23階建ての高層ビルをサクサク登っていく(画像は『New York Post 2021年8月12日付「Embrace fear: Free climber scales another London skyscraper」(Yui Mok/PA via AP)』のスクリーンショット) 英イースト・ロンドンの23階建て高層ビルで、1人のイギリス人フリークライマーがある挑戦を始めた。地上からロープ無しでビルの外壁をスルスルと登り始めると、ものの10分ほどで屋上まで登り切った。こうした挑戦を続けている男性は、過去に逮捕された経験もあるという。それでもチャレンジを続けるそのモチベーションやメンタル維持の方法を『London Evening Standard』などが伝えている。
【この記事の動画を見る】
今月12日午前、フリークライマーのジョージ・キング=トンプソンさん(George King-Thompson、21)が英ロンドン東部ストラトフォードにある高層ビル「Unex Tower」を命綱やロープを使わずに頂上まで登り切った。
屋上に到達する2フロア前では煙草を吸うために小休止を挟んだそうだが、それでもたった10分ほどで頂上に到達した。そんなジョージさんは、独自の考え方でメンタルを維持しているという。
「私は恐怖に呑まれるのではなく恐怖をコントロールし、それを自分の強みとして利用する考え方を心得ています。この考えを毎回のクライミングで活用しており、今回もこれで乗り切りました。」
同ビルを登った後にそう明かしたジョージさんは、今月3日にも同地域にある別の36階建て高層ビル「Stratosphere Tower」を30分以内で登り、ニュースになっていた。
「簡単なクライミングであるかどうかに関わらず、死のリスクを軽んじることはできません。私はどんなクライミングでも、同じレベルの集中力で臨みます。そうでなければ致命的なものに繋がってしまうのです。」
ジョージさんは死と隣り合わせのクライミングを終えると、いつも“冷静さ”を感じるそうだ。10歳の頃からこうした危険な挑戦を続けているといい、まさにスリルを追い求める“スリル・シーカー”だ。
多くのクライミングを行ってきたジョージさんだが、2019年10月にはイギリスで最も高い87階建ての超高層ビル「The Shard」に登った際、不法侵入の疑いで逮捕されている。しかも半年の懲役刑を言い渡され、3か月間服役していた。
今月3日に「Stratosphere Tower」へ登った際にも警察に通報が届き、警察はヘリコプターを動員して捜索にあたったが、ジョージさんの姿は発見されず逮捕には至らなかった。
落下や逮捕の危険に晒されながらもジョージさんがクライミングを続けるのは、単に“スリルが欲しい”という理由だけではない。こうした活動を通じて気候変動に対する人々の関心を高めたいとも考えており、「このビルに登ったことが、政治家たちが気候変動に対する行動をすぐに起こすきっかけとなればいいですね」と明かす。ジョージさんが高層ビル「Unex Tower」、「Stratosphere Tower」を選んだのは、7月末に鉄砲水が押し寄せた鉄道駅を見渡せるからだったという。
なお、「次に何が起こるか分からない状況が好きなんだ」と無邪気に話すジョージさんだが、自分のチャレンジで市民に被害が出ないようにしっかりとした準備を事前に行っているそうだ。
画像は『New York Post 2021年8月12日付「Embrace fear: Free climber scales another London skyscraper」(Yui Mok/PA via AP)(AP Photo/Matt Dunham)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)