テレワーク推進で「社員のいない社員食堂」が続出 あのタニタも休業状態

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2021年09月17日 11:15  AERA dot.

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写真テレワークが進む中、社食の売り上げが10分の1以上に減ったところもある(写真はイメージです/gettyimages)
テレワークが進む中、社食の売り上げが10分の1以上に減ったところもある(写真はイメージです/gettyimages)
 コロナ禍に見舞われた1年半の間に、企業がテレワークを推進する機運は一気に高まった。働き方改革や感染対策の面でメリットがある一方、テレワークが進むほど困るのは、企業内にある社員食堂だ。出社率が減るほど、「社員のいない社員食堂」が生まれてしまうというジレンマがある。維持費や食品ロスなどの問題を抱える社食は今、どうなっているのか。実態を取材した。


【画像】社食界トップクラス! ソニーの社員食堂はこちら
「コロナの影響で休業している社員食堂は多く、中には廃業しているところもあります。なんとか営業を続ける社食も、大きな打撃を受けている状態です」


 こう話すのは、全国の社食を取り上げるサイト「社食ドットコム」代表の藤井直樹氏だ。 


 企業の社食は外部委託されている場合が多いが、コロナの長期化による営業不振などで撤退が相次ぎ、実質的に社食を失った企業も少なくないという。


「2年ほど前までは、福利厚生として社食を充実させる企業が多く“社食バブル”のような状態でした。ヘルシーメニューなどを充実させ、好きな料理を選べるビュッフェスタイルの採用も増えていました」(同)


 藤井氏によると、このような先進的な取り組みをしていた代表格が、ソニー本社(東京・品川区)の社員食堂だという。社内にはカフェテリアやビュッフェ、サラダバーなど多彩なラインアップがそろう。窓からはレインボーブリッジや東京タワーを一望できるリラックスゾーンもあり、社員の憩いの場となっていたようだ。


 そのソニーの社食は今、どうなっているのか。


 同社の広報担当者によると、現在はビュッフェとサラダバーは停止、社食内に28列あった提供レーンも、現在稼働しているのは4レーンのみだという。ソーシャルディスタンスを保つため、1243席あった座席数も、408席まで減らした。


 ランチの提供数(喫食数)は、コロナ前は約5000食あったが、現在は約500食に。約300食出ていた夕食は、現在は停止中だという。コロナ対策として、使い捨てカトラリーの提供や、ほぼすべての食堂メニューのテークアウト販売なども始めるなど工夫はしているが、限界はあるようだ。




「食堂利用者数が大幅に減少しているので、従来どおりのメニューを提供することは困難になっています。(社食の)運営会社に対して追加で補助金を支払うことによって必要最小限の選択肢を残しつつ、食堂の運営を維持しています。ベジタリアンメニューやヘルシーメニューの提供ができていない状況なので、ダイバーシティや健康への配慮が今後の課題の一つです」(広報担当者)。


 また、社食と言えば、健康機器メーカーのタニタも忘れてはならない。同社の社員食堂は、健康に配慮したレシピ本がベストセラーとなり、その取り組みが映画化されるなど(『体脂肪計タニタの社員食堂』)知名度も高い。


 タニタに現状を問い合わせたところ、現在、社員食堂は休業中だという。


「弊社の社員食堂については、新型コロナウイルス対策のため、昨年の4月の緊急事態宣言より断続的に休業をしており、今年は1月の緊急事態宣言から休業をしています。今後の再開は感染状況などを考慮し検討する予定です」(担当者)


 社食で有名なタニタでさえ休業状態を余儀なくされるほど、その運営は厳しい。企業に最も重くのしかかるのが「施設の維持費」だ。閑古鳥が鳴こうと、人件費をはじめとするランニングコストは常に発生する。前出の藤井氏はこう話す。


「食数が減った分、社食で働く従業員もコロナ前ほど必要ではなくなっています。実はコロナ直前までは、社食は働き手が足りず人手不足でした。人をどうやって確保するかが課題でしたが、今はむしろ足かせになってしまっている。大手企業ほど抱えている人数が多いので、大変だと思います。実際、特に都心部にある企業の社食を請け負う運営会社では、別の地域の社員食堂に配置転換させる動きが進んでいます」


 ただ、自社で社食を運営する「直営」の場合は、こうした対策も取れないという。


「委託会社の場合は余剰人員が出ても別のエリアに人を異動させることが可能ですが、直営では提供する食数が5000食から100食に減ったからといって、異動させることもできない。かといって、解雇などで簡単に人を減らすこともできないので大変です。もともと料理ができる人や食のプロを雇っているので、営業など別の部署に配置転換するのも現実的ではないでしょう」(同)


 課題は他にもある。大手社食運営会社に勤める40代男性は「食品ロスが一番の課題」と話す。提供する食数(喫食数)が減って食材が余れば、食材のロスにつながる。



「1000人来ると思って食材を用意していたのに、100人しか来なければ、とんでもない食品ロスになります。メニューを減らせば不満が出るので、選択肢をそろえつつ極力ロスを減らすよう努力しますが、これがとても難しい。同じ会社でも月曜と金曜では食数も変わりますし、メニューや天候にも左右される。大きく読み間違えると100食単位でずれることもあります。ロスが増えれば、売り上げにならないのに食材費だけはかかるという悪循環に陥ってしまう。コロナ以降、食品ロスの管理は特にシビアになっています」(40代男性)


 こうした厳しい状況が続いていても、明るい兆しがないわけではない。コロナ禍においても業績の良い企業などでは新規で社食を作る動きもみられるという。コロナ禍で、かえって社食の価値を再認識した企業もあるようだ。


「社食はこれまで学生の採用でも一役買っていました。福利厚生にこだわる学生の中には、会社を選ぶ際に社食が充実している方を選ぶという人もいるくらいです。社員食堂はただ食事をするだけのスペースではなく、社員同士のコミュニケーションを円滑にして、仕事へのモチベーションや会社への愛着を育む場所であり、午後からの仕事のパフォーマンスを発揮しやすくするためのリラクゼーションの場所でもあった。コロナは、社食のそうした価値を企業に改めて気づかせる契機にもなったはずです」(前出の藤井氏)


 今や、社食も企業文化の一つとなりつつある。社食が完全復活する日を待ち望んでいる従業員は、決して少なくないはずだ。(AERA dot.編集部・飯塚大和)


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  • 一般向けにテイクアウトの弁当にできないのかな。「有名企業の社食が食べられる」って興味があるけど(´・ω・`; )
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