ホンダF1最後の一大プロジェクト。悲願のタイトルのため新型バッテリーを投入、計画前倒しで高効率化と軽量化を達成

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2021年09月23日 07:41  AUTOSPORT web

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写真2021年F1第13戦オランダGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2021年F1第13戦オランダGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
 2021年でF1活動を終了するホンダが、最後のシーズンに積極的にパワーユニット(PU)の開発を続けるなかで、後半戦から高効率化と軽量化を実現した新型のエナジーストア(ES)を投入した。このエナジーストアは当初は2022年用だったが、悲願のチャンピオンシップ獲得を実現するため、計画を前倒しにして今季後半戦投入に間に合わせたという。

 2021年にはパワーユニットは各コンポーネントに関して1度だけパフォーマンス関連のアップグレードが認められている。ホンダは“新骨格”のパワーユニットとしてICE(エンジン)などを大幅に変更して開幕戦から使用、シーズン後半の第12戦ベルギーGP以降には、新型のエナジーストアを投入したと明かした。

 ホンダF1テクニカルディレクターの田辺豊治氏は、第15戦ロシアGPに向けたプレビューリリースのなかで、エナジーストアのアップグレードについて、次のように語っている。

「現在、厳しいチャンピオンシップを戦う中で、ホンダはシーズン後半戦から、新型のエナジーストアを投入しました」と田辺テクニカルディレクター。

「高効率化と軽量化を実現した新型のエナジーストアは、(マックス・)フェルスタッペン選手(レッドブル)がベルギーGP、(セルジオ・)ペレス選手(レッドブル)がオランダGP、(ピエール・)ガスリー選手(アルファタウリ)がイタリアGPの決勝から使用を開始しています。これによってPUパフォーマンスの向上を果たし、ユニットの軽量化による車体パフォーマンスの向上にも貢献しています」

「新型の開発には数年を要し、当初は2022年シーズンに投入予定でしたが、参戦終了の決定に伴い、開発計画を大幅に前倒して、今シーズンの後半戦に間に合わせることができました。開発を担当したHRD-UKのメンバーの尽力に加え、ホンダ社内にある先進技術研究所や、量産車向けバッテリーの開発部門といった仲間の支援がなければ、性能アップを果たしたエナジーストアの開発、またこのタイミングでの投入は成しえなかったと考えています。彼らの努力に対して感謝の言葉を贈りたいと思います」

 ホンダの公式ウェブサイトにおいて、F1パワーユニット開発責任者である浅木泰昭氏は次のようにコメントしている。

「新型ESの開発プロジェクトは、エネルギー効率の改善と徹底した軽量化の両立を目標に、数年をかけて進めてきました」

「ホンダとしては、今年でF1最終年となりますが、そのシーズン後半戦になんとか間に合わせて、低抵抗で高効率な超高出力軽量バッテリーセルを搭載した新型ESを実戦投入できました」

「悲願である、打倒メルセデス、そしてチャンピオンシップ獲得を実現するためには、さらなるパフォーマンスの改善が必要な状況でしたから、当初の開発計画では2022年シーズンを予定していた新型ESの開発計画を大幅に前倒しして、2021年シーズン中の投入を達成しました」

 ホンダは、「3連戦での結果は好調で、パフォーマンス向上と軽量化の両立を目指した開発の成果が見られ、レッドブル・レーシングとしても車体の重量配分の最適化に役立てることができました」として、強い手応えを感じている。

■新型ESの技術は、レース以外においてもホンダの将来技術に大きく貢献へ

 エナジーストアの開発は、非常に長い時間を要する難しい作業であるとして、ホンダは特殊な状況を次のように説明した。

「ESは、高電圧・高出力といった特殊要件が求められることから、開発や製造に際して専用の治具や組立設備の環境構築が必要になります。化学製品としての特性から、レースでのクラッシュ時における安全性確保について多岐にわたる検証テストが行われ、航空機輸送のための認証取得もあるなど、その他のパワーユニットコンポーネントに比較して、非常に長い開発期間を要します」

 エナジーストアの設計、テスト、解析、組立製造を行ったのが、英国のミルトンキーンズに拠点を置くHRD-UKのプロジェクトチームで、本田技術研究所(先進技術研究所)や本田技研工業(四輪事業本部ものづくりセンター)の量産事業向けバッテリー開発チームから全面的な開発支援を受け、「ホンダF1にとって最後の一大プロジェクトを成就するべく」懸命な取り組みがなされたという。「今季のチャンピオンシップ獲得という大きな夢を叶えるため、まさにホンダの総力を結集して取り組み、8月中の投入を果たすことができました」とホンダは言う。

 レッドブル・レーシングは、ホンダのパワーユニットを引き継いで2022年以降もレッドブルおよびアルファタウリで使用していくことを決めた。そのため、パワーユニット部門レッドブル・パワートレインズを設立、今後の開発作業を行うための準備が、現在進められているところだ。ホンダは「こうして完成した新型ESですが、その効果は今シーズンだけでなく、2022年はレッドブルへと引き継がれていきます。そうした意味でも、ホンダにとっては現在のパートナーシップだけでなく、将来への想いを込めたものだったとも言えるプロジェクトでした」と述べている。

 また、その効果はF1だけにとどまらず、さらに幅広い分野に影響をもたらすという。

 浅木氏は「この新バッテリーセル(エネルギー)技術は、F1活動終了後も、レース以外においても『移動』と『暮らし』の新価値創造によるカーボンニュートラル社会の実現という、ホンダの将来技術に大きく貢献していくことになります」と言う。

 ホンダは「この技術を、『F1でワールドチャンピオンを獲得した技術』と言えるようにする、それが今のホンダF1の目標です」として、今季選手権制覇への強い思いを改めて示した。

 第14戦イタリアGP終了時点で、ドライバーズ選手権ではフェルスタッペンが226.5点で221.5点のルイス・ハミルトン(メルセデス)をリードしている。コンストラクターズ選手権では、メルセデスが362.5点、レッドブル・ホンダが344.5点と、その差は18点だ。

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