「漫画村」の実刑判決に抑止効果はあるのか? コロナ禍で変わるマンガ、同人活動のありかた。『ラブひな』赤松健先生に聞く!

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2021年08月06日 11:11  ダ・ヴィンチニュース

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写真赤松健
赤松健

赤松健(あかまつ・けん)/1968年生まれの漫画家。中央大学卒。代表作に『ラブひな』『魔法先生ネギま!』など。公益社団法人「日本漫画家協会」常務理事。電子書籍サイト「マンガ図書館Z」やアシスタント募集サイト「GANMO」を運営。

 6月2日、福岡地裁で「漫画村」運営者とされる容疑者に懲役3年・罰金1000万円・追徴金約6257万円の判決が下り、検察・被告双方は控訴せず、実刑が確定した。著作権侵害に伴う被害総額は2000億〜3000億円以上とも推定されるなか「量刑が軽すぎる」という声もあがる。また、コロナ禍・巣ごもり消費を受けて、再び第2の「漫画村」と見做されるような海賊版サイトがアクセスを集めているとの指摘も。今回の判決に果たして抑止効果はあるのか? また長引くコロナ禍は商業のみならず同人マンガにどんな影響をもたらすのか? 著作権を巡る諸問題への対応や同人マンガの振興に努めてきた漫画家の赤松健先生にお話を伺った。


取材・文=まつもとあつし

「漫画家の声」を聞く対策を

――赤松先生は、今回の判決にはどの程度の抑止効果があると受け止めていますか?

赤松健氏(以下、赤松):初犯ですし、これがもし執行猶予とかになっていれば、じゃあ自分もやるかという人が出てきかねない。そこが実刑ということで抑止効果は期待できるでしょう。ただ今回、裁判の対象となる作品数が少なかったんですよね、たしか2作品だったのかな。そのせいもあって、「はるか夢の址」より刑期が短いんですよね(※)。影響力を考えるとちょっとバランスは悪い気がしますけど業界的には評価する、というところでしょう。抑止効果もあるはずと。

(※今回の判決は2017年に『ONE PIECE』と『キングダム』を無断で公開し、2016年11月に広告収入約6200万円を海外口座に入金させ、犯罪収益を隠したことが問われた。2019年に海賊版サイトへのリンクを集めたリーチサイト「はるか夢の址」の運営者3名に対する裁判では最長懲役3年6ヶ月の判決が下っている)

――「漫画村は本来、出版社が横断的に提供すべき便利なサイトで、だから支持された」と別のインタビューで答えていらっしゃいます。漫画村は、結果として電子マンガの提供のあり方、著作権のあり方など様々な問題を投げかけました。

赤松:漫画村をはじめとした違法サイトへのアクセスを遮断するブロッキングも大きな争点となりました(※)。私が常務理事を務める日本漫画家協会では、念のため公式な反対声明だけは避けましたが、ちばてつや理事長(当時)が個人名で「心強いが、諸刃の剣」というブログ記事を出しています。

(※海賊版への接続をISPに遮断させる措置。2018年に政府の知的財産戦略本部が「サイトブロッキングに関する法制度が整備されるまでの短期的な緊急措置」として実施方針を打ち出したのに対し、憲法が禁じる検閲にあたるのではないか、通信の秘密を侵すものではないか、緊急避難に該当しないのではないか、といった懸念が漫画家をはじめ法律の専門家からも多数表明された。結局、漫画村がサイトを閉鎖したこともありブロッキングは実施されなかった)

 本来は、私たち漫画家を守るためとして打ち出されたものですから、否定すべきではないのかもしれません。しかし、静止画ダウンロードの違法化(※)の話もそうですが、読者、国民に大きな影響のある規制をやろうというのは、やはりとても抵抗感があります。

(※2019年にそれまで刑事罰の対象になっていた音楽や映像に加え、マンガ・書籍などの静止画などあらゆるコンテンツのダウンロードも対象に加える著作権法の改正方針が示され、「ソーシャルゲームの画面スクリーンショットを撮ったり、漫画家が資料収集のためにネット上の画像をダウンロードしたりしても違法になるのか?」といった疑問が噴出した。その後、批判を受けマンガの数コマの写り込みなど軽微なものは規制の対象外であることなど、限定的な内容に着地している)

 このように「私たちクリエイターを守るため、という名目で読者にも大きな影響を及ぼすような行きすぎた規制はダメだ」ということが素直に言えるようになり、それに国も耳をかたむける枠組みが次第にできていきました。そのうえで、やっぱり海賊版はいけないという理解も拡がっていったと思います。そこに今回の実刑判決が出たというのは流れとしては良いと思いますね。それでも何%かの人はこれからも海賊版を読むかもしれないけれど、悪いことをしているという意識は持つはず。Winnyの頃のように「ネットでタダで読めたよ」と戦利品をゲットしたみたいに公言していた昔よりずっと良い。進化しているんですよ。

――一方で、ブロッキングにしても静止画ダウンロードにしても、出版社と漫画家の意見が交わらない場面も目につきました。漫画村運営者への実刑判決が1つの区切りだとすると、業界・産業界に与えた意味も気になります。

赤松:たしかに出版社はブロッキングには賛成するところが多かったですね。消費税が上がるときも、新聞と同様に、マンガや書籍など出版物も軽減税率の対象にしてほしいという陳情が出版界から国に寄せられました。

軽減税率を求める有識者会議|出版広報センター
(軽減税率を求める有識者会議|出版広報センターより)

――ところが本の内容を問うような動きが国から出てきた。

赤松:「エロマンガも対象にするんですか?」って(笑)。そしたらあろうことか出版社側が自分たちで対象となる作品を選別するから、その他のものは軽減税率を適用してよいと回答してしまった。それで、我々クリエイターは怒ったんです。幸い事前に山田議員(自民党所属の山田太郎参議院議員。表現規制反対派として知られる)が、税金の適用範囲について、一般企業が自らの裁量で決めることができるか、と国会で質問して、国から「できない」という回答を引き出してくれました。

参議院議員山田太郎 公式サイト
(1/18 予算委員会 軽減税率で有害図書指定はできない | 参議院議員山田太郎 公式サイトより)

 2012年頃から電子書籍の普及と共に議論となった著作隣接権(※)も出版社だけが当初国と交渉していましたし、今回の静止画ダウンロード違法化の範囲の拡大も、私たち漫画家に相談なく出版社をはじめとして「漫画家を守るため」として導入を進めようとしていた。その漫画家が大反対したことで、もう一度やり直しとなったわけです。こういったことを何度か経験して、今では有識者会議に私のような漫画家が呼ばれるようになったり、先に漫画家協会に相談が来るようになったりしました。

(※レコード会社など、著作物の伝達に重要な役割を果たしている者に認められている複製権や送信可能化権などの著作隣接権を出版社にも認めようとする動き。海賊版対策を漫画家などの著作者だけでなく出版社も円滑に行うことを理由に導入が働きかけられたが、電子出版など新しい権利行使の機会も自動的に出版社に付与されることに漫画家らから懸念の声があがり現在も実現していない)

――一連の出来事をきっかけに、Twitterでも積極的に発信する赤松先生が漫画家協会の常務理事となり、山田議員をはじめとする表現の自由に理解のある政治家も表舞台に立ち、私たち読者と漫画家の声が政治に届くようになったという実感はありますね。

赤松:危ない動きや、間違った報道などが出たときにはサッと抗議とか声明を出していくのも大事だと思いますね。そうしないと舐められますからね(笑)。

横断型プラットフォームはなぜ生まれない?

――私が専門とするアニメの世界ではまだまだそういった取り組みが不足しているとも感じます。それは対政治、ということだけではなくて、GAFAなどの対プラットフォームに対しても大事ですよね。

赤松:それはありますね。海外にマンガを出したいのなら進んで規制を受け入れろという空気がある。キャラの容姿や身につけているもの、価値観やストーリーまで。でも『進撃の巨人』や『鬼滅の刃』周辺を見ていると、ファンの人からは「日本の表現そのままで見たい」という声がいっぱい聞こえてきます。海外プラットフォームの圧力で変えないでほしい、と。

 海外プラットフォーム側も、誰かが個人の価値観で逐一規制しているわけではなくて、YouTubeがそうであるように、AIで自動的に処理している場合も多いわけです。だから、できればあまり規制せず日本の表現がそのまま海外で鑑賞され、「やっぱりこれが素晴らしい」という例をたくさん作っていくのが良いと思うんです。

――本当はそういうプラットフォームは日本のプレイヤーが運営した方が良く、それも出版社の垣根を越えた横断型のプラットフォームがあった方が良い、というのは赤松先生がずっと指摘されているところです。

赤松:表現に対して矜持を持っている人たち、出版社、漫画家が中心になってプラットフォームを作りたかったけど、海外とのプラットフォーム合戦に負けてしまいましたね。

 やはりサーバーが「こっち側」にあることが重要だと思います。それを海外から見に来てもらう形が望ましい。今マンガアプリも韓国勢強いじゃないですか。

――ウェブトゥーン(縦読みを前提としたフルカラーのスクロールマンガ)ですね。

赤松:日本はマンガ、アニメ、ゲームというコンテンツ作りがものすごく強力で世界にも認められているのに、プラットフォームで負けてしまっているのはもったいないですよね。

――やはり出版社の垣根を越えて、それこそ漫画村のように「日本のマンガならなんでもある」という風にならないと、対プラットフォームの戦いでは勝てない? 別のインタビューでは出版社による「書店への配慮」ができないことが背景にあると答えていらっしゃいましたが。

赤松:書店への配慮で、電子書籍の値段を紙版の値段から大きく変えにくい、というのはあるでしょう。本当は、『進撃』や『鬼滅』はたくさん売れるから安くする、もしくはたくさん売れるから高くしようとか、『ONE-PIECE』は長期連載だからまとめてディスカウントとかいう、作者の儲けが一番大きくなる地点が計算式で出るはずなんですよ。

 なぜ我々がやらないかというと、「久米田康治の作品は800円なのに赤松健のは400円なのはどういうわけだ!」という作家間格差を日本の作家が結構嫌がるんですよね。

――記事の見どころをつくっていただいてありがとうございます(笑)。

赤松:再販制度も電子書籍では通用しません。本当は計算式を当てはめれば、それぞれの作品・作家で儲かる値段が割り出せるはずなのに、我々の方から同じ値段で売ってくれとお願いしているような状況なんですよね。

――AmazonみたいなITプラットフォームだったら容赦なくアルゴリズムで自動化し、実際儲かったりもするものだから、出版社も著者も文句は言えないけれど、作家とのつながりが深い出版社がやると、個別事情が出てきてしまうと。

赤松:作家を差別している、あの作家ばかりかわいがっているといじける者が出てくるんですよ。そこは一律の値段で、しかも書店の紙の本ともあまり値付けは大きく変えない。今のところそれで輪を保っている。我々としてはすみませんという感じがしますね。

――結果として、デビューしたばかりの作家の作品も既にヒット作を生んでいる作家の作品も同じ値段で書店・電子書店に並ぶ。紙のコミック誌が縮小するなか新人には環境がより厳しくなっています。横断型の電子書店があれば、この状況は打破できる?

赤松:新人も諌山先生も同じ値段で書店に並び、しかも同じ掲載誌の人気アンケートで勝負するんですから、当然新人の方が不利になります。

 Kindleが攻めてきたときに、出版社連合ができました。黒船に対抗しようという動きがありましたけど、今大手出版社は特に外資のプラットフォームの上でめちゃくちゃ儲かっているんですよね。だからもう対抗、というのは考えにくいんじゃないかなと思います。

――そこに加えて、動画配信プラットフォームで過去の作品にも注目が集まり、旧作コミックスや関連グッズも売れて、版権収入も膨らんでいます。

赤松:IPもそうですが、マンガ自体も売れているんですよ。電子コミックも私の4年も前にアニメ化された作品の原作が今凄い勢いで売れている。

UQ HOLDER!
(2017年10月よりテレビアニメも放送された『UQ HOLDER!』)

 だから、こういう段階でたとえば『ジャンプ+』の編集部が売れ筋の作品を他所でという風にはならないんですよね。やっぱね、すごい使い出がある作品は囲い込んで自分たちがコントロールしたい。出版社横断で、読者にその作品とのマッチングの機会を増やすためという名目で全部一律で読ませていくというのはなかなか難しいんじゃないですかね。

 各社にAPIを公開してもらって買った作品はひとつのアプリで全部読めるという共通本棚があれば、まあまあ横断型に近いので、そのくらいはやってほしいなと思います。じゃないとBookLive! でもebookjapanでも全部サービス間を行き来しないといけないので、それだったらネットでZIP落とそうかなとか、海賊版サイトで最新巻だけ読もうかなって気になってしまうかもしれません。使いやすさという面で海賊版に負けていたんじゃだめなんですよ。

コロナ禍で同人にもたらされた危機

――ある意味、コロナ禍で生まれた巨大な巣ごもり消費が、出版社や電子書店、マンガアプリにいわば「マンガ景気」をもたらしていて、それが横断型の取り組みからは各社を遠ざけてしまっているのが、気になるところです。他方、同人の世界ではコミケが1年以上にわたって開催されないという状況が続いています。(※取材後となる8月2日、コミックマーケット準備会は、“コミックマーケット99”(コミケ99)を、2021年12月30日〜31日の期間、東京ビッグサイトにて開催することを発表した)

赤松:日本ワルワル同盟の有馬啓太郎さんなどにヒアリングしたんです。同人サークルの人たちは締切がないとなかなか創作に向かいにくい。有馬さんとかはプロだから商業誌のペースで描いていけますが、そうではない人たちは、コミケは1年半ないんで締切がこない。それで、いろんなものを忘れていっているという。

――画力が落ちる、ということですか?

赤松:それだけじゃなくて、コミケとかってどうするんだっけ? という段取りを忘れてきている。いつ頃何をするのかっていうのがそろそろ忘れてきているんですよね。夏コミ、冬コミが定期にあればいつ頃申し込みがあってとか、どれくらいまでにやらないと絶対落ちるというのがあるので、いつもそれを気にしてやっている。そういうことが続くと新しい世代に運営ノウハウが継承されなくなってしまう。

 これがもし2年・3年になってくると、「え、売り子が何をするんですか?」「出し子って何ですか?」ってなるんですよね。巨大サークルでは箱から出して並べる人がいないと間に合わないんですよ。ノウハウが蓄積されないというのは、コミケの準備会もそうで、今までの伝統の継承が停止してしまう可能性が危惧されている。もうコミケに出るのも別にいいかなっていう若手作家がそろそろ出てきているらしい。

 1年目の人たちが我々先輩につられて、原稿をやりとりしあって楽しいってなって11月頃には何をしなきゃいけないというのを学んで引き継がれてきたことが、おそらくここで切れてしまうんじゃないか、これ以上長引くと。コミケの準備会の人たちも同じこと言ってましたね。コミケの準備会の集会をやろうとしてもこられないし、わからない人たちがこのまま増えていくと準備会のスタッフになろうという発想がまずなくて、みんな老人になっちゃうと。

――たしかにちょっと気を抜くとあっという間に皆年をとりますからね。売上という意味からも深刻かも。

赤松:1、2年ならだったらまだいいかもしれない、2年前あったなあって思い出してやるので。その辺の伝統の継承が切れてしまうと文化が死滅するのではという心配はしていました。そして、同人に関してはお金じゃないですよ、みんな本職があってやってますから。これで食べている人もいますけど、そういう人たちは電子で生計を立てているという事情があって、商業をやっている人は商業に集中しているということですね。

――なるほど。そんな状況のなか、赤松先生はじめ関係者は、同人イベントに対する支援を国に要請するといったことも行っていました。国はそれに対してレスポンスよく応じてくれているのでしょうか?

赤松:最近は政府の人たちも、公務員、官僚なんかもオタクがとても多くて理解はすごくあります。国会議員もこれがネットで受ける話題だってわかっているので、みんな快く対応してくれていて、J-LODlive(コンテンツグローバル需要創出促進事業費補助金)とかいろんなシステムがあって日々改善されている実感はあります。もちろん批判もあるところなので、申請書式もどんどん簡易なものになっていき、徐々にラフ・ジャスティスでやっていいことになっている。そこは評価すべきだと思います。

特定非営利活動法人映像産業振興機構
(特定非営利活動法人映像産業振興機構ホームページより)

――文化庁長官も「文化芸術活動の休止を求めることは、あらゆる手段を尽くした上で」というメッセージを出すなど、支援の姿勢は明確にしてきています。制度も整ってきたなか、あとは何が必要でしょうか?

赤松:オリンピックより優先するのは無理だろうけど、「日本はマンガアニメってものが売りなんだ、オリンピックに匹敵するんだ」と、そのために同人イベントの会場費全額免除とか、トップクラスの人たちが急に言ったならば「おーっ」てなりますよね。

――コロナがなくとも会場の確保やスケジュールなどで割を食っていますからね。

赤松:いろんなイベント運営者に聞くと、やっぱり厳しいのは会場費ですよね。ソーシャルディスタンスもそうですけど、人をあまり入れられないのに、会場費は同じってきついだろうなって思います。なので、ワクチン接種が加速して、以前のようなぎゅうぎゅう詰めのコミケが戻ってくる、というのが望ましいとは思いますけどね。もう無理かな。今は、入場前の検温も必要なのでそこで滞留してしまう。その行列を抜けたら走り出す人もいて、なかなか大変です。

 大手の壁サークルなんかは、開場からずっと行列で13時には売り切っちゃおうみたいな流れだったけど、これからは1時間に何冊売るかをちゃんと計算して、1時間ごとに同じ人数を入れるといった工夫が必要になってくるかもしれない。でも、開場と同時に「ウオー」と目当てのサークルに向かう、あの勢いも捨てがたいですよね。

――コロナ後は同人イベントのあり方は変わりますかね?

赤松:うーん私は変わらないと思う。まだ大きなイベントはコミティアしか行ってませんが、「喜びポイント」も「面白ポイント」もあんまり変わってない。私はいつも現状肯定派なんですよ。今コミケもコミティアもたくさん新人が出てくる虎の穴じゃないですか。新人育成所なので、そういうものっていうのは、なるべく今のまま残った方が漫画界のためではあると思いますよ。

――そのためにも支援が必要だという話ですね。

赤松:そうですね。希望としてはワクチンなどほかにもいろんな手法がありますけど、それを導入して、乗り越えて同じ形で続いていってほしいと思っています。

 我々作家は紙が好きなんですよ。コミケを全部電子化して電子で買えばいいじゃんという人もいますが、紙で売って手渡しするというのが楽しいみたいなお祭りなんですよね。そこは継承されていってほしいと思ってますが、もしこれから3年5年というスパンでコミケをやらなかったら、その価値観は継承されないんですよ、おそらく。

 その場合、電子に移行すると思うんだけど、それはそれでそういう道もあるのかなと思ってます。なぜかって今出版社は持ち込みが減っているんですよね。感染拡大でちょっと危険な時期もあったので。そもそも全て紙で描いているのは、マガジンでも『はじめの一歩』と『七つの大罪』と『炎炎ノ消防隊』の3作品位ですし、電子で投稿してZOOMで編集者と打ち合わせするのがなんでいけないの? と言われると確かにそうだよな、と思うので、そういう形が増えてよりいいものができるのであれば、受け入れていくべきだと思っています。

はじめの一歩

七つの大罪

炎炎ノ消防隊

――コロナ禍のなか作家や作品の発信の仕方が変わった、新たな手法が生まれたと思います。

赤松:Twitterを使ってどんどん宣伝していく人たち、結構いますよね。今は過渡期なので、そういう人たちも出版社に声をかけてもらって紙の単行本になって書店に並んだらいいなとみんな思っているみたいだけど、それさえも別に望まない人たちが出てきたら彼らは大成功するかもしれない。

 縦読みマンガに関して日本漫画のコマ組みの練習・訓練をしなくても描けるんだという意見があって、僕もそれはそうかもしれないと思うんです。SNSでは新人が日本漫画の練習や下積みが少なくても才能を発揮していくことができるかもしれない。紙でぱらぱらめくるよりも面白さを訴求しやすくなるかもしれないし、そうなるとネットで新人が作品を発表することはかつてより有利かもしれないし、その辺の技術開発をどんどん進めていくことはすごくいいことだと思います。

――赤松先生はウェブトゥーン的な縦読みは描かないんですか? 読んでみたいと思いました。

赤松:私もベテランになったので、何かいろんな会議にも出るようになったし、その辺は若手にお任せします(笑)。でも、もし私がやるなら縦横両用にしますね。紙にもできるし縦読みの特殊性も使えるみたいな。とにかく紙が好きなんです。

――わかりました。そうなれば赤松先生の「新機軸」が見られるかもしれませんね。本日はお忙しい中ありがとうございました。


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