日本MMAが世界から遅れる要因? RIZINは「リング」を「ケージ」に変えるべきか

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2021年09月17日 18:00  AERA dot.

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写真旗揚げからRIZINはリングを使用(写真/gettyimages)
旗揚げからRIZINはリングを使用(写真/gettyimages)
 朝倉海vs6月の東京ドーム大会を席巻したボンサイ柔術のアラン“ヒロ”ヤマニハを筆頭としたバンタム級トーナメント2回戦が行われる「RIZIN.30」(9月19日、さいたまスーパーアリーナ)が迫ってきた。また10月2日には配信をメインとしたスタジオマッチ「RIZIN LANDMARK vol.1」も開催される。


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 そんなRIZINは2015年の旗揚げ以来、一貫してリングを使用してきた。だが、国内外のMMAにおいて現在は金網(ケージ)の使用が圧倒的であり、リングは主流ではない。


 世界最高峰の団体UFCは1993年の誕生からオクタゴンと呼ばれる八角形の金網をアイデンティティとしており、先ごろRIZIN王者・堀口恭司の移籍が発表されたベラトールもケージを採用、日本人選手が多く参戦するONE Championshipもリングを用いることはあるが、やはり金網を使用することが多い。


 国内でも修斗、パンクラス、DEEPといった主要団体は軒並みケージを導入しており、現在はアマチュアの試合も金網で行うケースもあって、リングを経験せずに育つ選手も生まれてきた。


 2007年にリングを舞台としたPRIDEが消滅すると主力ファイターはUFCへ戦場を移したが、移籍初期は多くの選手がPRIDE時代と同様の輝きを放てず、金網とリングの違いが取りざたされた。最近でもRIZIN王者のマネル・ケイプがUFCに進出するも、デビューから連敗と苦戦したのが記憶に新しい(※3戦目で体重超過があったもののKO勝ちで初白星)。


 リングのメリットとしてはやはりロープの間に空間が生まれるため視聴および観戦がしやすく、ボクシング・プロレスを通じて古くからの馴染みもある。


 しかし一方で、ロープを掴んでテイクダウンを防ぐ反則や、攻められた選手が場外へ逃避することでブレイクに持ち込み寝技を無効化したり、あるいは組みや投げでもつれてリング外へ転落するといった問題が目立つようになってきた。攻防がロープ際におよび、レフェリーがストップ、ドントムーブをかけて選手の位置・体勢を変える場面もお馴染みだが、やはり試合の流れ、緊張感を遮ってしまう。



 対して金網は残忍なイメージがあったり金網の間にある柱で見えにくかったりする点はあるが、リング外へ出てしまったり、ロープ際でのドントムーブが発生することもなく、試合の流れが妨げられない。レフェリーの介在が減じられることもあり、ケージが総合格闘技において広く試合場として取り入れられているのはそういった理由によるのであろう。


 グラップラーがロープ掴みによりテイクダウンをしのがれ、相手に反則・減点が与えられても、スタンドで再開し打撃でKOされてしまっては元も子もない。テイクダウンの後で寝技を進め、パウンドかサブミッションで勝っていたかもしれないが、「たられば」の話となってしまう。だが、この場合の「たられば」はルールや試合場の整備で防げる、本来必要のない「たられば」だ。


 試合場がケージとなった場合、片方が金網を背にした状態でのテイクダウンを巡る「壁レス(リング)」と言われる攻防、またリングのように追い込むことが困難となるため違った組み立ても必要となり、試合のための練習、戦略が異なってくる。現在は世界に水をあけられている日本MMAだが、金網をネイティブに育つ今後の世代は、あるいはここから世界で通用する人材が生み出されていくかもしれない。


 翻ってRIZINでは世界的流れにあえて乗らず、リングで独自の世界とポジションを確立させるのも一つの手であると考える。遠く離れたUFCを追うより、オンリーワンを目指す方が得策であるかしれない。


 だが、そうであっても近頃散見するリング使用によるデメリットを解消するのは急務であり、榊原信行RIZIN CEOも今夏放送された番組でリングの作り変えに言及する場面があった。


 ロープ掴みや場外逃避は勝敗を逆にし選手の運命を左右する重大な反則であり、場外転落は大きな怪我の危険を伴う。選手が不利益を被らないようルール変更や新リングの導入、あるいはかつてDREAMで採用されたホワイトケージのように、金網の部分的導入や金網大会による新ブランドの立ち上げもよいのではないだろうか。


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