妻は低い声で夫に「あんたのママじゃないから」 夫婦の呼び名で抵抗がある呼称は?

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2021年09月26日 10:00  AERA dot.

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写真写真はイメージです(Getty Images)
写真はイメージです(Getty Images)
 ひと昔前は、妻を「家内」、夫を「旦那」と呼び、パートナーに呼びかけるときは「あなた」や「お父さん」、「おまえ」や「母さん」が一般的だった。昭和、平成を経て令和の現在、夫婦の呼び方は、どのように変化しているのだろうか。直近の統計を紹介しつつ、名前の呼び方に表れる現代の夫婦関係について考えた。


【調査結果】「主人」には抵抗感?夫婦の呼び名は10年で変化
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 飲食関係の仕事に就く男性(39歳)は、子どもが3歳のときに妻に言われたことをときどき思い出す。ある日、家族で近所のスーパーへ。子どもも一緒にいたため、少し離れた売り場にいた妻を呼ぶときに「ママ―!」と言った。妻は表情を変えずに「はいはい」とこちらにやってきたが、男性の顔をみると低い声で不機嫌そうにこういった。


「ママだけど、あんたのママじゃないから」


 それ以降、妻をママと呼んではいけない、名前で呼ぼうと男性は肝に銘じたという。


 同級生と結婚した事務職の女性(33歳)も「夫からママと呼ばれたらピンとこない」という。


「夫が同級生だったため、学生時代から一貫して名前呼び。子どもが生まれてからも変わらず、他人に話すときの呼び方も名前です」(女性)


 時間が経つと、相手の呼び方が変わるかというと、そうでもないようだ。電機関係の企業に勤める男性(51歳)は、結婚前の呼び方のまま20年が過ぎた。


「結婚前から名前に『ちゃん』『くん』づけで呼び合っている。20年以上経ったいまも変わらない。友人に話すときは名前で、それ以外の人には『妻』。妻も自分の友人には名前で、職場の人間に対しては『夫』呼びをしている」(男性)


 現代の夫婦間では、配偶者に対し、お父さん、お母さん、パパ、ママと家族の中での役割で呼んだり、呼ばれたりするのは抵抗感や違和感があり、名前で呼び合うのが「普通」なのかもしれない。


この10年で変化した夫婦の呼び名


 リクルートブライダル総研では、2011年より隔年で「夫婦関係調査」を実施。今回(夫婦関係調査2021)は「夫婦の呼び方」にも着目した。同総研研究員の金井良子さんによると、10年前とは集計方法が異なるので参考値ではあるものの、興味深い変化が見てとれるという。




 同調査の結果、配偶者の呼び方は、夫と妻ともに「名前や名前にちなんだニックネーム」が全体の46%と最も多かった。次いで、夫は約3割弱が「(子供の)お母さん、ママ」など、妻は「(子供の)お父さん、パパ」などで全体の約4割弱を占めた。昭和の家庭でみられたような「おい、ねえ」「あなた、おまえ」は、かなり少数派だ。


 年代別でみると、夫は60代を除く全世代、妻は20代〜40代が『名前や名前にちなんだニックネーム』呼びをしていると回答していた。若年層の20代や30代では、約7〜8割近くが名前呼びをし合っており、10年前よりはるかに多いという。


 たとえば、こんなニックネームで呼び合う夫婦もいた。なんとも微笑ましく、仲の良さが伝わってくる。 


「結婚直後に飼った子猫の名前が『ミイ』。最初はおたがいの名前で呼び合っていた私たちも、ひょんなことから私の名前『ハルナ』をもじって『ミイナ』、夫の名前『コータ』をもじって『ミイ太』に。最初は少々混乱ぎみだった猫も今ではすっかり慣れ、猫キャラ家族のように呼び合うスタイルが定着。親たちからは『変な呼び方』と、けげんな顔をされるが私たちは気にしない(笑)」(28歳・美容師)


 配偶者の呼び方は夫婦関係に何か影響を与えるのだろうか。


「今回の『夫婦関係調査2021』の別の質問項目では、夫婦関係の満足度をたずねています。その質問で満足度が高いと答えた人のほとんどが日ごろから名前やニックネーム呼びをしていることが明らかになりました。お互いの呼び方と夫婦関係満足度は大きく関係していることがうかがえます」(金井さん)


「旦那」はよくても「主人」「亭主」には抵抗感


 一方、夫婦間以外ではパートナーをどう呼んでいるのか。同調査によると、他人に話すときの自分の配偶者の呼び方では、夫は20代を除いて「嫁、嫁さん」が、妻は60代を除き「旦那、旦那さん」が全世代でトップ。ちなみに、20代男性では「名前」、60代女性では「主人」という呼び方が首位だった。参考値で10年前と比較すると、20代夫による「嫁」呼びは大幅に減少しているが、配偶者のことを他人に「奥さん」と丁寧な呼び方をする夫が増えているという。




 この点について、若い世代の男性にリアルな意見を聞いてみた。


「上司など年長の世代は『嫁』呼びが圧倒的に多い。同世代でも使う人は使うので不自然とは思わないが、自分自身は『嫁』という単語とは無縁。たとえば、『姉が結婚する』という言い方はしても、『姉が嫁に行く』『姉が嫁ぐ』という古い感じのフレーズはまず使わない。他人に話すときは『名前』か『妻』が基本」(29歳・IT)


 また、妻による「主人」「亭主」といった呼び方が10年前との比較では激減。とくに50代、60代の妻による減少が大きかった。代わりに「旦那・旦那さん」呼びが増えた。これにはジェンダー平等の意識が影響しているとみられる。


 実際に、次のような声もあった。


「そもそも、『主』という字が使われているのが不愉快。主従関係や上下関係を連想させる言い方に感じられるため、抵抗感がある。夫婦は対等な関係で、べつに夫が妻よりえらいわけじゃない。呼び方も対等でなければダメ」(44歳・公務員)


「祖父母や両親世代の呼び方で、古くさい感じがするから」(35歳・設計)


 金井さんは次のように分析。夫婦のあり方に対する意識の変化が大きく影響しているという。


「妻側の意見にみられるように、主人という言葉の感じが『カッコ良くない』『抵抗がある』などの理由から、時代にそぐわない呼び方と考える人が多いようですね。配偶者はパートナーという考え方がこの10年でいっそう深く世間に浸透したいま、夫を『主人』と呼ぶことに若い世代のみならず、広い世代で抵抗を感じる人が増えたと考えられます。その点、『旦那』という呼称は、『ダンナ』のような軽い感じでとらえられるぶん、まだ抵抗がないのかもしれません』(金井さん)


「日本はまだまだ男社会だ」という批判は令和の現在も根強い。しかし一方で、「夫婦の呼び合い方」からは、時代とともに一人ひとりの意識が確実に変化していることを改めて認識することができた。


(取材・文/スローマリッジ取材班 山本真理)


金井良子(カナイヨシコ)/リクルートブライダル総研研究員。リクルートにて「じゃらんnet」「ゼクシィnet」など数々のネットサービス立ち上げと運営に携わる。2004年10月より「ゼクシィnet」編集長、2010年4月より現職。「GOOD WEDDING AWARD」運営責任者や“ブライダル専門家”としてテレビ番組でのアドバイザーを務める。


※(株)リクルートが運営するリクルートブライダル総研における「夫婦関係調査」 夫婦関係の満足度や夫婦関係に対する考え方など、結婚後の夫婦の意識と行動を把握するために、2011年より行なっている調査。本調査では、性・年代別に定数にてサンプルを回収し、集計の際に実際の性・年代別既婚者の人口構成に合わせるために、サンプルに重みづけを行った(ウエイトバック集計)。数値(構成比・割合)は、一部を除きウエイトバックによる補正後の件数で算出したもの。また、小数点第2位以下を四捨五入しているため、構成比が100%にならない場合もある。


このニュースに関するつぶやき

  • いや、そんなの分かってるだろ…ま、夫婦別姓とか言ってるから、名字で呼んでやったら。同姓なら、元旧姓さんで。
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  • 子の前では、パパママだよ。主人が我が家の主で全然構わんし、おかしいとも思わない。よそは知らん、勝手にして下さい。
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