【F1インタビュー】「最後に笑うのは僕たちだと信じている」自身のすべてをかけて戦うハミルトン。最終戦まで接戦を覚悟

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2021年09月24日 16:31  AUTOSPORT web

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写真2021年F1第10戦イギリスGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)
2021年F1第10戦イギリスGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)
 メルセデスのタイトルスポンサーであるペトロナスの主催した、アジア・オセアニア圏のジャーナリストを対象にしたルイス・ハミルトンとのリモートインタビューに先日出席した。

 イギリスのファクトリーから会見に応じたハミルトンは、レース週末には見られないようなリラックスした雰囲気で、コロナ禍でレースを戦うことの難しさと意義、そして今季終盤に向けてのタイトル争いの見通しなどを語ってくれた。

 実は最初の新型コロナウイルスがF1に及ぼした影響についての質問は、僕が事前にペトロナスに提出した質問から直前に変更を加えたものだった。そのため担当者は質問を遮ろうとしたのだが、ハミルトンは「かまわないよ」と、答え続けた。そんなところにも彼の余裕と懐の深さを感じた会見だった。

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──新型コロナウイルスがF1に及ぼした影響についてもう少し伺いたいのですが、あなた自身も昨年感染し、後遺症にも苦しみました。新型コロナウイルスによって、F1界は決定的に変わってしまったと思いますか。

ルイス・ハミルトン(以下、ハミルトン):ものすごい影響を受けたと言っていいね。コロナが猛威を振るった昨年は開幕自体7月にずれ込んだし、あなた方ジャーナリストもシーズンが始まってからもしばらくはサーキットに来ることさえできなかった。そして観客ゼロの状態で、僕らはレースをしなければならなかった。その間の感染対策も試行錯誤を繰り返しながら、徹底的に行ってきた。残念ながら僕や他の何人もが陽性になったりしたもしたけど、でも特に今年になってからは、その(対策の)成果が順調に出てきたと感じている。そのおかげで予定通りのスケジュールでシーズンが開幕できたし、感染者も減っている。観客も入れるようになった。他のどんな世界的なスポーツイベントよりも、うまくいってると言っていいんじゃないかな。

 もちろんまだ収束までには時間がかかるだろうし、僕らも油断は禁物だ。コロナとの戦いは当分続くと思う。他者との接触はできるだけ避けるべきだし、マスクも着用し続ける必要がある。でもそんな状況でも僕らはF1というこのかけがえのない情熱の対象に、自分のすべてをかけることが許されている。そのことには本当に感謝しているよ。地元シルバーストンで勝利を得たとき、その気持ちはさらに強くなったね。

──今季のタイトル争いはますます激しさを増していますが、残りのレースでもっともタフな戦いになると予想しているグランプリは?

ハミルトン:まだスケジュールが完全には確定していないから、予想は難しいね。コロナの感染状況が改善してない国にも、もしかしたら行かなくてはならないかもしれない。ある意味では、それがすでにタフな選択だといえる。一方で日本やオーストラリアなど、僕が大好きな国、大好きなレースが今年も中止になってしまったのは本当に残念だ。

 サーキット自体で言うと、最も厳しい戦いを強いられそうなのはメキシコかな。標高2000mを超えて、空気が薄い。エンジンパワーやターボ性能がラップタイムに大きく影響する。今季のホンダは見違えるほど進化しているから、タフな週末になることは間違いない。ブラジルも同様だね。メキシコほどではないけど標高が高いし、高速サーキットだ。パワーユニットにすごい負荷がかかる。

──そんな状況でも、タイトル防衛はできると思っていますか? 今後の展開に関して、どれほど楽観的に考えているのでしょうか。

ハミルトン:もしこれが去年までだったら、たとえばライバルに比べて戦闘力が劣っていると考えたら、シーズン中でもどんどん追加のアップデートを投入できた。でも今年はバジェットキャップ(年間予算制限)がある。この影響はかなり大きくてね。しかも来季は根本的に技術レギュレーションが見直されて、これまでとは見違えるようなF1マシンになる。かなり早い段階からその開発にリソースを注いでいるから、今季のマシンの改良はすでにほぼ止まっている状況だ。

 なので僕らにできることは、今あるマシンの性能をどんなサーキットでも100%引き出せるよう、レース現場で全力を注ぐことだ。それは決して簡単なことじゃない。もちろんそれはライバルチームも同様だけど、でも今季のマシンのアップデートや、2022年型マシンへの開発の切り替えタイミングは、微妙に違っているしね。

──そこにコロナの影響も関わってくるのでしょうね。

ハミルトン:その通り。今後は最終戦まで、ほとんどヨーロッパ外のレースになる。イギリスは今も厳しい防疫体制を敷いているから、次のレースまで1週間時間が空いたから帰国して家族に会う、そんな2年前までは普通にできていたことが今はできない。チームスタッフにとってそれはすごく辛いことだし、それが微妙に戦闘力を左右しないとも言えない。でも僕は挑戦を続けるし、何より強いプレッシャーを受けながら戦うことが何より好きなんだ。レッドブル・ホンダはものすごく手強い相手だし、マックス(・フェルスタッペン)だけでなくエンジニアやメカニックも本当に優秀だから、間違いなく最終戦までこのタフな戦いが続くだろうね。でも最後に笑うのは僕たちだと、僕は信じているよ。
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