新監督にヌーノ・エスピリト・サントを迎え、トップ4入りを目指すトッテナムだが、ハリー・ケインの去就が気になるところ。絶対的エースが残留するか否かで今後のチーム作りは大きく変わってくる。そのケインの移籍先と噂されるマンチェスター・Cは、アストン・ヴィラからジャック・グリーリッシュを加え、前人未到の4冠を目指す。開幕節から実現するビッグマッチを前に、知っておきたい7つのトピックを紹介する。
[写真]＝Getty Images
■トッテナムはヌーノ体制での初陣
トッテナムにとって、この試合はヌーノ新体制で迎える初の公式戦となる。今年4月にジョゼ・モウリーニョ前監督を解任したトッテナム。新監督として招へいしたのは、現役時代にポルトでモウリーニョ氏の下でGKとしてプレーをしていたヌーノ監督だった。2017年に当時2部のウルヴァーハンプトンの監督に就任し、1年で昇格を果たすと、プレミアリーグで2年続けて7位フィニッシュを達成。2019−20シーズンにはヨーロッパリーグ（EL）でベスト8入りの快挙を成し遂げた。エースのラウル・ヒメネスが途中離脱した昨季は13位に終わったが、プレミアリーグで実力は証明済みのヌーノ監督。2年連続でトップ4を逃したトッテナムの救世主となれるだろうか。
■マンCは開幕戦で10連勝中
プレミアリーグの開幕戦で圧倒的な強さを誇るマンチェスター・C。44年ぶりのリーグ制覇を果たした2011−12シーズン以降、10年連続で白星スタートを切っている。データサイト『Opta』によれば、開幕戦10連勝は、1891−92シーズンから1900−01シーズンのアストン・ヴィラと並び、イングランドのトップリーグ記録。マンチェスター・Cはこの試合に勝てば、121年ぶりに新記録を樹立することになる。
ただし、マンチェスター・Cが最後に開幕戦で勝利を逃したのは、今回と同じくアウェイのトッテナム戦だった。2010年8月14日にホワイト・ハート・レーンで行われた一戦は、スコアレスドローに終わっている。なお、1995−96シーズンの開幕戦でも戦い、1−1で引き分けた両チーム。“プレミアリーグ開幕戦”での対戦は過去2戦とも決着がつかずに終わっているが、果たして今回は。
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マンチェスター・Cとは対照的にトッテナムは、開幕戦に苦戦している。過去10年のプレミアリーグ開幕戦の成績は、5勝1分4敗。勝ち越してはいるものの、“ビッグ6”のライバルには2戦とも敗れているのは気になる点だ（いずれもマンチェスター・U戦）。昨季はホームでエヴァートンに0−1で敗れており、この試合に負けると2011−12、2012−13シーズン以来の2年連続での黒星スタートとなる。
ただ、今季からクラブを率いるヌーノ監督は、ウルヴス時代のプレミア開幕戦は1勝2分の負けなし。エヴァートンとレスターには引き分け、昨季のシェフィールド・U戦には勝利と、及第点以上の結果を出してきた。またプレミアでのマンチェスター・C戦でも、過去3シーズンで2勝1分3敗と健闘しているだけに、期待が持てそうだ。
■ペップは敵地が苦手
マンチェスター・Cのジョゼップ・グアルディオラ監督は、『トッテナム・ホットスパー・スタジアム』を大の苦手としている。2019年4月に同スタジアムがオープンして以降、公式戦でのアウェイのトッテナム戦は3戦全敗。同スタジアムでは一度もゴールを決めることすらできていない。
なお、その全3戦で得点を記録しているのがトッテナムの韓国代表FWソン・フンミンだ。マンチェスター・C戦を得意としており、これまで出場した13試合で6得点を決めている。プレミアリーグのライバルの中で、サウサンプトン（11得点）の次に多くのゴールを決めている相手がマンチェスター・Cだという。監督キャリアにおいて、同じ相手にアウェイで4連敗をしたことは一度もないというグアルディオラ監督が鬼門を突破するには、ソン・フンミン封じが鍵となるだろう。
■ケインの姿はどこに？
イングランド代表FWハリー・ケインはキックオフの瞬間をどこで迎えることになるのだろうか。マンチェスター・Cへの移籍が噂されるケイン。本人が移籍を望んでいることは周知の事実であり、グアルディオラ監督も同選手に興味があることを認めた上で、トッテナムが交渉に応じるかどうかだと発言している。また、イングランド代表のキャプテンとしてEURO2020の決勝まで戦ったケインは、休暇後の隔離措置が12日に終了したばかり。その間は個別調整を強いられていたため、出場するとしてもコンディション面には不安が残る。奇しくもマンチェスター・Cをホームに迎える開幕戦。ケインの姿が見られるのはピッチ上か、ベンチの中か、スタンドか、それとも。
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ケインを獲得できなかったとしても、マンチェスター・Cは優勝候補の筆頭だ。英国大手ブックメーカーの『ウィリアム・ヒル』による今季プレミアリーグの優勝オッズは、開幕直前の段階で「1.67倍」のマンチェスター・Cがトップ。次にオッズが低いリヴァプールとチェルシーがそれぞれ「6倍」で、4番手のマンチェスター・Uが「9倍」。マンチェスター・Cが2連覇する可能性が圧倒的に高いと予想されている。
昨季のPFA（イングランドプロサッカー選手協会）年間ベストイレブンに6人が選出されたマンチェスター・C。夏には英国史上最高額となる移籍金1億ポンド（約152億円）でジャック・グリーリッシュを獲得し、攻撃力はさらに厚みを増した。昨季のチャンピオンズリーグ（CL）決勝でチェルシーに敗れたことも、さらなる高みを目指すモチベーションになったに違いない。グアルディオラ体制6年目のマンチェスター・Cは盤石な体制で新シーズンに挑む。
■予想オッズは？
日本時間13日現在、『ウィリアム・ヒル』はトッテナムの勝利に「5.5倍」、マンチェスター・Cの勝利に「1.6倍」、ドローに「4.2倍」というオッズを付けている。現時点での戦力や、過去の開幕戦での成績を踏まえれば、マンチェスター・Cが有利と予想されるのは自然だろう。しかし、多くの国際大会が行われたこの夏。両チームからも多くの選手が参加しており、選手個々のコンディションは未知数だ。それでも就任から開幕戦5戦全勝のグアルディオラ監督が、オフ明けの選手マネジメントにおいても一歩リードしているのは間違いない。
グアルディオラ監督は『トッテナム・ホットスパー・スタジアム』で自身初勝利を挙げてリーグ連覇に向けて幸先の良いスタートを切るのか、あるいはヌーノ監督が初陣を勝利で飾るのか。注目の好カードをお見逃しなく。
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