「離婚したい…でも“決定打”がない!」夫と結婚しなければ、もっと幸せになれた? と考えてしまう人へ『離婚してもいいですか?』

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2021年09月21日 12:11  ダ・ヴィンチニュース

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ダ・ヴィンチニュース

写真離婚してもいいですか?
離婚してもいいですか?

『離婚してもいいですか?』(KADOKAWA)は手塚治虫文化賞を受賞した漫画家、野原広子さんが等身大の主婦のリアルを描いたコミックエッセイ。

 ド直球のタイトルで、電車で読むにはカバーが必須…かもしれませんが、この漫画を読む女性を見かけた男性は「離婚を考えるなんて大胆な女性だな」なんて思うでしょうか。この本を見かけたのがもし女性だったら「どこの家も同じなんだな」と感じるかもしれません。本書は2014年に発売されてから今も変わらず“共感の嵐”を生んでいるヒット作品なのです。

 家庭をもつ男女の温度差やすれ違いを描きながら、じつは主婦の“あるある”でもある離婚予備軍の本音を語る奮闘記。主婦はもちろん、夫の立場の人、子育て中の働く女性も、自分が身を置く家族の現実を見つめ直すことになるであろう1作です。

離婚してもいいですか? p.058

 志保は8歳と6歳の息子をもつ2児の母。夫は中小企業のサラリーマンで、志保自身もスーパーのパートの仕事をしています。夫とは恋愛の末に結婚しましたが、最近はケンカばかり。「離婚」の2文字が浮かばない日はありません。息子2人と自分だけで暮らせないものかと、夫抜きの新しい生活に憧れながら、女手ひとりで生計を立てることの難しさに思い悩むという、じつに悶々とした毎日を送っています。

離婚してもいいですか? p.028

 なぜ、そこまでして離婚したいのでしょうか。夫は朝起きたらすぐにパソコンを開いて挨拶もせず、仕事ばかりで夫婦の会話はなし。キレると物に当たるし、「靴下を伸ばさずに洗濯に出す」「口に手を当てずにくしゃみをする」などの細々とした悪癖は何度お願いしてもなおりません。おまけに「パパもそうだから」と夫の真似をする息子の姿を見かけてしまった日にはもう…。離婚のタネは、まさに毎日のチリツモ。

 でも、“決定打”がないのです。夫はちゃんと働いているし、たまには子どもと遊んでくれる。借金や浮気、暴力も一切なし。周りから「いいダンナさんですね」と言われ、自分の母親からは「もっと大変な家もあるのに、あんたがねちっこく当たったんじゃないの?」と自分のせいにされる始末。一緒に暮らしてみないとわからない夫への小さな不満の積み重ね、そしてその“わかってもらえなさ”が主婦の共感を生んでいるのかもしれません。

離婚してもいいですか? p.107

 夫の好きなお酒を見かけたら買ってしまう、どこかで夫に期待している自分もいる。でもきっと期待するだけ無駄なのだ——。言葉の通じない夫を“犬”だと思い込み、夫の機嫌を損ねないように夫の前では本当の自分を押し込める志保。自分の気持ちを失ったまま毎日が淡々とすぎていき…。ある時突然、“その日”はやってきます。夫が息子を泣かせる小さな事件が起き、ため込んでいた気持ちをようやく夫にぶつけるのです。かつてない夫婦の修羅場。はじめて夫に殴られる志保。その時、殴られた頬の痛みを感じながら志保は思うのです。「ついに決定打がやってきた!?」と。

離婚してもいいですか? p.133

 志保が離婚をしたい理由にドキリとさせられるシーンもあります。夫がリストラ騒ぎに巻き込まれ、もし会社を辞めたら離婚しようと決意を固める志保。しかし夫は会社に残留することが決まったのでした。志保は「脱出できなくなった」とがっかり。そして「こうなったら子どもを置いて私ひとりで出ていく?」と考えるのです。もしや、これが志保の本音? 子どもを守るために離婚を、と考えていた志保ですが、自分のために現実から逃げようとする描写にハッとさせられました。

“たられば”がつきまとう毎日こそが主婦のリアル

 自分がイヤなのは夫ではなく今の生活? 離婚したい理由を子どものせいにしているだけ?

 本書の特徴は、志保に抱いていた疑問が、いつのまにか自分に向けられているところにあります。これは果たして、志保の物語なのか、それとも自分の物語なのか。もちろん家庭環境や状況は志保と同じではないにしろ、ふと気づくと心の中に志保が入り込んでいるのです。

 結婚や子育てに憧れていた独身時代とは違い、結婚をして子どもが生まれるとその先の未来がある程度見えてきてしまう。そこで湧き出る「今の夫と結婚しなければもっといい相手がいたかもしれない」「今の生活を抜け出したらもっと幸せになれるのでは」といった本音。常に“たられば”がつきまとう毎日こそが主婦のリアルなのかもしれません。男性陣もぜひ、悪いことは言わないので、本書を読んで主婦の本音を知っておくべし。

 離婚に踏み切るための決定打を探し続ける志保は、どんな答えを導き出すのでしょうか。そんな志保の気持ちを追いかけながら、読者もまた胸の中にある答えをひとつひとつひもといていくことになるでしょう。

“離婚してもいいですか?”

 この言葉は本書から読者に投げかけられていますが、読者が自分の心に問いかける言葉でもあるのです。

文=吉田あき


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