サッカー界における大きな懸念のひとつである人種差別問題について、イギリスでサポーターを対象とした調査が行われた。25日に、イギリスメディア『スカイスポーツ』が報じている。
『スカイスポーツ』によると、グローバルなデータ収集と分析を得意とするイギリスの専門会社『YouGov社』が今後スタジアムを訪れる予定の約1,200人以上のサポーターに対して調査を行った結果、62%が「選手が人種差別を受けるのではないかと心配している」こと、60%が「人種差別に対する制裁が十分ではないと感じている」こと、スタジアムに足を運ぶ予定がある様々な人種のサポーターの73%が「スタジアムで人種差別を受けることを懸念している」ことが明らかになった。
2020年6月22日に行われたプレミアリーグ第30節のマンチェスター・C対バーンリー戦では、バーンリーサポーターの飛行機が「White Lives Matter(白人の命も軽んじるな)」のバナーを掲げてマンチェスター・Cの本拠地『エティハド・スタジアム』の上空を飛行。これに対し、バーンリーの主将であるイングランド人DFベン・ミーは試合後に「ごく少数ではあるものの、僕たちのサポーターが飛行機を飛ばす決断を下したことを本当に恥ずかしく思っている。彼らの主張は完全に的外れなものだ。そのような人々は21世紀に加わり、自分自身を教育し直す必要がある」と発言し、自チームのサポーターが犯した行為を非難した。
今回のアンケート結果を受けて、B・ミーは『スカイスポーツ』の取材に対して「62%もの人々が、選手の人種差別被害を心配してくれているのには驚いたよ。僕たちは人種差別を無くしたいし、人種差別との戦いを支援するためにできる限りのことをしようとしている。人々がスタジアムを訪れる時には、いつでも快適に感じられることを望んでいるよ」と答えている。
なお、今回のアンケートでは「スタジアムで人種差別を目撃した場合、通報する方法を知っているか」という質問もあり、サポーターの意見がはっきりと分かれる結果となっている。43%が「報告する方法を知っている」と答えたのに対し、45%が「報告する方法を知らない」と答えた。また、試合中に人種差別を目撃した場合に「報告しない」と答えたサポーターは32%に上っている。
人種差別を根絶するためにも実態を把握することが急務となっているなか、『YouGov社』が行った調査データは今後どのように現場で生かされていくのだろうか。