ラノベ=異能・異世界はもう古い? ライトノベルでラブコメ人気がブーストした理由

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2021年09月17日 09:01  リアルサウンド

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 ライトノベルでラブコメ熱が高まっている。書店にならぶ新刊も、「青春ラブコメ」「私以外とのラブコメ」といった具合に、そのものズバリの言葉がタイトルに入ったものや、「英国カノジョ」「カワイイ私」のような、ラブコメ展開を想像させるものが並んでブームを感じさせる。ライトノベルはこのままラブコメ一色になっていくのか。違うカテゴリーからの反撃は起こるのだろうか。


 人気のライトノベルをランキングで示す、宝島社「このライトノベルがすごい!2022」の刊行に向けた投票が、9月23日まで開催中だ。SNSでは作家や版元が自分たちの作品を推す動きが活発化しており、ライトノベル読者からもこれを推すといった声が出ている。年末には結果が明らかになるが、気になるのは、ここに何作のラブコメが入ってくるかということだ。


 前回の「このライトノベルがすごい!2021」を振り返ると、1位に輝いたのは裕夢による青春ラブコメ『千歳くんはラムネ瓶のなか』シリーズだった。以下、5位に紙城境介『継母の連れ子が元カノだった』、7位に屋久ユウキ『弱キャラ友崎くん』、8位に海空りく『カノジョの妹とキスをした』、10位に佐伯さん『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件』と、ラブコメと呼べる作品がずらりと並んだ。


 昨年の時点で「ライトノベルといえば異能バトル・異世界ファンタジー」といったイメージはすでに薄まっており、ラブコメ人気がみて取れる状況だった。この傾向がさらに強まっていることから、もっと多くのラブコメ作品が今年のランキング上位に並ぶ可能性がある。


 発行部数が累計で100万部を超え、4月から6月までテレビアニメが放送された二丸修一『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』が盛り返すのか。人気声優の上坂すみれを起用したプロモーションで話題になった燦々SUN『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』は何位に入るのかなど。動きが気になる作品が多数。


 10年前に「このライトノベルがすごい!2011」が刊行された頃も、ラブコメは既に人気ジャンルのひとつだったが、ここまでランキングを席巻していなかった。1位は鎌池和馬『とある魔術の禁書目録(インデックス)』シリーズ。ラブコメは、2位に平坂読『僕は友達が少ない』、8位に伏見つかさ『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』という、2010年代を代表する2作品が並んでいた程度だった。渡航の『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている』が2013年から2016年まで3連覇を果たした時期でも、ラブコメ一色にはならず、丸戸史明『冴えない彼女の育て方』が伸びたくらいだった。


 そうした状況が近年になって一変した。この背景には、「小説家になろう」などの小説投稿サイト発のノベルズ(B6判や四六版で刊行される書籍)に異世界転生ものや、ゲーム世界が舞台となったVRMMOものが集まったことがありそうだ。


 伏瀬『転生したらスライムだった件』や丸山くがね『オーバーロード』、香月美夜『本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜』などがヒットしたことで、似たカテゴリーの作品が相次いでノベルズに投入されていった。その結果、異世界転生ファンタジーや異能バトルは、そちらで隆盛を誇るようになった。


 馬場翁『蜘蛛ですが、なにか?』、森田季節『スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになっていました』、白石定規『魔女の旅々』、Y.A『八男って、それはないでしょう』と、ノベルズからアニメ化される作品も続々と出てきたことで、傾向にさらに拍車がかかっている。「このラノ2021」でも書籍部門は1位の珪素『異修羅』ほか異能バトルや異世界ファンタジー、SFが並ぶ。


 一方で、書籍よりは価格的に手に取りやすい文庫版のライトノベルジャンルでは、ティーン層が好むラブコメが増えていく。『チラムネ』『友崎くん』『おさまけ』が人気となって、作家も版元もいっせいに後を追い始めた。そんな見方もできそうだ。


 もちろん、ラブコメと一口にいっても中身は多彩だ。天乃聖樹『クラスの大嫌いな女子と結婚することになった。』のような新婚もの、『ろしでれ』や猿渡かざみ『塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い』のような異性の意外な一面に惹かれるタイプのものなど、関係性を工夫して、新しい嗜好を生み出そうとしている。その中から、『俺ガイル』のような覇権を奪うラブコメが生まれてこないとも限らない。


 とはいえ、エンターテインメントの世界で人気は水ものだ。アニメ化された二語十『探偵はもう、死んでいる。』や、「このラノ2021」で2位の竹町『スパイ教室』が話題となる中で、今後探偵ものやミステリが増えていかないとも限らない。『呪術廻戦』や『チェンソーマン』がヒットしたマンガの雰囲気が伝わって、伝奇バトルが盛り上がるようなこともあるだろう。まずは「このラノ2022」で文庫部門にどのような作品が並ぶかに注目したいところだ。


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このニュースに関するつぶやき

  • 詳しいわけじゃないから略されてる元タイトル分からない
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  • そもそもラノベがまだ『ファンタジー小説』と呼ばれていた時代の後期になると中高生中心からオタク中心へ微妙にシフトして、そこから萌えが参入、萌えが全盛期を迎える。
    • イイネ!1
    • コメント 6件

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