モヤモヤしながら選手を応援 五輪を巡る世論は「熱狂とは程遠い二重意識」

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2021年08月04日 17:00  AERA dot.

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写真日本勢はスケートボード女子で金、銅のメダルを獲得したほか、競泳、卓球、柔道などでも金メダルを次々獲得した (c)朝日新聞社
日本勢はスケートボード女子で金、銅のメダルを獲得したほか、競泳、卓球、柔道などでも金メダルを次々獲得した (c)朝日新聞社
 コロナ下での強行開催となった東京五輪は、日本勢のメダルラッシュに沸く。しかし、世論は熱狂とは程遠いという。AERA 2021年8月9日号では、五輪後に語り継ぐべき矛盾と葛藤について専門家が語った。

【写真】「軽すぎる五輪」が始まったのはこの瞬間から

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 コロナ下の開催を巡る賛否の間で揺れに揺れた東京五輪。日本は連日のメダルラッシュに沸いている。7月30日現在、日本勢が獲得した金メダルは史上最多の17個。国・地域別で中国に次ぐ2位となっている。日本人最年少の13歳で金メダルを獲得した新競技スケートボードの西矢椛(もみじ)ら新しいスターも次々に誕生した。

 27日夜のソフトボール決勝で日本が13年越しの連覇を達成した試合の瞬間最高視聴率(世帯、関東地区)は、46.0%(ビデオリサーチ社調べ)に上った。Googleで検索された回数の目安である「検索トレンド」でも、連日トップ10の大半を五輪関連の語が占める。朝日新聞の5月の調査では五輪を「再び延期」「中止」すべきだとの回答が8割を超えていたが、その「世論」は霧散したように見える。

 国際オリンピック委員会(IOC)のジョン・コーツ副会長は4月、「(日本勢の活躍で)世論が変わると自信を持っている」と述べ、政権側の「五輪が始まれば盛り上がる」との見立てもたびたび報じられた。まさに「思惑どおり」の様相だ。

■複雑な二重意識を持つ

 だが、関西学院大学の阿部潔教授(メディア・コミュニケーション論)は五輪を巡る空気を「熱狂とは程遠い」と指摘する。

「多くの人はこれでいいとは思っていない。一方で、声を上げて何かが変わる期待もありません。そんなある種の諦め感のなかで、『どうにもならない以上せめて頑張っているアスリートを応援しよう』『少しでも楽しもう』という複雑な二重意識を持っているのだと思います」

 これまでも五輪を巡る世論は揺れてきた。NHK放送文化研究所が2016〜19年に5回行った世論調査では、東京五輪の開催を肯定的に捉える人がいずれも8割を超えていた。ただし、五輪の理念が支持されたわけではない。阿部教授は言う。

「詳しく調査すると、賛成の大半は『なんだか誇らしい』『景気がよくなるかもしれない』という漠然とした支持でした。国際交流や平和を掲げる五輪はどちらかというと『いいもの』とみなされていて、明確な根拠を持って反対する人以外は『なんとなく賛成』していた。それが賛成8割の正体です」

 一方、コロナ禍によって「このままではマズイ」という意識が優勢となり、「なんとなく賛成」は反対に転じた。だがそれも、根拠を持った明確な反対とは一線を画す。いざ開幕すれば疑問やモヤモヤを感じながらも応援し、日本勢の活躍に沸き立つのは当然だという。

 その結果、「五輪後」には何が残るのか。

■語り継ぐことが必要

 過去の夏季五輪で日本勢が獲得した金メダルは1964年東京大会と04年アテネ大会の16個が最多だった。今後の競技の期待度を加味すると、今大会で記録を大きく更新するのはほぼ確実だ。それは各競技団体の強化の成果だし、選手の努力の賜物(たまもの)であることは間違いない。一方で、その躍進によってこの1年の混乱や人々が感じたモヤモヤが語り継がれない危険性があると阿部教授は懸念する。

「このまま五輪が終われば、後に残るのは『世界的な危機のなかで五輪をやりとおした』ことと、『日本のアスリートは素晴らしい結果を残した』ことの2点だけになってしまうかもしれません。しかし、1年の延期を経て開催された五輪の陰にどんな矛盾や人々の葛藤があったのかをしっかりと記録し、語り継ぐことが必要でしょう」

(編集部・川口穣)

※AERA 2021年8月9日号

このニュースに関するつぶやき

  • マスゴミやアカが騒いで無観客にするようにしたからやがなɽ�����Ĥ�����野球やサッカー並みに観客入れてたら盛り上がりは半端なかったやろ
    • イイネ!12
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  • ���塼���å�(^q^)���塼���å�基地外朝日は甲子園中止します
    • イイネ!13
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