中田翔の問題は防げた? マック鈴木は米国で経験、チーム内の“揉め事”についての考え

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2021年09月20日 18:00  AERA dot.

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写真巨人・中田翔 (c)朝日新聞社
巨人・中田翔 (c)朝日新聞社
「マック」鈴木誠。


 米国での野球生活を球場住み込みからスタートした男。メジャーリーグまで上り詰め、その後も国内外問わず多くのリーグでプレーした。文化、慣習の違いを数多く経験したマックが、いまだ問題視されている中田翔(巨人)を巡る一件について独自の視点から語ってくれた。


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●「体育会系の縦社会におけるメリットを感じなくなったから反発したのではないか」


 NPBのペナントレース争いが激化する中、いまだ沈静化の気配を感じられないのが中田問題だ。8月4日のエキシビションマッチの開始前、日本ハムの同僚に暴力を振るったとして11日に無期限出場停止処分となった後、20日に巨人へ移籍し翌日に試合出場を果たした。日本ハムの一員として事件への正式謝罪がなかったこと。巨人への移籍入団会見での謝罪となったこと。その他多くの要素が絡み合い、中田、日本ハム、巨人への批判が殺到した。


「巨人は戦力と考えて補強したということ。移籍や謝罪方法うんぬんに関しては中田君個人には関係ない。殴られた相手選手に関して言えば、我慢の範疇を超えてしまったのだろう。中田君は実績、知名度など素晴らしい選手。日本ハム、パ・リーグの顔であり、侍ジャパンのユニフォームも着た。将来的に監督、コーチになる可能性もあった。そういった先輩とうまく付き合っておくことも処世術として考えれば大事。今まではイジられても耐えるメリットが大きいと思ったから多少我慢していたのだろう。それを感じなくなり自分自身が平常心で野球ができないほどになったのかもしれない」


「昔から言われる体育会系の縦社会は、世間から見れば考えられないし、古臭いかもしれない。でもそれで救われている人が今でもたくさんいる。例えば、大学の先輩に進路や仕事を紹介してもらったりできる。これは体育会系だけでなく一般社会も似たようなもので就職活動ではいまだにOB訪問などがある。大手企業ほど学閥などは残っている。そういうのをゼロにするのはできない。米国や他の国ならそういうことは関係ない場合もあるけど、アジア圏の特殊な文化でこれが現実。早く生まれたから、早くから野球やっているからって上から来る人も多い」




■「自分が手を出したらどれだけのことになるかを勉強していなかった」


 中田は07年のドラフト1位で日本ハムに入団。これまで打点王3回、ベストナイン5回、ゴールデングラブ賞4回を獲得するなど、パ・リーグを代表する選手として全国区の知名度を誇った。18年からはキャプテンを任され、同オフにはFA権を行使せず出来高を含む3年総額10億円と言われる高額契約を結び名実ともにミスター・ファイターズとなった。しかし報道通りならば、チーム内で自由奔放に振る舞うようになったことで周囲からの反感が強まり始めた。成績不振も加わり、求心力が低下したことで今回の事件へとつながったという。


「建前もあるけど暴力は絶対ダメが大前提。話を聞くと小さい頃から中田君もヤンチャだったらしいから、その時に勉強しておかないといけなかった。僕なんて10代の早い段階で勉強した。こういうことをやったら大変なことになるとね。高校中退になったり、いろいろ面倒くさいことになった。中田君はそういった部分での勉強が足りなかったのかもしれない。自分が手を出したらどれだけのことになるのかを考えなかった」


「僕の父親は甲子園に出る姿を見たかったらしいから、退学になった時に心底、失望していた。その気持ちはプロになってメジャーリーグで投げようが、取り返すことができなかった。それに関しては今でもずっと後悔している。米国マイナーリーグ時代、英語が話せない時などは長距離移動は1人でポツンしていた。そういう時に色々なことを考えた。後悔、反省することもあったし寂しい気持ちも湧いて来た。そういった経験があれば自分の立場を考えることができたんじゃないかな。感情的になって手を出したりしなかったかもしれない」


■「野球をやりに来ていないのならユニフォームを置いて去れ」


 マック自身、若い頃からヤンチャで有名だった。兵庫・滝川二高の1年時に暴力事件を起こして自主退学。その後も傷害事件を起こしたことで野球を続けるために渡米を決心した経緯がある。英語も話せない16歳は多くの経験を重ねながら野球界最高峰へたどり着いた。その中では同一チーム内で人種差別が絡むケンカも経験した。そして何があってもプロにとって最も重要なのはチームの勝利、結果であることを学んだ。



「米国で生活し野球をやっていたので考え方が異なるかもしれない。そこを前提にして言わせてもらうと、基本的には『人対人』という2人の問題。例えば、米国では監督と取っ組み合いのケンカをする選手もいる。これは立場など関係なく、人格を否定された場合にこういうケンカになる。野球に関係ないことを言われたり、侮辱されたりするから。そういう一線を超えた時にケンカが起こる。日本ハムの件もイジられた選手が我慢できなかったとしたら、人格を傷つけられていたはず。当人同士の問題のはずだから2人で徹底的に話させるべきだった。そこには先輩も後輩もないと思う」


「また報道されているように、後輩イジりが常態化していて酷過ぎたのなら周りも知っていたはず。こんなに大きくなる前に誰かが収めれば良かった。『ペナントレース勝ち抜くため、日本一を目指す中でしょうもないことするな』とね。米国時代、移動中の空港でいざこざが始まって白人と黒人の人種間で別れて大ゲンカになった。球場内ではなく空港なので下手をすると逮捕者が出て試合もできなくなる。この時には監督が『何しに来ているのか考え直せ。野球をやりに来ていないのならユニフォームを置いて去れ』と怒鳴って収めた。結果論になるけど、日本ハムの件も早く手を打っておけばここまでになることはなかっただろう」


 中田は巨人移籍2試合目となる8月22日のDeNA戦で本塁打を放つなど、さすがの存在感を見せた。しかしその後は結果を残せず、9月11日に二軍降格し調整を続けている。二軍戦では驚異的な打撃成績を残しているが実力を考えれば当然のこと。優勝争いをするチームからは一刻も早い一軍再合流が待ち望まれる。


「良くも悪くも中田君だったから世間で大きく取り上げられる。口で謝罪しようが何しようが、結局プロは結果で判断される。そうなった場合にはまた賛否両論が巻き起こるだろうが、それがスター選手の宿命。味方も敵も多いのがプロの一流選手。中田君には期待しています。野球で結果を残すしかない」


 今回の一件を「なかったこと」にはできない。球界、世間を騒がせ、中田本人の評価を大きく下げたことは間違いない。明確なのは、グラウンドで結果を残すしか野球界で生き残るための道が残っていないということ。ここからどんな姿を見せてくれるのかに注目したい。そして中田の動向が3連覇を目指す巨人を左右するはず。多くのものを背負い結果を残す、本当のスター選手であることを証明して欲しいものだ。(文中敬称略)


(文・山岡則夫)


●プロフィール


マック鈴木(鈴木誠)/1975年5月31日兵庫県出身。193cm90kg。92年に渡米、96年7月7日のレンジャーズ戦でメジャーデビュー、98年9月14日のツインズ戦で初勝利を挙げる。マリナーズ、メッツ、ロイヤルズ、ロッキーズ、ブリュワーズなどでプレー。02年にはドラフト2位でオリックス入団。06年から再び海外でのプレーを経て11年は関西・独立リーグでプレーイングマネージャーを務めた。MLB通算117試合登板16勝31敗、防御率5.72。NPB通算53試合登板5勝15敗1セーブ、防御率7.53。



山岡則夫/1972年島根県出身。千葉大学卒業後、アパレル会社勤務などを経て01年にInnings,Co.を設立、雑誌『Ballpark Time!』を発刊。現在はBallparkレーベルとして様々な書籍、雑誌を企画、編集・製作するほか、多くの雑誌、書籍、ホームページ等に寄稿している。Ballpark Time!公式ページ、facebook(Ballpark Time)に取材日記を不定期更新中。現在の肩書きはスポーツスペクテイター。


このニュースに関するつぶやき

  • もう10年早く生まれてたら問題にすらならなかったんちゃう?現にヤベーヤベーと内心思ってるOBもいるんじゃない?ねぇ?
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  • 中田翔の暴力沙汰は最近に始まったことではなく、球団として長い間中田翔の好き勝手を許して来たんでしょうね。球団がそれを認めるか否かは別にして。
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