大谷翔平がHRキングに1本差の45号!現地記者が明かすライバル・ペレスとの共通点とは

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2021年09月23日 11:30  AERA dot.

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写真エンゼルスの大谷翔平(GettyImages)
エンゼルスの大谷翔平(GettyImages)
 現地時間9月21日、エンゼルスの大谷翔平は、本拠地で行われたアストロズ戦に「2番・指名打者」として出場し、8回裏の第4打席に9月10日以来となる第45号ホームランを放ち、本塁打王争いは激しさをさらに増してきた。

【グラフ】ア・リーグの本塁打王争いはこちら

 日現在、ブラディミール・ゲレーロJr.(トロント・ブルージェイズ)と、サルバドール・ペレス(カンザスシティ・ロイヤルズ)が、46本でリーグトップタイ。エンゼルスの大谷翔平は45本で単独3位であるものの、首位とは僅か1本差に迫っている。

 後半戦が始まった直後は、「本塁打王レースは大谷とゲレーロJr.が激しく争うことになるだろう」と、現地メディアは予想をしていたが、大谷、ゲレーロJr.、そして、ペレスによる三つどもえの状況は、現地でも予想外の出来事であった。

 8月末ごろから本数を伸ばし、ランキングにも急浮上したペレスは後半戦だけで25本の本塁打を放ち、その量産ペースは大谷(後半戦12本)やゲレーロJr.(同18本)をはるかに超えていた。思わぬ伏兵の登場により、今では本塁打王の行方が分からなくなり、その面白さはさらに増してきている。

 それにしてもペレスとは一体何者なのか。今季のメジャーリーグを追うものであれば、よく知っている名前かもしれないが、本塁打数でついに大谷を超えたペレスについて改めて紹介していきたい。

 ペレスは今年で31歳を迎えるベネズエラ出身の捕手である。2011年からロイヤルズ一筋でプレーし、青木宣親(現東京ヤクルト・スワローズ)も、2014年にチームメートとしてペレスと共にシーズンを過ごしている。

 捕手としては球界屈指の存在で、過去にはゴールドグラブ賞に5度輝き、ワールドシリーズMVPも受賞している。オールスターゲームには7度も選出されており、今年のオールスターゲームで投手として登板した大谷の女房役だったといえば、思い出す方も多いのではないだろうか。

 また今年はオールスターゲーム前日のホームランダービーにも出場しており、そこで彼を観た人も多いかもしれない。初戦敗退ではあったが28本という数字を残し、強打者のイメージを持った人もいるかもしれないが、これまでのペレスのキャリアハイはシーズン27本だった。

 先月末ごろから躍進するペレスを、ロイヤルズの地元『カンザスシティ・スター』で番記者を務めるリン・ワーシー記者は次のように述べる。

「19年以降の彼の躍進には非常に興奮しています」

 ペレスは、19年3月にトミー・ジョン手術を受け、同シーズンを全休している。復帰となった昨季は、短縮シーズンながら37試合の出場で、打率.333、11本塁打、32打点の成績を残し、同年のシルバースラッガー賞(捕手)とカムバック賞に輝いた。

 同記者によれば、ペレスは復帰初年の昨季、打席でのアプローチを洗練させて改善することに集中していたという。そして、その結果、キャリア初期に比べ、相手投手に対して慎重に対策を練るようになっており、それが今季の躍進につながったと同記者はみている。

 また、昨オフにはフロリダ州でマイク・トーサル打撃コーチとマンツーマンで特訓を行い、シーズンを通してそのプレーに一貫性を持たせるためのルーティン構築に、かなりの時間を費やしていたとも同記者は明かしている。

 しかし、なぜペレスは後半戦からこれほど多くの本塁打を量産できるようになったのだろうか。ワーシー記者は、ペレスの足の使い方と打球の方向に躍進の「カギ」があると指摘する。

「ペレスは、足をより活用してスイングの力を増やす努力しました。その結果、強打性の当たりの割合は昨季よりも高くなり、最近ではハードヒット率は99パーセンタイルで、両リーグでも上位にいます(大谷とゲレーロJr.のハードヒット率は97パーセンタイル)。さらに、フィールド全体にボールを飛ばせるようになりました。(右打者のペレスは)若い頃はレフトに引っ張ることに集中していましたが、今は自身の力を使い、センターやライトに流すホームランも頻繁に見るようになりました。例えば、17年はシーズン27本のうちライトやセンター付近に放った本塁打は2本だったのに対して、今季は少なくとも3倍に増えています」

 このところ本塁打が出ていなかった左打者の大谷も、エンゼルスのジョー・マドン監督から「(ライトへ)引っ張り気味だ」との指摘を受けている。一方のペレスはどんな方向でもスイングが崩れないフォームを手に入れており、後半戦での本数に違いが出たのかもしれない。

 そんなペレスには大谷と共通点があることがワーシー記者からの証言で分かった。その共通点とは人柄だ。同記者はこう述べている。

「彼は毎日楽しみにながら試合に出ています。チームメートや私たちメディアに対しても常に笑顔をみせ、試合後の会見では冗談をいうこともあります」

 さらに、ペレスの態度につい次のように続けた。

「彼はチームメートやファンだけでなく、スタッフにも親切に接します。審判へも紳士的で、相手チームの選手に対してもリスペクトを示しています」

 同記者が明かした野球を楽しむペレスの姿勢は、まさに大谷のようだ。

 そんなペレスも、今季はメジャーにおいて歴史的快挙を達成している。まず、ロイヤルズで40本以上の本塁打を放った捕手はペレスが初めてだ。また、捕手による40本塁打以上は、メジャーにおいても03年のハビアー・ロペス以来の15年ぶりの快挙でもある。

 ペレスは16日のアスレチックス戦で45号を放ち、捕手としてのメジャー史上最高本塁打数で、ジョニー・ベンチ(アメリカ野球殿堂入り)と並んだ。さらに20日のインディアンス戦での46本、メジャー史上において捕手してはシーズン最多本塁打数記録を樹立した。

 そんなペレスにワーシー記者は、「捕手の間で伝説としてみなされているジョニー・ベンチに匹敵することに本当に興奮しています」と今の躍進を絶賛する。

 このように歴史的快挙を成し遂げているペレスであるが、大谷もまだ追いつく可能性は十分にあり、大谷が本塁打王となっても、投手として最高本塁打数という歴史的快挙を達成することになる。そんな今の本塁打王争いについてワーシー記者に尋ねると、同記者は意外にも大谷の本塁打王獲得にも期待を寄せているようであった。

「個人的に、大谷のような選手が(本塁打王を)獲得すれば、こんなにユニークなことはないでしょうね。ペレスと比較しても、大谷選手の肉体的負担の方が圧倒的に大きいです。それにも関わらず、投手や打者として多くの成功を収めています。彼のような選手はメジャーの歴史上見られなかった、あるいは誰も行っていません。そんな彼に、人々は注目を集めています」

 前述のように、今季のア・リーグ本塁打王は誰が獲っても歴史に残ることになる。22歳のゲレーロJr.か、捕手のペレスか、あるいは投手の大谷翔平か。この栄誉は誰の手に渡るのか、今季のア・リーグ本塁打王争いは最後の最後まで目が離せなさそうだ。(在米ジャーナリスト・澤良憲/YOSHINORI SAWA)

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