2人に1人は動悸に気づかず 夏の脳卒中は血管ストレッチで防げ!

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2021年08月05日 16:00  AERA dot.

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写真(週刊朝日2021年8月13日号より)
(週刊朝日2021年8月13日号より)
 夏に気を付けたい病気の代表格は熱中症だが、実は、忘れてはいけないのが“脳卒中”だ。発症すると血管性の認知症にもつながる怖い病気だが、自分で予防できる点が多い。紹介する三つのポイントを押さえて脳の血管の健康を維持しよう。

【イラストで見る】血管ストレッチのやり方はこちら

*  *  *
 国立循環器病研究センターの調査によると、脳卒中の一つである脳梗塞の患者数は、なんと冬よりも夏のほうが多い。

「原因は、汗をかくことによる脱水で血液がドロドロになって、血栓ができやすくなるからといわれていますが、本当のところはわかりません。昨今では高温によるストレスも大きく影響していると思われます」

 と話すのは、脳卒中に詳しい木村和美さん(日本医科大学大学院医学研究科神経内科学分野教授)だ。

 脳卒中には大きく、脳の血管に血栓が詰まる脳梗塞、脳の細い動脈がやぶれる脳出血、脳の血管にできたコブ(脳動脈瘤[りゅう])がやぶれるくも膜下出血の三つのタイプがある。もっとも多いのが脳梗塞で、次が脳出血だ。

 脳卒中は男性に多い傾向のある病気だが、女性でも女性ホルモンの分泌が低下する更年期以降に増えてくるので、注意が必要だ。これから紹介する三つのポイントで脳の血管の健康を保ちたい。

【1】持病をコントロール
 どのタイプの脳卒中にも共通する原因は、ずばり高血圧。その背景にあるのが動脈硬化だ。

 ゴムホースを使い続けると硬くなるように、血管も加齢でしなやかさが失われていく。このほかにも糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病も動脈硬化を進める要素だ。

「こうした持病がある人は、生活習慣の改善や薬などでしっかりコントロールすることが大事です」

 と木村さんは訴える。

【2】脈をチェック
 脳卒中の一つ、脳梗塞では、心房細動という不整脈が高血圧などとともにリスクとなる。

 心房細動とは、心臓を拍動させる電気信号に問題が起こることで、心房の収縮が不規則になる病気。これ自体は命に関わるような重要な病気ではないものの、心房内の血流が滞ってよどみができるため、大きな血栓ができやすく、それが脳に飛んで太い血管を詰まらせると、脳卒中のなかでも重度の心原性脳塞栓症を発症することがある。

 心房細動の主な原因は加齢で、有病率は年齢が上がるごとに高くなる。年をとれば誰でも起こる可能性のある病気だ。

「代表的な症状は動悸で、急にドキドキして胸に違和感が出るのが特徴です。しかし、この心房細動がある人の2人に1人は自覚症状がない、いわゆる“隠れ心房細動”といわれています」(木村さん)

 こうした隠れ心房細動は、どうやって見つけたらいいのか。その方法として、木村さんは、「年に1回受ける健康診断で心電図を測ること」と、「日々の脈チェック」の二つを挙げる。

 脈の測定は運動前後などでよく行われている。不整脈をみるのは医師や看護師など、専門的な知識がないとできないように思えるが、木村さんによると、誰でも簡単にたった10秒で不整脈がわかるという。脈のとり方は、普段、私たちがやっている方法と一緒で、利き手の人さし指と中指と薬指の3本で、反対側の手首の親指側にある橈骨(とうこつ)動脈にあてる。意識するとドクンドクンと脈を打っているのがわかる。

 不整脈で注視するのは、脈拍数ではなく、打ち方のリズムだ。1、2、3、4、5……と規則的であれば問題ないが、1、23、、、4、56……というように不規則に打っているような場合は不整脈の可能性が高い。

 いずれの方法にせよ、心房細動かもしれないと思ったら、一度、医療機関で診てもらったほうがいいだろう。診断されたら、一般的には血液を固まりにくくする抗凝固薬を脳梗塞予防として服用することが多い。病状によっては、アブレーションという血管内治療を行うこともあるそうだ。

【3】血管ストレッチを行う
 今回紹介するのは、「血管に効かせるストレッチ」だ。

 考案したのは、動脈硬化と運動の関係を研究する立命館大学スポーツ健康科学部教授の家光素行さん。これまで体が硬い人や冷え症の人は動脈硬化になりやすいといったことを、科学的に証明してきた。その家光さんによると、運動は動脈硬化を予防するという。

「体を動かすと血流がよくなります。そうすると血流で血管の内壁が刺激され、一酸化窒素(NO)という物質が放出されます。この一酸化窒素は血管が硬くなるのを予防し、しなやかにしてくれます」

 有酸素運動であれば何でもよく、できればウォーキングやジョギングなども取り入れたいが、暑い夏の最中、屋外で体を動かすのは熱中症の危険を伴う。また、コロナ禍の自粛による運動不足の状態から急に体を動かせば、足腰を痛めたり、ケガをしたりする危険も。その点、ストレッチならクーラーの利いた涼しい部屋でできる。安全に、快適に、動脈硬化を予防できるわけだ。

 紹介する血管ストレッチは全部で5種類(記事最後を参照)。ストレッチを効かせたい血管は、体の中心を走る大動脈、足の付け根にある大腿動脈、膝裏を流れる膝窩(しっか)動脈、ふくらはぎから足首を流れる後脛骨(けいこつ)動脈、そして足先を流れる毛細血管だ。

 なぜこの五つなのか。

「血管は全身に張り巡らされています。下肢の大きな血管や毛細血管を意識的に伸ばして血流をよくすることで、末梢の血流を高めることができます」(家光さん)

 血管ストレッチが今までのストレッチと違う点は、「伸ばす血管の場所を意識しながら伸ばすこと」。もう一つは、「ストレッチとストレッチの間を10〜20秒開け、休息時間をとること」だ。血流がよくなるのは、ストレッチを終えて血管が緩んだ後。血流をしっかり全身に巡らせるためにも、インターバルをしっかり設けよう。

 その他の注意点は下に示した。しっかり守って効果を上げるストレッチを行っていこう。

【血管ストレッチを行う際の注意点】(家光さんへの取材から)
・必ず大きく呼吸しながら行う(呼吸を止めない)
・血管を意識しながらストレッチを行う
・次のストレッチまでの間は10〜20秒開ける
・「イタ気持ちいい」と感じるところまで伸ばす
・関節などの痛みがある場合は無理をしない
・できるだけストレッチの順番は守る

 最後に、夏の脳卒中で気を付けたいことをお知らせする。

 この暑い時期、ふらついて倒れたら、真っ先に疑うのは熱中症だが、実は脳卒中の可能性もある。両方ともふらつく、意識を失うといった症状が出るためだ。熱中症と脳卒中の治療はまったく異なるため、早期治療に結びつけるためにも、やっておきたいことがある。木村さんが言う。

「救急搬送や病院を受診する際、ご本人やご家族は、救急隊や病院のスタッフに『高血圧で治療中』とか、『糖尿病がある』とか、『心房細動で薬を飲んでいる』とか、脳卒中のリスクがあることをお伝えください。脳卒中を考慮した対応をしてもらえるはずです」

【血管ストレッチ】(すべて左右20〜30秒ずつ、1日2回程度)
【1】大動脈ストレッチ(心臓から出ておなかの中心を通る太い血管)
へそを上に引き上げることを意識。イスに深く座ったら背もたれに寄りかかり、タオルを持った両手を上げて背伸びをする

【2】大腿動脈ストレッチ(足の付け根を流れる太めの血管)
伸びを深めたいときは後ろ足を後方に引く。イスに浅く座り、片足を後ろに引いて足の付け根を伸ばす。背筋は真っすぐ、両手は反対側の腿の上にのせ、上半身が前傾姿勢にならないように支え、視線はまっすぐ前
これを左右行う

【3】膝窩動脈ストレッチ(膝の裏側を走る血管)
イスに浅く座ったら片足を伸ばし、かかとを床に付ける。両手を膝のお皿の上の部分に置いて、ゆっくりと体重をかけていく。これを左右行う。足首は直角でなくてもOK

【4】後脛骨動脈ストレッチ(ふくらはぎからアキレス腱にかけて通っている血管)
イスの背もたれを両手でつかみ、片足を引いてかかとをゆっくりと床に付ける。体は前傾にして体重は背もたれにかけるとラク。体は上下に動かさないこと。これを左右行う。かかとは床に付ける

【5】毛細血管ストレッチ(足の指先や甲の部分などに張り巡らされている細い血管)
イスに浅く座ったら片足の足首を反対側の足の上にのせる。両手で足先を持ち、体を後ろに倒す。足の甲は反っても丸めてもOK。これを左右行う。足先全体を両手でしっかり持つ

(本誌・山内リカ)

※週刊朝日  2021年8月13日号

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  • 血管ストレッチって大丈夫なの? 普通のストレッチ https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/life/188.html 軽い運動の方が……
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