第6世代「iPad mini」実機レビュー Macを豊かにするプラスワン iPhoneの選び方を変える可能性も

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2021年09月24日 08:52  ITmedia PC USER

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写真第6世代となった「iPad mini」。ホームボタンがないiPad Pro系の新しいデザインを採用した
第6世代となった「iPad mini」。ホームボタンがないiPad Pro系の新しいデザインを採用した

 第6世代となる新しい「iPad mini」がiPhone 13とともに登場した。iPad miniとしては初めてiPad Pro系のホームボタンがない新しいデザインを採用し、さらに最新のiPhone 13シリーズと同じSoC(System on a Chip)のA15 Bionicを搭載したコンパクトなタブレットだ。



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 本稿はその製品レビューを行うわけだが、実は捉えかたはとてもシンプル。「(第4世代)iPad Airのプロセッサを強化し、サイズを小さくしたもの」と言えば、おおむね間違いではないからだ。



 もちろん、細部には多くの違いがある。また十分なキーボードサイズが確保できないからだろうが、キーボード兼カバーのSmart Keyboard Folioも用意されない。だが、紛れもなくこれは小さなiPad Airだ。従って、小さな気付きにくい使い勝手や、この製品のユースケースなどを実機での感想を交えながら書き進めていきたい。



●「小さいことの価値」を感じられる人に



 このミニタブレットというジャンルはデジタルメディアの再生を目的としたものが多く、道具としての品質感や性能よりも、移動時にコンテンツを楽しむデジタルプレーヤー的に低コストな製品を求める人が多い。



 それはiPad mini以外に高性能なミニタブレットが存在しないことからも分かるだろう。以前は確かにあった。しかしSoCの性能が上がり、十分にメディア端末としての性能に不満がなくなってきたところで価格競争になったのだ。



 そしてもう一つ、サイズの小さい商品に対して多くのお金を払いたくない人が多いということもある。高性能なSoCを搭載し、メモリやストレージも多く、基幹部品やシャシーの素材が高級なのであれば、小さくても高価になるので、価格競争になるとそうした製品は見られなくなる。



 もちろん、「私は違う」という人もいるだろう。ものを捉えるときの価値観は人それぞれだ。小さいことの価値を感じ、「小さいけれどiPad Air以上、iPad Proに近いパフォーマンスなんて素晴らしい」と思う人向けのiPadが今回のiPad miniだ。



 iPad Airより高性能で「小さいのはサイズだけ」というと何かのキャッチコピーのようだが、実際にはiPad Airとは異なる部分も幾つかある。



 まず、画面のアスペクト比がiPadシリーズとして初めて4:3(1.33:1)以外になった。新しいiPad miniの8.3型ディスプレイは解像度が2266×1488ピクセル、そのアスペクト比は1.52:1となる。旧世代のiPad Miniと比べて、本体の形状はほとんど同じで、ホームボタンがなくなり、上下のベゼルが小さくなったのだから当然だが、16:10(1.6:1)でも3:2(1.5:1)でもない中途半端なサイズにAppleのこだわりを感じる。



 なぜ中途半端なのかといえば、「ピッタリにする」ことにこだわったからだろう。新しいiPad miniのサイズは従来機とほとんど同じ。このサイズにぴったりと細いベゼルでディスプレイをはめたと考えなければ、あまり説明ができない特殊サイズだ。当然、専用部品だからなせる設計である。



 なお、アスペクト比が4:3にしか対応していないアプリもあるが、その場合は少しだけ上下を余らせた表示になる。ただ、実際にはほとんど気にならない程度だ。ベゼルが太く感じるという人もいるだろうが、実物はコンパクトなこともあって表示エリアは十分に広く感じる。



 そして300gを切る軽さ(Wi-Fiモデルで約293g、Wi-Fi + Cellularモデルで約297g)はiPad miniとしては歴代最軽量だ。毎日持ち歩きたいiPadであり、そして寝転がって使っても、ソファの上で落ち着いてWebを眺めていても負担に感じない重さでもある。



●iPad miniが「小さいAir」ではない部分



 ほとんど小さなiPad Airだと書いたが、では細かな部分で「小さなAir」ではないところについて触れておきたい。



 一つはもちろん、SoCが最新のA15 Bionicであることだ。CPUに関してA14 Bionic比ではシングルコアの性能はほとんど同じ(クロック周波数がiPhone 13よりも低い3GHzであるため)だが、マルチコアの性能は少し高い。ただ、ほぼ同じと考えていいだろう。



 しかしGPUはフルスピードの5コア版であるため、iPad Airに比べて50%程度演算能力が高まっている。この辺りの理由は不明だが、あるいは消費電力との兼ね合いだろうか。



 あるいはiPad miniのサイズを考えると、ゲーム機としても適度なサイズ感と重さなので、GPUをフルに使うようなゲームでも熱ダレしないようにとの配慮かもしれない。いずれにしろ、iPhone 13よりA15 Bionicのクロックが控えめとはいえ、CPU性能に関しても、そしてGPU性能に関しては圧倒的にミニタブレットとして高性能だ。



 またiPad Airにはない、122度の対角画角があるインカメラは「センターフレーム」機能がiPad Proに続いて採用された。機械学習を利用し、ユーザーが動いてもフレームの中心を保つように自動調整する機能だ。参加者が加わって複数のユーザーが映るようになっても、全員がフレームに収まるよう画角を調整する。



 iPad Proに搭載された機能なので、センターフレームについては承知している人が多いと思うが、オンライン会議やテレビ電話がポピュラーになってきた昨今、一度使い始めると手放せない便利さがある。



 一方で小型化に際しての制約も一部にはみられる。



 一つはボタンの配置で、全てのボタンが上部に集められた。慣れの問題だが従来のiPadに慣れている人は戸惑うかもしれない。iPad Air同様、トップボタンには指紋認証センサーのTouch IDも内蔵されており、マスクをしたまま素早くロックを解除できる。



 また上部と下部に内蔵したスピーカーは、iPad ProやiPad Airのような合計4つのスピーカーではなく、2つのスピーカーだ。ステレオ再生を楽しむには画面を横向きにキープする必要がある。iPad ProやAirでは4つのスピーカーを組み合わせ、縦横どちらでもステレオ再生となり、さらには空間オーディオでも活用しているが、残念ながらiPad miniには入らなかった模様だ。



 またバッテリー駆動時間も、基本的にはiPadの標準ともいえる10時間というスペックを実現しているが、実際に使ってみるとiPad Airに比べてやや短い印象だ。とはいえ、M1搭載の12.9インチiPad Proに比べると長いという印象も受ける。



 まだ使い始めのため結論は出せないが、個人的にはiPadシリーズとして十分な容量は確保されていると感じた。



●MacユーザーにiPad miniがおすすめの理由



 iPad miniは、これまでの製品が最新のiPad Airに近い機能と性能を持つ小型製品ということで、必ずしもユーザー層を拡大するような製品ではないと感じるかもしれない。iPadの中での大小の大きさだけが違いなら、そう考えるのも当然だろう。



 しかし、サイズが違えば使い方も変わる。いろいろな利用シナリオで考えると、iPad miniは魅力的に感じるようになってくるはずだ。



 筆者の場合はMacと一緒に持ち歩くシナリオである。例えば、MacBook AirとiPad miniのWi-Fi + Cellularモデルを持ち歩けば、iPhoneよりも電池が長持ちするiPad miniを5Gモデム代わりにしつつ、移動時のコンパクトかつスマートフォンよりも大画面のポータブル端末になる。



 それにMacが相棒ならば、セカンドディスプレイとして使えることに加えて、Macからの操作でiPadの機能にアクセスするユニバーサルコントロール(年内提供予定で現時点では試せない)も可能になる。過去数年にわたって統合してきたMacとiOS・iPadOSにおけるデバイス間の密な連携が、iPad miniというデバイスの活躍の場を広げている。



 例えば筆者は仕事柄、どこでも効率よく文字入力できる道具が必須であるため、ノートパソコンの利用が前提だ。そこで出先にMacBook AirとiPad miniを持っていれば、macOSのSidecar機能で液晶ペンタブレットとしてもiPad miniを使える。主にはiPad miniを使ってPDFやWebブラウザで資料を開きながら、MacBook Airで文章を書くだろう。



 Apple Pencilを活用する際にはiPad mini単体で使うだろうし、iPad miniで届いたメールの添付ファイルを開き、そこに長文を返信しなけばならないときには、AirDropやHandoffを使って連携したMacBook Air側で作業の続きができる。さらにmacOSで予定されている新機能の「ユニバーサルコントロール」が動くようになれば、MacBook Airから直接iPad miniに乗り入れることさえ可能だ。



 またオンライン会議に参加するデバイスとしてもiPad miniは便利だ。内蔵のインカメラは高画質な上、センターフレームにも対応している。オンライン会議のウィンドウがMacBook Airの画面を占有しないため、会議と並行して資料に手を入れたりメモを取ったりすることが容易になる。



 地方や海外への出張が多かった時期には、MacBook Proと12.9インチiPad Proの組み合わせが具合がよかったが、同じような使い方を日常の中にも取り込むことができる。ノマドワークといった働き方もすっかり当たり前になってきている中で、iPad miniはワークスタイルに豊かなプラスワンをもたらしてくれるはずだ。



●大画面iPhoneを選ぶか、それともiPad miniと小さいiPhoneか



 いつものハードウェア性能寄りのレビュー記事とは異なり、使い方や製品を評価するポイントに重きを置いて書き進めている。上位モデルに近い性能のiPadが300g以下となると、あれこれと手持ちの機材を見直したくなるからだ。



 今年のiPhone 13シリーズはカメラの性能がさらに上がっているが、既にiPhone 11以降の端末を持っていれば、なかなか買い替えには踏み切れないだろう。あるいは買い換えるとしても、内蔵カメラにさほど多くを求めないのであれば、iPhone SEなどベーシックな機能のiPhoneにしておき、iPad miniをプラスワンする手もある。



 予算が潤沢にあれば、iPhone 13 miniとiPad miniの「ミニミニコンビ」も悪くない。(Proではない)iPhoneの機能やスペックが向上しているので、最も大画面で機能と性能が充実したiPhone 13 Pro Maxを入手する予算を、思い切ってコンパクトなiPhone 13 miniとiPad miniへと変えてしまうという選択肢もある。バッテリーの持ちがよくなったiPhone 13 miniは、極めてバランスのよいコンパクトなiPhoneになったからだ。



 いずれにしろ、OSの改良でタイトにMacとiPhone・iPadの世界が統合されてきた。年内には恐らくMacBook Proなどの更新もあるはずだ。Appleの製品を使うユーザーは手持ち機材をどう組み合わせていくのか、少しばかり長期的な悩みを抱えることになりそうだ。



[本田雅一,ITmedia]


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