ドラマも好評 『古見さんは、コミュ症です。』はコミュニケーションの喜びを描く

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2021年09月28日 07:01  リアルサウンド

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コミュニケーションの喜び描く『古見さん』

 2016年から「週刊少年サンデー」にて連載中の『古見さんは、コミュ症です。』。現在22巻まで発売されており、2021年9月からは池田エライザ、増田貴久でドラマ化されており、10月からはアニメも放送される。


 舞台は県内でも有名な進学高校である私立伊旦高校。入学したばかりの只野仁人の目標は「周りの空気を読み、波風の立たない高校生活を送る」こと。しかし、容姿端麗だが人と話すことが異常なほどに苦手な古見硝子と隣の席になったことで、その高校生活は波乱に満ちたものになっていく。


(参考:【画像】ラーメンを食べようとする古見さん


■コミカルな日常生活にクスリと笑みが漏れる


 美しさとカリスマ性ゆえに、人とコミュニケーションを取るのが苦手な「コミュ症」だと認識されずに生きてきた古見さん。寡黙であることも雰囲気があるように見え、高校でもあっというまにマドンナ的存在とみなされ、周りからは距離をとられてしまう。そんな彼女の夢は「友達100人作ること」。古見さんの夢と、コミュ症であることを知ってしまった只野。人が良い彼は、古見さんの夢をかなえるために協力をすることになる。


 古見さんのコミュ症っぷりは、少し心配になるほどだが、同じ悩みを抱えている読者から見ると「誇張されているけど分かる」という気持ちにもなる。また、古見さんはピュアで、友達1号となった只野を始めとしたクラスメイトたちと触れ合うことで新しいことを知り、イキイキとした表情を見せる様がなんともかわいい。なんでも教えてあげたくなるし、ついこちらもニコニコとしてしまう。気分は完全に古見さんのクラスメイトである。


■普通の人の只野くんが普通ではない


 古見さんと比べると只野くんは、全てにおいて「普通」だが、なにげに何でも「普通」にこなせているのが只者ではない。


 全てにおいて平均点が取れる人間なんてそうそういない。洞察力もある。うまく話すことができない古見さんをコミュ症では? とすぐに見抜いた。会話をするために、筆談で話すことを提案する。


 1日で学校のマドンナとなった古見さんの隣の席になってしまったことで、クラスメイトの憎しみを一身に受けることになり、自分も友達ができていない。それにも関わらず、古見さんに「友達100人作ること」に協力すると申し出る。そして口先だけではなく、それを行動に移す実行力もある。古見さんがピンチのときには空気が読めないフリをして自分の身をささげている。


 周りには憎まれていても、ちゃんと只野くんの優しさは古見さんには伝わっているのがわかるから安心だ。たくさんの人を巻き込んだドタバタシーンも楽しめるが、古見さんと只野くんふたりのシーンはほんわかとした癒しを与えてくれる。


■コミュ症の生活は楽ではない


 「コミュ症の生活は楽ではない」とは、第1巻の冒頭に但し書きのように入っている文言だが、古見さんは人付き合いが苦手だとしても、人と関わりたくないと思っているわけではない。むしろ、思ったように人と関わることができないから、関係性を築いていくことに渇望しているかもしれない。だからこそ、自分が言ったことが相手にきちんと伝わる嬉しさ、誰かと何かを一緒にすることの喜びはひとしおだ。


 現実ではなかなか恥ずかしくてその喜びを表現することはできないが、古見さんは全身から発している(只野くんにしか伝わっていないときがあったとしても)。当たり前のように思ってしまいがちな人と人とのコミュニケーション。本作は、その喜びを改めて実感させてくれるはずだ。


(文=ふくだりょうこ)


このニュースに関するつぶやき

  • 読み切り時点で完成してましたから連載になった時に話が続くのか不安でした。何とか軌道に乗りました
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