殺打に倒れていた吉田正尚(オリックス)が第2打席ですぐに先制タイムリーを放ち、挽回したということも非常に大きかった。

 そして最も明るい材料はやはり主砲の鈴木誠也(広島)のホームランだろう。ここまでの2試合でスタメン出場した選手の中で唯一ノーヒットに終わっており、打撃の内容もよくなかったが、5回裏に飛び出したホームランはなかなか飛ばないと言われるボールの影響を全く感じさせない見事な一発だった。またこの一発は3点差に引き離された直後の場面で飛び出したものであり、アメリカに傾きかけた試合の展開を引き戻すという意味でも非常に価値の高いものだった。結局鈴木のヒットはこのホームランだけだったが、1本ヒットが出たことで9回に同点に追いつくきっかけとなる四球を選べたことにも繋がったと言えるだろう。

 一方で不安が残ったのはやはり投手陣だ。メジャーでの経験が豊富ということから田中将大(楽天)を先発に送ったが、ストレートの勢い、変化球の精度ともに好調時に比べると明らかに物足りなさがあり、序盤も相手の拙攻に助けられたという印象が強い。また大会前に稲葉篤紀監督が投手陣のキーマンとして名前を挙げていた青柳晃洋(阪神)がドミニカ戦に続いて失点し、今後厳しい場面では使いづらい状況だ。そしてこの2人を交代させるタイミングも少し遅かったように見えた。短期決戦では少しの判断の遅れが命取りとなるだけに、早め早めに攻める継投が今後は重要になってくるだろう。

 ただ投手陣も明るい材料はある。故障明けで状態が心配されていた千賀滉大(ソフトバンク)が2回を投げて無失点、5奪三振と圧巻のピッチングを見せ、ドミニカ戦で失点を喫した抑えの栗林良吏(広島)も失点して当たり前というタイブレークの場面で登板して見事に無失点で切り抜けたことは今後にとって非常にプラスと言える。またこの2人の間に登板した山崎康晃(DeNA)、大野雄大(中日)も1点も与えられない場面でしっかりと力を発揮した。先発の状態が不安だと感じた場合は、メキシコ戦で見事な投球を見せた伊藤大海(日本ハム)も含めて彼らを早めにつぎ込むことも検討すべきである。

 なかなか点の取れなかったドミニカ戦は重苦しいスタートとなったが、打線がしっかり機能して得点力が上がってきたのは喜ばしい限りである。しかし“打線は水物”という言葉もあるように、特に短期決戦では打ち続けて勝つことは簡単ではなく、投手がしっかり失点を抑えることが重要になってくる。アメリカ戦では少し後手に回った部分もあっただけに、準決勝の韓国戦では展開によってはどんどん投手をつぎ込んで失点を防ぐような攻めの継投も必要になってくるだろう。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員

    ランキングスポーツ

    前日のランキングへ

    ニュース設定