スピリチュアルな教祖様たちも、「反ワクチン」に傾倒? 陰謀論を“利用”する人々の実態

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2021年09月25日 17:02  サイゾーウーマン

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サイゾーウーマン

 ネット上には、無責任な理論で集客しては人を食い物にするような、スピリチュアリスト、霊能者、民間資格カウンセラーなどがあふれています。彼らを信じ込んでしまえば、価値観や金銭感覚をゆがめられるのはあっという間。友人や家族を失ってからでは、もう遅い! 「スピリチュアルウォッチャー」黒猫ドラネコが、現代社会にのさばる怪しい“教祖様”を眼光鋭く分析します。

 新型コロナウイルスとの戦いが長引く中、ネット上では不確かな情報がまき散らされてしまっていますね。この1年半で多くのデマや荒唐無稽な話がネットに広がった感がありますが、大手新聞社やメディアでは、特に「陰謀論」が蔓延していることを社会問題として報じています。

 「陰謀論」とは簡単に言えば、「世の中のあらゆる出来事は、利権団体や闇組織の策略や謀略が関与している」とするウワサ話が広がったもの。古くからいくつも“ネタ”があり、一種の“エンターテインメント”としても知られてきたのですが、昨今SNS上で傾倒する人が散見され、まるで「教祖のいないカルト宗教」の様相を呈してきました。

 私も最近はそちらの観察にばかり興味を持っていかれ、胡散臭いスピリチュアル・ビジネスへの監視が疎かになっていたのですが、実は「陰謀論」と「怪しいスピリチュアル」は親和性が高いようなのです。近年、陰謀論を指す「コンスピラシー」に「スピリチュアリティ」を融合させた「コンスピリチュアリティ」という用語もできたほど。それだけ両者は近い距離にあるといえるでしょう。

 まさに私がウォッチしているスピリチュアル教祖様たちの周辺も、FacebookやAmebaブログなどでよく「反ワクチン」に関する陰謀論をシェアしています。このところ、私のもとにも多くの相談や悲痛な声が届いていて、もともと自然派志向でスピリチュアル好きだった母親が、YouTube動画などを見漁った末に「危険だからコロナワクチンは打たないで。ほかの人にも伝えて!」などとFacebookに投稿してしまった……というものもありました。ご家族が同じような状況にあり、悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

 陰謀論をうまく使って世間を煽るような人間は、ネット上で熱心に情報を広めています。「新型コロナウイルスワクチンは人口削減のため!?」「注射されたマイクロチップが5Gに反応!?」「ワクチンを打ったら人間じゃなくなる!?」といった衝撃的なタイトルの動画を配信すれば、情報を求める人たちの目に留まって再生数は跳ね上がり、「お金」になるからでしょう。こういった荒唐無稽な話をさも真実かのようにまき散らすことと、それで利益を得ることは、もっと問題視されるべきだと思います。

 陰謀論とお金に関連する話題だと、「読売新聞オンライン」(4月7日配信)に興味深い記事がありました。昨秋のアメリカ大統領選挙の際、「大規模な不正があった」「闇の政府が関与」など語っていた男性YouTuberに取材すると、「最初は、英文法を解説するチャンネルだった」と明かしたそう。

 しかし、再生回数が伸び悩み、「試しに大統領選を取り上げてみた」ところ、再生回数はなんと100倍に跳ね上がり、「毎月、新卒社員の初任給ほどは入る」と話していたといいます。同記事は、陰謀論に“鞍替え”したチャンネルが「30以上あった」とも伝えており、これだけでも、稼げるジャンルだとわかります。

 では、具体的にどんな動画配信者がいるのか、私が注視している人を挙げていきます。まずは、特に新型コロナウイルス関連の陰謀論を煽っている「ポジティブ・エボリューション」こと、ドイツ在住のめいこ氏。YouTubeのチャンネル登録者数は5.5万人で、動画の再生回数は多い時で10万回を超えていました。しかし、どうやらメインチャンネルは“アカウント停止”(BAN)となったようで、現在はセカンドチャンネルで活動しています。

 メインチャンネルで5月に投稿されていた動画内では、「EUワクチン報告済み死亡者数」として、ワクチンを提供している4社と死亡者数を一覧表で紹介。また、ワクチンによって起こった「女性の生殖器と胸部への副作用」の件数も発信し、“反ワクチン”を訴えていました。

 しかし、「情報ソース」として掲載されていたサイトに飛んでみると、カナダの極右ニュースサイト「ライフサイトニュース」だと判明。同メディアはコロナ禍の前から頻繁に陰謀論を取り上げていたようで、今年2月には新型コロナの誤情報を動画で公開したとして、運営していたYouTubeチャンネルが停止になっています。こうした媒体を参考にしている時点で、彼女の発信も疑わざるを得ませんが、オンラインで講演会などにも出演し、“反ワクチン派の女神”的な扱いになっているようです。

 次に、芸能プロデュース業のようなこともやっている、古参の配信者・JOSTAR氏。YouTubeのメインチャンネル「JOSTAR CHANNELジョウ☆スターチャンネル」は登録者数8.7万人で、動画の再生回数は多いもので9万回ほど。派手な帽子を被って、ライブ配信を中心に更新していることもわかります。

 その内容は、JOSTAR氏がマイクを片手に延々と話しているだけですが、どの動画もほぼ1万回以上は再生されているので、ほどほど良い稼ぎになっていそう。なお、「米トラQ 救世主は未来人」「世界怪物大作戦Q」などタイトルに頻出する「Q」とは、米国ではポピュラーになった陰謀論の権化である謎の存在「Qアノン」のこと。日本でも話題になりましたから、耳にしたことがあるかもしれません。彼は日本在住ながら「Q」の“事情通”だと匂わせているのです。

 自身のTwitterでは、日常的に起こる事件や事故、さらに芸能ニュースを紹介しながら、「Qかな」「なんか不思議」「やはり来た予想通り」などとコメント。さも“仕組まれた出来事”であるかのように、意味深な投稿を続けています。最近では、俳優・岡崎二朗の息子である岡本一兵衛氏と行動を共にし、有名人や政治家の写真を取り上げては「ゴム(を被った偽者)」とよく語っていますが、失礼極まりなく、何が面白いのか私にはさっぱりわかりません。

 最後は、以前“スピチューバー”として当コラムで取り上げた、ワンネスyurie氏。なんと、彼女もいつの間にか“陰謀論者”になっていたことがわかりました。「コンスピリチュアリティ」の典型的な例ですね……。

 昨年1月、yurie氏は「あなたがインフルにかかる本当の理由とは?予防法をお伝えします!」というタイトルの動画を公開し、「(インフルエンザは)なりやすい傾向であったり、なっちゃう意味っていうのがあります」「(インフルエンザになりやすいタイプには)共通点がある」などと語っていました。

 それから約1年後の今年2月、今度は「コロナ後の未来を発表&霊視大会」という動画を公開し、「タイガー元大統領(トランプ元大統領のこと。yurie氏は「名前を出すと、垢BANされちゃう」と心配していました……いや、なんで!?)を応援していた方々なら、調べてわかると思うんですけど。政治家には、よくないことをしてた人とかがいて、それもだんだんと(コロナ禍で)表に出てきてるんですよね」「それは市民が目覚め始めて、裏で利権を根絶やしにしようとしている人たちが頑張っていて」などと述べていました。なぜそんなに世界の裏事情に詳しいのか、謎は深まるばかりです。

 そんな彼女でも、運営中のオンラインサロンは好調な様子ですから、どこかに支持者がいるのでしょう。同じ動画の中でyurie氏は、「コロナの患者さんが増えていくことによって、経済がストップしてしまうので、旅館業とか飲食業とか、中小企業とか観光業とか航空会社が打撃を受けてつぶれ始める」「経済的に困窮する人がどんどん増える」などと語っていましたが、そんなこと、テレビでもネットでもニュースを見れば、誰でもわかる話です。しかし、チャット欄には「なるほど〜」「納得しました」といったコメントがチラホラ……。YouTube上で小気味よく発信するyurie氏に惹かれ、サロンへ誘導された人もいると思います。

 ちなみに、最近は話題の芸能人をテーマにして「オーラでわかる素顔」「霊視してわかった性質」といった動画を投稿しており、スピリチュアル好きでなくても興味をそそられ、思わず再生したくなる内容にシフトしている様子。今後も彼女はその時々に合わせて、“スピチューバー”として活動を続けていくのでしょう。

 スピリチュアルや都市伝説などは、楽しむ程度で済めばいいと思います。ですが、今回紹介した方々のように、不確かなことを口八丁で断定的に語り、人の不安を煽ったり、踊らせたりするような行為は、「教祖様と信者」の関係につながるのではないかと危惧しています。動画の再生数による稼ぎだけでなく、セミナーでの収入、オンラインサロン運営などにつなげたい狙いは明らか。人を集めて先鋭的な思想で信者をコントロールできるように、陰謀論などの話題を“利用”していると言われても仕方がありません。

 新型コロナと別の話題だと、「有名人の不慮の死」も陰謀論と結び付けられやすいものです。俳優・三浦春馬さんが昨年7月に亡くなってからしばらく、その「真相」があると騙るようなSNS投稿や、動画を多く見かけました。

 所属事務所のアミューズは、悪質な投稿は「すでに警察への相談をさせていただきました」と表明し、該当するブログや動画のURLを公式サイトに掲載。「閲覧されることによる収益を目的としたものもありますので、くれぐれもお気を付けください」と注意喚起を行いました。しかし、現在もネット上にさまざまな“説”が飛び交っているのを見ると、一度信じてしまったことを「違う」と認めるまでには、相当な時間を要するのだと感じます。

 何か不安を感じる情報を見かけた時、「怪しい」と思ってネットで調べてみたら、「真実」を見つけた――「誰も知らない真実を、私は知っている」という、“選ばれた意識”はとても気持ちのいいものでしょう。しかし、周囲の人は心配し、悩み、時には傷付くこともあるのです。スピリチュアルにハマった人やその周囲の苦悩を見続けてきましたが、またネット上に陰謀論という「深い沼」が増えてしまって、とても残念な思いです。

【10月3日午後15時〜】山田ノジル氏とのトークイベント決定!

 同連載の随筆者・黒猫ドラネコ氏と、wezzyで「スピリチュアル百鬼夜行」を連載中の山田ノジル氏が、このたび合同でトークイベントを開催することとなりました! ゲストは、マルチ商法にハマった女性を描く話題のサスペンス小説『マルチの子』(徳間書店)の著者・西尾潤さん。イベントの詳細やチケット情報については、下記をご確認ください。

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  • 今日の新たな反ワク語録は【ワクチン打つとメクラになる】だった!
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