松野明美氏が札幌開催のマラソン酷暑を警告「4割棄権の可能性も」【東京五輪】

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2021年08月05日 17:00  AERA dot.

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写真今年5月、マラソンテスト大会の様子(C)朝日新聞社
今年5月、マラソンテスト大会の様子(C)朝日新聞社
 全国的な猛暑が続く中、暑さ対策が話題となることも多い東京五輪。8月5日、6日に競歩、7日、8日にマラソンが行われる北海道札幌も例外ではなく、連日30度を超える真夏日となっている。この暑さの中、競技を行うリスク、熱中症の危険性を取材した。

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 陸上女子10000mの選手としてソウル五輪に出場、その後マラソンに転向して活躍した松野明美氏は、選手の感じる暑さについてこう語る。

「気温ももちろんですが、日本の夏は湿度が高いですよね。湿度が高いと同じ気温でもランナーにとってはより暑く感じるので、過酷なレースになると思います。気温が30度でも、アスファルトの上はそれよりかなり温度が高くなりますから、暑さはかなり感じると思います」

 気象庁によると、女子マラソンが行われる7日の札幌の予想最高気温は34度、男子マラソンが行われる8日は32度で共に真夏日と予想されている。(8月4日現在)暑さ対策もありレースの開始時間は朝7時に設定されているが、予想最低気温も両日とも25度を下回ることがない。

 マラソン選手の熱中症対策はどのようになっているのだろうか。松野氏は今も昔もあまり変わっていない、と語る。

「基本的には日差し対策のサングラス、帽子、こまめに水分補給を取るとかですね。あとは、スポンジで首の後ろや太ももの後ろに水をかけることもあります。水をかけることによって、体温が少し冷えるんですよね。それ以外は、あまり進んでいないというか、私が思うには対策のしようがないんだなと思いますね」

 基本的な対策をするしかないということだが、暑さというのは、選手に一体、どのくらい影響するのだろうか。松野氏によると、特に気を付けなければならないのは「調子の良い選手」だという。

「体の調子がいいと、あんまり水分を欲しがらない時も出てきます。調子が悪いとちゃんと5キロ地点から、水分をこまめにとっていこうと思うんですが、調子がいいと、どうしても前に前にと思ってしまいますから。5キロ10キロくらいはいいか、と思ってしまう。それが30キロすぎに影響して失速してしまうこともあるので、非常に気を付けないといけないと思いますね」

 さらに今回は、失速だけでなく、選手の途中棄権の可能性も高いと松野氏は指摘する。例に挙げたのは、1991年の9月1日に東京で行われた世界陸上の男子マラソンだ。この大会には松野氏も女子10000mの選手として出場しており、当時の状況を振り返った。

「男子マラソンは朝6時スタートでしたが、6時時点で既に気温が26度あったんです。レース中に気温は30度を越えて、完走率は60%くらいだったと思います。4割近くの選手が、途中棄権をしたんですよね。今回も4割くらいの選手がもしかするとリタイアする可能性が出てくるんではないかと心配しています」

 こういった環境の中、レース展開はどのように予想するのか。

「今回は暑さ、自然との闘いということで、恐らくかなりのスローペースになるのではないかと私は思っています。記録というよりも、やっぱり順位ということになるでしょうね。どれだけ30キロくらいまでに体力を温存して走れるか、ということになってくるのではないでしょうか。日本人選手はラスト10キロで、アフリカ勢にどれだけ食らいついていけるか、ということになると思います」

 注目選手は、と聞くと「日本代表の方は皆さん頑張ってほしいので……」と悩みながら、「男子代表の大迫選手」と答えた。

「小柄な体で頑張っている姿を見ると、私自身も自分の昔を思い出すような。頑張ってもらいたいなと思いますね」

 一方、マラソンの応援といえば、沿道に集まった観客が旗を振り声援を送るシーンが印象的だが、今年は感染対策のため、札幌市は沿道での観戦自粛を訴えている。しかし、既に競技が行われている東京では、外から競技を見ることができる場所には観客が集まる事態となった。感染拡大への懸念について、医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師はこう語る。

「今感染が拡大しているデルタ株の感染力は、水疱瘡と同程度と言われていて、水疱瘡の家庭内感染率は90%です。エアコンを入れた室内は換気効率も悪くなりますので、屋内に1人でも感染者がいれば移る可能性が高い。沿道で観戦するとなれば移動に公共交通機関を使うこともあるでしょうし、暑くて屋内に入るということもあるでしょうから、観客が集まるのは非常に危険でしょう」

 記録的な暑さに加えて、感染拡大が続いている今、沿道ではなく自宅でレースの行方を見守ってほしい。(AERA dot.編集部・大谷奈央)

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