花嫁衣装は2千円ワンピース、バージンロードは画用紙をつなげて… 2人だけの「おうち結婚式」で幸せ実感

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2021年09月21日 07:00  ウィズニュース

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写真「おうち結婚式」のために手作りしたバージンロード。100円ショップで買った画用紙50枚を両面テープでつなぎ合わせた=緑丘まこさん提供
「おうち結婚式」のために手作りしたバージンロード。100円ショップで買った画用紙50枚を両面テープでつなぎ合わせた=緑丘まこさん提供

 年下の恋人と5年半付き合って結婚した漫画家の緑丘まこさん。コロナ禍で友人や家族にも会えないなか、2人だけの「おうち結婚式」を挙げた。約30分の式は思わぬ発見の連続だった。

【画像】おうち結婚式の様子がこちら。式までの経緯や当日の様子をまとめた実録漫画も読むことができます!

引っ越し後にプロポーズ
 今年3月、緑丘さんは2LDKのマンションに引っ越した。

 年下の恋人・サトル君とは5年ほどの付き合い。

 ワンルームマンションでの2人暮らしは、ケンカが絶えなかった。

 普通に会話しているだけで隣人が壁をたたいてくるので、常に小声で話すようにしていた。

 そんな環境だったことも影響していたのだと思う。

 新居で気持ちにゆとりができたからか、2人の将来について話し合うことが増えた。

 引っ越して3カ月ほど経ったころ、サトル君からプロポーズされた。

 ベッドの中で、ふとした瞬間に「結婚しよう」と告げられた。

 きれいなレストランではないし、婚約指輪もなかった。

 それでも迷うことなく、「はい」と答えた。

両親に電話で報告
 コロナ禍で、実家には長いこと帰っていない。

 お互いの両親には、電話で結婚することを伝えた。

 サトル君の両親に会ったことはないが、電話では何度か話したことがある。

 すでに話は伝わっていたけれど、改めて報告する時は緊張した。

 自分は緊張すると、電話なのについつい身ぶり手ぶりを交えてしまうらしい。

 サトル君は横で聞きながら、ジェスチャーをまねして冷やかしてきた。

 「次の年末年始は、ワクチン接種も済ませて2人であいさつに行きたいです」

 将来の義母にそう伝えると、とても喜んでくれて「末永くお幸せに」と言ってくれた。

姉のウェディングドレス姿を思い出して
 感染を避けるため、友人と会うことも控える日々。

 結婚式を挙げることはまったく考えていなかった。

 それでも、ふとした時に姉の花嫁姿を思い出した。

 ウェディングドレス姿がきれいで、バージンロードを歩く間、姉はずっと泣いていた。

 母はその姿をじっと見つめ、父が涙を流していたのが忘れられない。

 「私もウェディングドレスを着たかったなぁ」

 そんなことを考えていたら、ふとひらめいた。

 そうだ、2人きりで「おうち結婚式」を挙げればいいんだ、と。

8月2日に挙式
 挙式日は、婚姻届を出す8月2日。

 私は白いドレスを着てベールをかぶる。

 サトル君はスーツ姿で、リビングから寝室までバージンロードを敷いて一緒に歩いてほしい。

 そう説明すると「はいはい、じゃあ俺、押し入れにしまったスーツを探さなきゃ」と笑ってくれた。

 中学時代からの友人たちのLINEグループにも、おうち結婚式のことを投稿した。

 すると、フラワースクールの講師をしているナミちゃんが「いつするん?」と返してきた。

 「8月2日やで」と答えると、「ブーケ作って贈りたい」と返事が来た。

チャイムが2回鳴って
 当日の午前中、ナミちゃんからの贈り物が届いた。

 中に入っていたのは、花嫁用のブーケと新郎用のブートニア、そしてこんな手紙だった。

 「結婚おめでとう! いっつも友達のこと考えて、優しくて、アホで、おもろい。みんな大スキやで。ずっと幸せでいてね」

 式が始まる前なのに、読みながら泣いてしまった。

 サトル君は髪を切りに行ったので、その間にバージンロードを準備。

 100円ショップで10枚入りの赤い画用紙を5セット買って、テープで貼り合わせた。

 作業中、また玄関のチャイムが鳴った。

 今度は実家の両親からの荷物だった。

 中に入っていたのは、2人のパジャマや花柄のワンピースといった衣類、そして真珠のネックレスとイヤリングだった。

 よく見たらフカヒレスープまで入っていたが、割引の値札をはがしていないあたりが母らしいなと思った。

ベールに悪戦苦闘
 みんなの優しさに包まれているんだな、と思っていたらサトル君が帰宅した。

 この日のために数年ぶりに縮毛矯正をして、サラサラヘアになっていた。

 2人でバージンロードの続きを作り、両脇には列席者としてぬいぐるみたちを並べた。

 この日の衣装は、通販で2千円で買った白いワンピースと1千円のベール。

 サトル君に見られないよう、洗面所で支度をした。

 ベールは500円をケチってコームなしにしたため、自分でピンをつけて留める必要があった。

 が、なかなかこれがうまくいかず、20分ほど悪戦苦闘。

 結局つけ方がわからず、そのままかぶるだけになった。

新郎と神父の一人二役
 「準備できたから、ウェディングソング流して入場するね」

 そう伝えて、スマホでYouTubeを開いて選曲し、再生ボタンをタッチした。

 すると、大音量で動画再生前の広告が流れてしまった。

 気を取り直してリビングに向かうと、サトル君は笑顔だった。

 後で聞いたら、見慣れない衣装でいつもより良く見えてうれしかったそうだ。

 リビングから寝室まで敷き詰められた50枚の赤い画用紙。

 一歩ずつ踏みしめながら進んでいたら、ベールがずり落ちてしまった。

 自分でも何がおかしいのかわからないけど、笑いが止まらなくなった。

    ◇

 バージンロードの先に待っていたのは、ドラえもんのぬいぐるみ。

 手前で止まると、サトル君が新郎と神父の一人二役を始めた。

 「健やかなるときも、病めるときも、妻を愛し、永遠の愛を誓いますか?」

 「誓います」

 リハーサルなしの即興演技がおかしくて、またまた笑いが止まらなかった。

 むかし母からもらった宝物の指輪を、結婚指輪の代わりに左手の薬指にはめてもらった。

 そして、誓いのキス。

 直後に、サトル君が買ってきた花かごをプレゼントしてくれた。

 「高価な指輪はいらないから、お花がほしいな」

 プロポーズされた後に話したことを、ちゃんと覚えていてくれたんだ。

 美容室に行った帰りに花屋に寄ったらしい。それで帰りが遅かったのか。

「気持ちは一緒に祝ってるよ」
 おうち結婚式の時間は30分ほどで、14時前にはお開きになった。

 式の様子を撮った動画や写真を、家族や友人にLINEで送った。

 「バージンロードがもう最高やわ」

 「一人二役で言ってて、もう大笑いやったわ」

 「爆笑で緑丘ちゃんたちらしい結婚式だね」

 たくさんのメッセージが寄せられ、新郎用のブートニアを勘違いして自分が着けていたことも突っ込まれた。

 最高に良く撮れた1枚をドヤ顔で送っていただけに、ものすごく恥ずかしかった。

 それでも、ナミちゃんからのこんなメッセージに心が温かくなった。

 「今日は2人でゆっくりお祝いかな。気持ちは一緒に祝ってるよ」

 2人だけのおうち結婚式のはずが、たくさんの人から祝福を受ける結果になった。

 にぎやかで、楽しくて、最高な式になった。

お総菜を買ってパーティー
 式を終えた後、着替えた2人は役所に向かい、婚姻届を出した。

 帰り道、スーパーに寄って自分たちが好きなお総菜を買い、自宅で2次会を開いた。

 この日のために、親友から贈られたシャンパンも冷やしておいた。

 おうち結婚式のことを思い出しながら、気持ち良く酔うことができた。

 お酒がそれほど強くないサトル君は、2時間もしないうちにウトウトに。

 そんな姿を見ていたら、自分も眠くなってきて18時すぎには寝てしまった。

    ◇

 コロナ禍で家族や友人に会えず、うつうつとした気持ちで過ごした日々。

 表向きは明るく振る舞っていたけれど、1人で泣いた日もあった。

 でも今は、サトル君が家族として隣にいる。

 結婚してから、前よりももっと好きになった。

 サトル君は「落ち着いたら結婚式しよう」と言ってくれるけど、もういいや、という気持ちもある。

 私は今、感謝してもしきれないくらい満たされているから。

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