2022大学入試、志願者数が定員を下回る「全入」へ 注目は「資格系」「情報」「国際」

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2021年09月24日 08:00  AERA dot.

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写真AERA 2021年9月27日号より
AERA 2021年9月27日号より
 コロナ禍で迎える2回目の大学入試。昨年の経験を踏まえ、大学側も受験生側も準備を進めるいま、ウィズコロナ時代を見据え、どんな大学や学部系統が人気なのか。受験エキスパートたちに聞いた。AERA 2021年9月27日号は「大学入試」特集。


【私立大学】学部系統別志願者数の推移はこちら
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「2022年度の入試から、大学全入になります」


 河合塾・教育研究開発本部主席研究員の近藤治さんは言う。


「志願者数と入学者数が限りなく一致します。もちろん誰もが合格できるわけではありませんが、大学に入りやすい時代がきています」


 全入時代といわれて久しいが、22年度、初めて志願者数が入学定員を下回ると予想されている。20年度の入学者は63.5万人で、すでに21年度の志願者63.6万人と同程度だった。河合塾の推計では、22年度の志願者は前年よりさらに2.3万人減の61.3万人になる。このままいけば、全入は確実だ。以降は毎年2万人ずつ減少する見込みで、全入は加速していくとみられる。


「これまでだったら、とても自分には手が届かないと思っていた大学・学部が、実はもう自分のすぐそばの学力にまで下りてきているのです。『あの先輩がなぜ受かったの』という状況になっています」(近藤さん)


 そこで、大学受験のエキスパートたちに22年度の予測を聞いた。いま、どんな学部系統が狙い目なのか。


 まずはコロナ前の20年度と、コロナ下の21年度の結果を比較してみよう。AERAは河合塾のデータをもとに、学部系統別の志願者数の増減率を独自に集計した。


■「理高文低」と「手に職」


 国公立大で増加していたのが、教育、医薬看護、情報。理系全般が小幅減にとどまった。一方、私立大は昨年、特に志願者を減らしたため増加の学部系統はなかったものの、やはり医薬看護、情報と理系全般が堅調だったようだ。国公立大、私立大とも、減少が目立ったのは、国際、外国語系だった。


「『理高文低』の流れは、コロナ前から変わっていません。不況になると、理系や『手に職』系の学部が人気になる傾向があるので、コロナ後も続くでしょう。海外留学に躊躇(ちゅうちょ)して、国際系は大きく減らしました」(近藤さん)




 では、22年度はどうなるのだろう。エキスパートたちはそろって、「資格が取れる系統に人気が集まる」と言う。21年度は低迷した私立大の教育系統が伸びるとの予測もある。駿台教育研究所・進学情報事業部部長の石原賢一さんはこう話す。


「保育士や幼稚園教諭の資格が取れる学部の新設が続いています。待機児童問題の解消や幼児教育・保育の無償化の動きで、現場は人手不足です。その分、就職先がたくさんあります」


 今年8月、教員免許の更新制度を廃止する方針が表明されたことも、教育学部人気を後押ししそうだ。「更新制度が学校の先生方の負担になっているので、廃止が志願者に響いてくるはず」(石原さん)


 この影響は教師になりたい人だけにとどまらない。



「国家公務員は不人気だが、地元で地方公務員を目指す人が増えるのでは。最近の公務員志望者は法学部ではなく、教育学部を選ぶ人も少なくない。教師になるかは別として、教員免許も取れる手堅さがある」(大学通信・常務取締役の安田賢治さん)


 手に職といえば、医学もそう。医学部志願者は前年から微増し、21年度は7年ぶりの増加となった。ただ、今後は医学部は定員削減の方向だ。


「どこまで減らされるかにかかっています。ただ、コロナ禍で医師不足といわれるなか、大幅減にはならないでしょうから、今後も現在くらいの倍率を維持するのでは」(石原さん)


 情報は引き続き好調のようだ。


「入試のレベルが上がるでしょう。情報系の仕事は食いっぱぐれがありません。文系理系のどちらからでも攻められます」(同)


 21年度は激減した国際にも、明るい兆しがある。留学を再開する大学が出てきた。


「ワクチン接種が進んで、いまの高校3年生も、大学2年になる頃には、普通に留学できるようになるかもしれない。それに、受験生のグローバル志向は変わっていません。いま人気が下がった反動で、受験生が戻るかもしれない」(安田さん)


(編集部・井上有紀子)

※AERA 2021年9月27日号より抜粋


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